表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

1.サンドリヨンは×××です。

 待て待て待て。

 どうして、なぜに、あの王子当人がこんなところにいるのだろう。


 サンドリヨンこと、アシュリーは奥のキッチンで息を殺していた。

 冷汗はだらだらだし、指先は冷たい。 心臓は早鐘を打っている。 心臓の音が昨夜十二時を告げたあの鐘の音のように実は響き渡っていて、アシュリーがここにいることを知らしめているのではないかと心配になるほどだ。


「ここに、私の雲英雪(きらゆき)の妖精がいるのはわかっているんだよ」

 アシュリーの心臓の音が聞こえたとも思えないのだが、確信めいた声が届いて、アシュリーはぎくりとする。

 低いのに甘ったるい声が全身に纏わりつくような感じがして、ぞわぞわする。


 昨日の今日でこの行動力、機動力。

 西の大国オキデンシアの、膨大な魔力持ちの化物王子、(やる気はないがきっとやればできる)やり手の王子と言われるだけある。


「隠れていないで出ておいで、私の雲英雪の妖精」


 そう言われて出ていくわけがないだろう。

 捕まったら大変なことになることが目に見えていれば、尚更だ。

 このときばかりはアシュリーも、継母と継姉たちに祈った。

 どうか、どうか、王子の魔力だったり魅力だったりに操られて、アシュリーの存在をぺろっと暴露するようなことはありませんように、と。


「そんなことを言われましても…。殿下、私の家にはこの子たち以外に娘はおりませんのよ」


 猫撫で声で媚びつつも、困った雰囲気を醸し出しながらアシュリーの存在をなかったことにする継母は流石としか言い様がない。

 アシュリーは舞台や演劇を見に行くような機会はなかったが、きっとこの継母は大女優になれただろう。


 いつもはアシュリーの前に立ちはだかる壁であるこの継母と継姉たちが、アシュリーのための防護壁になってくれることを祈りつつ、アシュリーはつい昨日のことに思いを馳せたのである。



+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+



 どうやら今日は、このオキデンシアの第一王子のお妃様選びの舞踏会らしい。

 継母と継姉たちが着飾り、はしゃいでいるのを横目に見ながら、サンドリヨンことアシュリー・クリスタルヴァンはいそいそと床磨きに励んでいた。


「きっと、殿下のお妃様になれるわ」

「どちらが正妃に選ばれても、第二妃になっても恨みっこなしよ」

「そうねぇ、お前たちとても綺麗だもの。殿下はどちらかなんて選べないかもしれないわねぇ」


 都で一番腕のいい職人にドレスを仕立ててもらい、それを身につけて、都で一番腕のいい美容師に髪を整えてもらい化粧をしてもらったらしい。 継姉たちのドレスには、――それほど仲がいいわけでもないのに――お揃いの、黒薔薇のコサージュがあしらわれている。

 これから女の戦場へと赴こうという継母と継姉たちの姿は、アシュリーの目には完全武装した魔術師のようにしか映らなかった。


 魔術師、とアシュリーは表したが、その実、この継母と継姉たちには魔力があり、魔術師と呼ばれる部類の人間だ。

 ここは、魔法が存在する世界。

 けれど、誰しもが魔法を使えるわけではない。

 魔力を持つ人間と、魔力を持たない人間。 それから、魔力を持つ動物と、持たない動物がおり、アシュリーの暮らす国には人獣族が保護されている地域もある。


 貴族には魔力持ちが多い、ということもあり、確かに各国の王族は膨大な魔力に恵まれている場合が多い。 だが、アシュリーは貴族の生まれではあるが、魔力を持たない人間だった。 

 アシュリーが魔力を持たない子どもだったために、母は親族連中から心ないことを言われ、心ない扱いを受けた。


 アシュリーが、母の不義の末に産まれた子であり、父の子ではないと言われていたのだ。


 だから母は、早くして亡くなってしまったのだと思うし、父はアシュリーと顔を合わせるのを避けるようになり、仕事に没頭するようになったのだと思う。 父は一年に一度か二度、領地から王都の屋敷に戻ってくればいいほうだ。

 そして、アシュリーがそんな父を責められないのも、母の死の一因が、自分にあるかもしれないという疑念を打ち消せないためだ。


 継姉たちの言うように、継姉たちが第一王子の妃になることも、ないとは言えないだろう。

 親族連中が、父の後妻にと迎えた女性は、父にとっては従姉にあたり強い魔力を持ったひとだったし、その連れ子の姉たちも例に漏れず強い魔力を持っていた。


 貴族の婚姻の場合に重視されるのが、血と魔力。

 なので、その点で言えば既に継姉たちは第一王子の妻となる権利を得ているといって差し支えない。


 だがなぜか、問題の第一王子は国王や臣下の勧める縁談には乗り気でなく、縁談を次から次へと断り、浮いた噂のひとつもない。 そんな第一王子に誰でもいいから選ばせるために、この舞踏会が開かれることになったということだ。


