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魔超戦記 リリパットステップ  作者: 沢崎ハル
結成編
9/16

第9話 俺、魔導攻防隊《ルーン・セイヴァー》になります。

車内、(はやて)にはもうひとつになることがあった。

「なあ絵利菜(えりな)。何でおまえ魔導攻防隊(ルーン・セイヴァー)になろうと思ったんだ?」

「うん、あたしが捕まった時、颯やしーにょんは必死で助けてくれた。そのとき思ったの・・・あたしもこんな力があったらなぁ・・・って」

「なるほどな・・・」

「でもすごいよね!あたしにも2人と同じような(ちから)を使う素質があるなんて・・・まだどんなのか分かんないけど・・・」

 絵利菜はにししと笑いながら言う。

 やはりあまり離れていないので、すぐに颯に家の前に着いてしまう。

「もうあたしん()近いし、あたしもここで降りるよ」



「ありがとうございました」

 颯は車を降り、近藤(こんどう)にお辞儀する。

 絵利菜もシートベルトを外し、車を降りる。

「実はね、あたしが魔導攻防隊(ルーン・セイヴァ―)になろうと思った理由はもう一つあるの」

「それは・・・!!」

絵利菜は「この続きは正式な同僚になってからの方がよさそうだね♪」とウィンクをして去っていった。

どうやら絵利菜はなる気でいるようだ。



「ただいまーー」

 颯は玄関をくぐる。

「おかえりーー。ちょっと遅かったね?」

 迎えてくれたのは姉の涼香(すずか)だった。

「うん、ちょっとね・・・」

「今日はお(とう)が久しぶりに帰ってくるんだから!」

 颯たちの父親、蒼介(そうすけ)は、普段東京に単身赴任している。そこまで遠くではないのだが、なかなか会いに行けない。

「んで、今日のおかずは?」

「いもフライよ」

 他県ではあまり知られていない、いわゆるB級グルメのひとつである。そして東雲(しののめ)家全員の好物でもある。

「あいよ。んじゃ、カバンおろして、着替えて来んね」


 そして数十分後、父、蒼介が帰って来た。涼香は階段下から弟2人を呼ぶ。すると颯と末っ子の(ひかる)が部屋着に着替え、リビングに降りてくる。

「父さんおかえり」

 颯は笑顔で出迎える。


「「いただきまーーす!!」」

 4人はいもフライをおかずに夕食を食べ始める。蒼介はあまり東京へ単身赴任していて、年に数回しか帰ってこられないので、もろフライは久しぶりだ。

「涼香、ソース取ってくれ」

「はい、お父」

 4人ともこれが大好物なので、あっという間に平らげてしまった。


「ふぅー、食った食った」

 蒼介が腹をさする。そこへ颯が口を挟む。

「あのさー・・・父さん・・・」

「ん?」

近藤(こんどう)勇治郎(ゆうじろう)って人に会ったよ」

「あっ、近藤先輩か・・・。しばらく会ってないなぁ・・・元気だったか?」

「うっ、うん。・・・じゃあ、その近藤さんが今、どんな仕事してるか知ってるの?」

魔導攻防隊(ルーン・セイヴァー)だろ?何度か新聞で見てるし」

「じゃあ、単刀直入言う。・・・俺、魔導士になった。それで魔導攻防隊(ルーン・セイヴァー)に入りたいんだ!!」

「「・・・!?」」

 蒼介、涼香、晃は声を出さずに驚く。

「見てもらいたいものがあるんだ。ちょっと庭に出てくれないか?」


 4人は庭に出る。

「兄貴、準備できたよ」

 晃は颯に言われた通り、昔姉弟3人ともやっていた剣道の稽古用に使っていたカカシを地面に刺す。

「悪いけど、ちょっとさがってて。神凪(かんなぎ)・・・召喚!!」

 颯の右手にSKY(スカイ)の紋章と魔刀・神凪が現れる。

「刀が・・・!?」

「わーお!!」

「すげぇ・・・」

 もちろん、3人共驚く。

そして・・・

 颯が目を閉じ、「・・・フェザー!!」と言って開いた瞬間・・・刀の刃が翡翠色に輝く。

「いくぞ・・・はっ!」

 魔刀・神凪(かんなぎ)が手から振られる。その瞬間風が起き、カカシが吹き飛ぶ。

「ふぅー。まあ、これが俺の授かった能力なんだ。・・・で、俺、魔導攻防隊(ルーン・セイヴァー)に入ろうと思ってるんだけど・・・いいかな?」

 という颯の問いに「いいんじゃないか?」「兄貴、俺も賛成だよ!なんかカッコイイ!」と、蒼介と晃は賛成したが・・・。

「私は反対だからね!下手したら死んじゃうじゃない!」

 涼香だけは1人反対をした。だが・・・。

「・・・まぁ、誰かひとりはンなこと言うと思ってたよ。でも、俺が入る理由はそれだけじゃない。そう、もうひとつの理由は・・・」

 颯が言ったもうひとつの理由、それを聞くと3人ともまた驚く。そしてそれまで反対していた涼香も、「本当なの!?分かるの!?」颯の両肩をつかみ全力で揺らす。

「姉ちゃん落ち着いてくれよ。まぁ、100パーセントとは言えないが、手掛かりは掴めると思う」

 こうして家族の了承を得た颯は、部屋に戻ってスマホを持ち、電話をかける。その相手は・・・。

『もしもし』

「もしもし、近藤さん?颯です。今、電話大丈夫(ダイジ)ですか?」

『おう、丁度メシが食い終わったとこだ。俺にかけてきたってことは、決心したみたいだな?』

「ええ。俺、魔導攻防隊(ルーン・セイヴァー)になります!」


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