未来を求めて(1)
〜プロローグ〜
2015年4月8日私立草薙学園始業式。
冬も明け、気温も上がり春風が吹き満開の桜が散っている。
この日草薙学園の前にある一本の坂道、桜並木道で2人の少年と少女が出会った。
少年の名前は、相沢龍哉。今日からこの草薙学園の2年生でごく普通の生徒だ。
そんな龍哉に1人の少女が話しかけた。
「貴方にはこの世界が何色に見えますか?」
「ん?なんか急に難しい質問だな。まぁいっか、強いていうなら対して面白みのない色が永遠にスクロールされている感じかな」
少女は俯き少し間を開けて、
「そうですか。それならいつかあなたが求める色が永遠にスクロールされるようになると良いですね。」
そう言うと彼女はスタスタと校舎の方へ歩いていった。
「おーい龍哉、お前なに始業式当日から遅刻してんだよ。朱里ちゃんめっちゃ怒ってたぞ。」
「なんだ、またあの人が担任なのかよ。んでもってお前も同じクラスかよ」
「いーじゃねーかよ。楽しくやってこーぜ。ついでに言うとあの双子ちゃん達も同じクラスだぜ」
「いや、双子ちゃんの姉の方めっちゃ怖〜じゃんかよ」
そんなどこの学校にでもある日常会話をしながら2人は教室へ歩いていった。
ここで1つ疑問を解いておこう。双子ちゃんとは一体誰だというだ。まぁ、別に特に何かがあるわけではないがな。
双子ちゃんの姉の名前は東城真白、名前とは正反対で真っ赤な髪をしていてバリバリの活発なやつだ。
そしてその妹は東城白音、姉とは違いおとなしい子だ。一見この2人に共通点は無いように見えるが確実に1つだけあると言える。それは2人共が学園でトップを争える容姿をしているのだ。おっと、あと1人説明するのを忘れていたな。龍哉に話しかけてきたごく普通の男子高生の事だ。名前は荒貝 春夜。龍哉とは中学からの付き合いだ。この5人は全員高校からの付き合いでそこそこ仲が良い。
そして、彼らの高校生活の目標はある程度同じなのだ。
それは失われた色を取り戻して自分たちの求める鮮やかな色を付けることだ。
この物語は、特になんの変哲もない高校の日常のはずだったのだ。