 自分たちの姿を三百六十度一回転して、姿見で確認し終えた継姉たちとその付き添いらしい継母の足が玄関へ向かう。 アシュリーは掃除の手を止めて見送りのために立ち上がった。


 アシュリーのこの家での立ち位置は、【家族】ではなく【召使い】に近いものだ。

 けれど、たまにしかこの屋敷に帰ってこない父は、そのことには気づいていない。 継母は狡猾で、父がいる間だけはアシュリーを【家族の一員】として扱ってくれるから。


 そして実は、父が普段は離れた領地にいることで安定しているのはアシュリーも一緒だ。

 遠くにいるから、たまにしか帰らないから、アシュリーの処遇に気づかずに、何も言わないのだと思っていられるのだ。 例えば父が、近くにいたとして、アシュリーの処遇に気づきながら何も言わないのだとしたら、アシュリーは絶望していたかもしれない。


 継母と継姉たちの先回りをして玄関の扉を開ければ、上の継姉がアシュリーの前で一度足を止めた。

「サンドリヨン。お前も、舞踏会に行きたいと思っている?」


 意外なことを問われたアシュリーはきょとんとしてしまった。

「とんでもありません。わたしのような者が、どうして舞踏会に行かれるというのでしょう」

 そっと目を伏せて、哀愁を漂わせる。


 ここで大切なのが、興味がないとか行きたくないという気持ちを見せないようにすることだ。

 行きたいのに行けない、という様子を見せることで、このひとたちは満足するのだから、そのように振る舞っていれば今以上に虐げられることはない。


 アシュリーの言葉を聞いて、下の継姉も笑った。

「あははは。それはそうよね。灰だらけの娘が舞踏会になんか、行けるはずないものね」


 意気揚々と、まるで踊るような足取りで二人の継姉たちが出ていくと、継母が通り過ぎざまに命じる。

「帰りは夜中になるから、起きていなさいね。言われなくてもわかっていると思うけれど、夜食の用意と湯の用意をしておくのよ」

「はい、いってらっしゃいませ」

 門前まで見送りに出たアシュリーは、馬車に乗り込むその後ろ姿まで見届けて、頭を下げる。


 そろそろ馬車が見えなくなっただろうか、と顔を上げれば馬車が路地の角を曲がったところだった。

 門を閉めてクルリと屋敷に向き直る。 屋敷へと向かう足取りが軽く、踊り出してしまいそうだ。 屋敷に入り、玄関の扉を閉めたアシュリーは思いきり伸びをした。

 思わず笑顔になってしまう。


「やっと行った…。さて、何しようかな」

 誰もいないというのに、言葉が唇から零れるのは、誰も聞く者がいないと気が抜けるからなのだろう。


「今日は温かいお風呂に入れる。お花屋さんがくれたポーションをいれよう。夕飯も、今日は何にしようかな」

 まるで、歌でも口ずさむようになっているのも、理解している。

 滅多にないことだからこそ、継母と継姉たちが家を空けて、自由にできる時間はアシュリーにとって何よりも幸せなものなのだ。


 いつもは冷めかけた残り湯をもらうが、今日は温かいお風呂に入って、継母や継姉が帰るころにお湯を入れればいい。 彼女たちがいるときは、ほとんど残り物のような食事しか許されなかったが、今日は自分のための食事を作って食べられる。


 継母と継姉から「まるで灰を被ったよう」だと【灰かぶり(サンドリヨン)】と名付けられたアシュリーだが、別に毎日灰を被っているわけではない。

 使用人を雇うお金をけちった継母たちは、アシュリーを召し使いのように扱うが、それがよかったのだろうとアシュリーは思っている。 不潔な召使いが作った食事は食べたくない、洗った服は着たくない、という彼女たちのおかげで、アシュリーはお風呂に入ることは許されたし、メイドの服を身につけることは許されている。


