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僕はガラクタ。

作者: 能海 純平

子供の頃に大事だったもの、今も大事にしていますか?大事だ、と言い張れますか?大人になると、恥ずかしくて「大事だ」と言えなかったり、周りに流されて棄ててしまったり、なんてこと、あるんじゃないでしょうか。

一度大事だと思ったものを最後まで「大事だ」と言える人間は少ないですよね。いくらそうでありたいと思っても、「大事」が日常に溶け込んだ途端、そうでもないんじゃないか?と思ってしまうもんなんです。是非ともやめてほしい風潮ですよね。僕はそんな大人になりたくないです。抱き締めているもの全て墓場に持っていくつもりです。

話が逸れましたね。

ガラクタだって恋をするんです。

人間が恋をするのと全く同じようにね。

僕はガラクタ。君の暇つぶしさ。君の掌の上でくるくると踊るよ。

僕はガラクタ。君が僕の踊りを愛おしそうに眺める。それだけが僕の生き甲斐。

僕はガラクタ。君は僕に恋をした。ふふ、どうだ、これが僕の踊りさ。

僕はガラクタ。毎日毎日、君の掌の上で踊る。くるくる、くるくると。

僕はガラクタ。あれ、踊れなくなってしまったよ。寂しそうに眺める君の顔。

僕はガラクタ。でも、大丈夫。電池を換えるだけでいいからね。

僕はガラクタ。人は動かなくなったらそれっきりなんでしょう?

僕はガラクタ。電池を換えた僕はいつもの何倍もくるくると踊るよ。くるくる、くるくる。

僕はガラクタ。あれ?君はどうしてそんなつまらなそうに僕を眺めるんだい?

僕はガラクタ。よーし、じゃあ今日はいつも以上に頑張って踊るぞ。

僕はガラクタ。くるくる、くるくる、くるくる。

僕はガラクタ。あれれ?全然楽しくなさそうじゃないか。困ったぞ。

僕はガラクタ。僕はこれ以上踊れないよ。

僕はガラクタ。でも君に笑って欲しいんだ。

僕はガラクタ。困ったな、今度は僕が君に恋をしてしまった。

僕はガラクタ。お願い、笑っておくれよ。

僕はガラクタ。僕らガラクタは選ばれて遊ばれるだけの存在さ。

僕はガラクタ。だから、僕らがご主人を選ぶ権利なんてないのさ。

僕はガラクタ。だから、ご主人が飽きたらそれっきりの存在さ。

僕はガラクタ。けれど、僕は君の掌の上で踊りたかった。

僕はガラクタ。君は僕を選んでくれた。あの時は嬉しかった。

僕はガラクタ。おかしいな。今じゃ笑ってくれない。

僕ハ蛾羅くた。僕じゃ駄目なのかな。

ボクはがらく他、ボくハ君が好きダ。僕ハ、君ニ遊バレてイたイんだ。

僕ハ我楽多。棄テナイデ。僕ハまだ踊レルよ。

僕ハ我楽多。我楽多の僕が意思なんて持ッチャいけナカッタネ。

僕ハ我楽多。棄テラレルことハ分カッテタよ。デモ君が笑ってくれたこと、忘れないよ。

僕ハ我楽多。掌をヒックリ返サレた。これが「ゴミ箱」と人が呼ンデルものカ。仲間がイッパイいる、宝の山ジャナイか。

僕ハ我楽多。トウトウ棄てラレチャった。分カッテはイタケド寂シイや。

僕は我楽多。今迄アリガとウ。

僕は我楽多。君の暇ツブシに…なレタかな。

僕は我楽多。僕は。

いかがだったでしょうか。たまには子供の頃に遊んでいたおもちゃを懐かしんで眺めたりする時間があってもいいと思いますよ。ガラクタはいつでもあなたを待っています。

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