 雑巾とバケツを片づけて、手を洗いながらアシュリーは考える。

 限られた時間なので、有効に使わなければならない。

 まずは夕食を作って食べて、お風呂に入ろう。

 それから仮眠を取って、深夜に帰ってくる継母と継姉たちを出迎えないといけない。

 そうと決まれば、とアシュリーは行動を開始したのである。


 久しぶりに、アシュリーが自分のためにラザニアを作った。

 今は亡き母は、アシュリーの好きなラザニアを必ず、アシュリーの誕生日に作ってくれた。 アシュリーにとってラザニアは、特別な日に食べる特別なもの。

 だからアシュリーは、継母や継姉たちのためにそれを作ったことはない。

 今日は、久しぶりに訪れた、特別な日だった。


 いつもは追われるようにして終える食事を、今日はゆったりと味わって、時間をかけて終えた。

 食事の片づけをして、父の部屋へと向かう。

 父の部屋の鍵は、父がアシュリーに預けてくれたものだ。 このことは、アシュリーと父だけの秘密。


 たまに片づけをしてもらえると助かる、そう言われて預けられた父の部屋の鍵が、アシュリーにとっての救いだ。


 父の部屋には、父専用の浴室がある。

 本当は、父の部屋は父と母の部屋だった。 父は、絶対にこの部屋に、継母のことは入れない。

 そのことでも、アシュリーは救われている。


 お湯を、バスタブいっぱいに溜めて、身を沈める。

 アシュリーの体重分、温かいお湯が零れていったが、たまにの贅沢なので許されるだろう。


 肩までお湯に浸かった後で、頭の天辺までお湯に沈む。

 三つ数えて、ざぱりと顔を出し、手で顔を拭う。


「はぁぁ~…」


 無意識に、溜息が漏れた。 そしてもう一度、ずるずると肩まで湯に沈む。

 腰まである長い髪が水に漂っているのが見えて、アシュリーは自分の髪を一房、指先で掬った。

 その色彩を、じっと見つめる。


 【灰かぶり(サンドリヨン)】。

 継母や継姉たちが、アシュリーのことをそう呼ぶ理由が、この髪の色にあることは知っている。

 淡い、淡い、限りなく白に近い金の髪。 光を弾く、光の加減で部分的に色が違って見えるその様子が、灰を被ったように見えるのだということだ。


 けれど、アシュリーはこの髪の色が嫌いではない。

 むしろ、自分の身体のなかで一番気に入っている。


 母が、「アシュリーの髪はきらきら光って、光を弾く雪原のようで綺麗ね。アシュリーの髪は雲母(きら)色って言うのよ」といつだって褒めてくれた色だから。


 父の、目映いばかりの金髪と、母の灰銀の髪、両方が合わさったようなその色は、アシュリーが父と母の子どもである証のようでもあった。 瞳の色だって、父と同じゼニス・ブルーで、どうして父の親族がアシュリーの出自を疑ったのか幼い頃はわからなかった。


 だが、今ならば、わかる。

 問題視されたのは、アシュリーの出自ではなく、母の出自だったのだ。

 父の家の使用人の娘であり、同じく使用人として働いていた母を、父は周囲の反対を押し切って妻とした。 魔力を持っていればまだ良かったのかもしれないが、魔力のない母は、貴族の妻としては不適格以外の何物でもなかったのだ。

 大好きな母のことだけでなく、嫌なことまで思い出してしまった。


 そのことを流すように、アシュリーは、いつもより時間をかけて湯に浸かり、全身を洗って温まって浴室を後にする。

 父の部屋の時計は九時を少し過ぎたところだった。


 今ベッドに入れば、少なくとも三時間は仮眠を取れるだろう。

 継母や継姉たちが舞踏会の終える十二時ぴったりに帰宅することはないし、この世界は共通の法で日常生活における移動魔法の禁止が決められている。

 違反すれば、どこからともなく100%の確率で国お抱えの魔術師なり魔法騎士なりが、やって来るという。 因みに、国の名の下に許可の与えられた魔術師や魔法騎士については、職務における移動魔法の使用は認められているらしい。


 さて、話は戻って、移動魔法の使用が許可されていない継母たちは城から馬車で帰宅する。

 城から家まで三十分はかかるから、アシュリーは十二時に起きれば、問題なくあの親子を迎えられる。


 そう計算しながら、アシュリーが父の部屋の鍵を閉めて、自室――というか、屋根裏部屋――の方向に向き直ったときだ。


「可愛いお嬢さん、お城の王子のお妃を決める舞踏会に行ってみたくはない?」


 ぱっと目の前に現われたのは、黒ずくめの、美女だった。


 驚きつつも、アシュリーは目の前に現われたその女性について考察する。

 腰まで届く、長い黒髪は艶やかな漆黒で、まるで星空のよう。 毛量もほどよいのだろう。 頭髪が重いという印象は与えない、本当に流れるような髪――それを無造作に下ろしている。

 切れ長の瞳なのだが、縁取る睫毛が長い。 そのためか、【きつい】というよりは【凜とした】という言葉の方が、その女性には似合う気がした。

 瞳は黒曜石の如く、肌は石膏のように滑らかな白。

 白と黒のコントラストが際立ちすぎて現実味がないというのになぜか、圧倒的な存在感を持つ人だった。


 どちらかといえば、身体のラインが際立つような漆黒の衣服――スカートではなく、パンツ――を身につけていて、無駄のない均整のとれた身体つきなのが一目でわかる。

 容貌だけ見れば、美女であり、怪しくも何ともないが、彼女がここにいること、それが問題だ。


 継母や継姉たちは、きっとアシュリーのことはどうでもいいのだろうが、家の家財など金目のものが持って行かれるのは困ると家全体に警戒網を張っているはずなのだ。

 それに引っかからなかったということは、恐らくこの女性は、魔術師。

 それも、継母や継姉たちよりも上位に位置する。


 警戒心の強い彼女たちは、万一彼女たちの警戒網を突破されたときのために、保険をかけている。

 それはもちろん、アシュリーのためではなく、この家の家財や金目のもののためだ。


 魔力のない者は、声に魔力を宿らせることもできず、魔法騎士への通報もできない。

 だから、アシュリーの喉――声帯の位置には、継母の施した紋章がある。

 それに、触れて、通報の(まじな)いを口にする。

「コード・ゼロ」


 以前、一度だけ口にしたことのある呪文は、口にすれば口にした場所から、花火のようなものが上がる。 そうすれば、一・二分もしないうちに、管轄の魔法騎士が駆けつけてくれる。


 なのに、花火の音も聞こえなければ、魔法騎士が駆けつけてくる気配もない。

 今日が王子の妃選びの舞踏会とは言っても、彼らが業務を疎かにするはずはないのに。


「どうして…」


 疑問が口から零れると、ジッとアシュリーを観察していた漆黒の美女が、緩く首を揺らした。

「魔力のない、【見捨てられし子】というのは本当のようだね。場の空気の変化に、気づかないの?」

 高音ではない。

 中音域とのぎりぎりの境くらいな、けれども凜として通る声。

 それが、無感動に紡いだ言葉の、意味がわからない。


「どういう、ことですか」


 この美女が、本当の本当に悪いひとなら、死亡フラグが立っている。

 けれど、アシュリーは不思議なほどに動じていない。 それは、この世に、残す未練が思いつかないからなのか。

 驚きはしたが、怖れないままに、アシュリーは尋ねていた。


「お粗末な網が張ってあったね。その網と同化してしまえば、私は内部の者と認識される。一時的にだけれど、その警戒網の内側に、私が壁を造った。だから、君の声は外には届かない」

 美女はすらすらと、アシュリーの問いへと思しき答えを返してくれるが、アシュリーには理解の出来ない話だった。 これが、魔力を持っていてきちんと魔力に関する教育も受けている継姉たちだったならまた話は別だっただろうけれど。 魔力に関する教育は、魔力を持たないアシュリーは受ける必要がなかったために、わからないことのほうが多いのだ。


 だから、魔法に関する質問はせずに、別の質問をすることにした。

「それで、私をどうするおつもりですか?」

「言ったはずだよ。お城の王子のお妃を決める舞踏会に行ってみたくはない?」

 間髪入れずに戻ってきた答えは、確かに彼女が真っ先にアシュリーに尋ねてきた内容だった。


 お城の王子のお妃を決める舞踏会に、行ってみたくはない?

 その問いに、答えを返せば、彼女は満足なのだろうか。


「行きたいとは思いません。興味がありませんので。それよりも私は早く仮眠を取りたいと思います」


 そう、まずは仮眠だ。

 それから、継母や継姉たちを出迎えないと、大変なことになる。


 アシュリーが断言すると、美女はひとつ息をついて、ぼそりと呟いた。

「…不憫だね、あいつ」

「あの、どういうことですか?」

 あいつ、と誰かを指した言葉に、湧いたのは疑問と少しの興味。 だから、説明を求めたのだと思う。

 美女は少し長めの前髪を掻き上げるようにしながら、苛々とした様子で目を伏せた。


「来るはずの君が、いつになっても姿を現さないから、私が迎えに行くようにと頼まれたんだよ。いい迷惑だとは思わない?君だって、女の子なら少しは興味があると思うんだけど」

 今彼女が口にしたように、本当に彼女はいい迷惑だと思っているのだろう。

 彼女の眉間には皺が刻まれているし、苛立ちが言葉の端々に棘となって見え隠れする。


 どうやら、彼女は誰かに頼まれて、気は進まないながらもここにアシュリーを迎えに来てくれたらしい。

 確か、今日の舞踏会は、王都中の年頃の娘全員に招待状が配られたと聞いている。

 その中の全員が全員、舞踏会に行くとも思えないのだが、行かなかった人間をピックアップして宮廷魔術師たちが迎えにでも行っているのだろうか。

 それは、本当にいい迷惑だろう。


 アシュリーは肩を竦める。

 言おうか、どうか、迷ったのは一瞬。


 どうして、アシュリーの秘密を、彼女に告げようと思ったのかは、わからない。

 けれど、気づいたときには言葉になっていたのだから、仕方がないだろう。


「というか、本当に興味がないんです。私、男だから」



サンドリヨンは男の子です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