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魔超戦記 リリパットステップ  作者: 沢崎ハル
結成編
8/16

第8話 ナギは明日から・・・

「そこです」

(はやて)の発言に近藤(こんどう)は車を少し離れた路肩に停め、一行はナギの墓がある森の前に着く。

颯が右手をかざすと、森の中から道が現れる。その道を4人はひたすら歩く。森を抜けると西洋風の墓がポツリと建っている。そしてその墓の陰から1人の少年が顔を覗かせる。

「やあハヤテ、ヨシノ・・・」

 やはりナギの様子がおかしい。元気がない。

「どうしたんだナギ?」

 颯が訊く。

「ぼくにはもう、時間がないんだ・・・」

 夕日を背にし、涙を流しながらナギは答える。

「・・・もしかして成仏しちまうのか!?」

「君たちの時代じゃ天に召されることをそう言うんだね」

 ナギの体がみるみる透けていく。

「何だよ!せっかく出会えたのに!おまえはこれでいいのか!?」

「嫌だよ!ぼくだってハヤテと友だちになりたかったよ!」

 2人は思わず泣き叫ぶ。美乃(よしの)の目からも涙がこぼれる。絵利菜(えりな)もなんとなくだが、理解ができたようで、思わず唇が震える。

「言ったでしょ、ぼくはこの世界の人間じゃない。もうすでに死んでいるんだ」

「だからって・・・。そんな・・・」

 そのとき、近藤の胸元とナギの墓標が光る。やはりロケットとナギは何か関係があったようだ。

「君がナギか?」

 近藤がようやく口を開く。

「そうだけど、おじさんは?」

 涙をこらえながらナギが答える。

「失礼した。俺の名は近藤(こんどう)勇治郎(ゆうじろう)。これに身に覚えはないか?」

 近藤はジャケットから先ほどのロケットペンダントを取り出す。

「それは、ぼくがソフィアからもらった・・・」

 消えかかっているナギがハッとする。

「やはりそうであったか・・・。これは俺の家に伝わる家宝、そのソフィアとは、『ソフィア・サンクスビギング』で間違いないな?」

「うん。・・・ってことは、おじさんはソフィアの・・・」

「ああ・・・子孫だ」

 ナギは自らの手で涙をぬぐいながら、近藤からロケットを受け取る。すると・・・。

 ナギの身体(からだ)がまばゆく光りだす。4人は思わず目をふさぐ。


 光が消える。

「・・・ぼく、どうなったの!?」

 ナギが声を上げる。4人は目を開き、そちらを見る。すると・・・。

 「ナギ、おまえ元に戻ってるぞ!」

 颯は驚いて思わず大声を上げてしまう。

「えっ!?」

颯たちは目を疑った。先ほどまで半透明で今にも消えそうだった少年が、はっきり見えている。

 変化があったのはそれだけではなかった。ナギは近藤から渡されたロケットを開けてみる。するとさっきまで(から)だった縦長六角形の窪みに、同じ形の青色の綺麗な石がはまっている。

 ナギは泣きながらロケットペンダントを抱きしめる。そして・・・。

「あれっ!?」

 その変化に最初に気付いたのは、絵利菜だった。周りの景色が段々森になっていくのだ。

「どうやら今はあの墓には用は無くなったようだな」

「そのようですね」

 近藤の呟きに美乃が頷く。

 それと颯にはもうひとつ驚くことがあった。

「ナギ、おまえ・・・」

 そう、墓や神殿から出ても、ナギの姿が実体化したままなのである。

「・・・ソフィア・・・そこまでしなくても・・・」

 ナギの涙はまだ止まらない。颯はナギの持っているロケットの石にスマホのライトを当てる。そこには何か文字が刻んである。しかしそれは日本語ではなかった。

「何て彫ってあるんだ?」

「・・・『私の分まで生きて』」

 颯の背後から近藤が覗き込む。

「つまりだな颯、ソフィアはナギが一度死んでも生き返るように魔法をかけたんだ。しかしそれは使用者の寿命を縮めるというというリスクがある。・・・そのため、現在は使用禁止になっている」

「うわぁ~~ん!!」

 ナギが号泣する。しかし颯たちは何と声をかけたらいいか思いつかなかった。・・・そのとき・・・。

「せっかく『生きて』って言ってくれたチャンスを無駄にするの?」

 絵利菜がナギに近づき、抱きしめる。

「あたしもパパとママを亡くした身だから、何となくなんだけどわかる。・・・(つら)いよね。・・・でも大丈夫、今度はあたしたちがついてる。・・・だからね?もう泣かないで」

「うん・・・」

 ナギは涙をこらえ、袖で拭く。

「ごめんね・・・でももう大丈夫、ありがとう。えっと・・・」

「絵利菜だよ。綾垣(あやがき)絵利菜(えりな)

「エリナ、ありがとう。ハヤテもヨシノもユージローもありがとう。」

 ナギに笑顔が戻った。しかしちょっとした問題があった。

「ナギ、これからどこに住むんだ?」

 颯が訊く。

「ん~~・・・どうしよう?」

(ウチ)に来ないか・・・?」

 近藤が話に入る。

「いいの?」

「ああ、たいしたことはできないがな」

 ナギは近藤の家に預かられることになった。


 そして5人は森の外に向かって歩き始める。そのときナギはひとり振り向き、ひと言放つ。

「ソフィア、ありがとう」


 森を出てすぐナギは近藤の車を見て歓声を上げる。

「おぉ~!!何これ!?」

「自動車だよ。近藤さんの」

 颯が答える。

「ユージローのかぁ~」

「おまえ、何回か外に出て見たんじゃないのか?」

「ううん。目覚めたら今日がだったし、外に出たのもハヤテを探しに出たあの1回だけだから・・・」

「そっか・・・」

近藤が問う。

「・・・なあ颯、もう悪いがちょっとだけ付き合ってくれないか?」

「俺は大丈夫(ダイジ)ですが、絵利菜はどうなんだ?」

「あたしも大丈夫だよ」

 車に乗ること自体初めてなナギに助手席を譲る颯だが、自分が乗り物に酔いやすい体質なので、どうしても窓際は譲れず真ん中の席には美乃に乗ってもらった。

 近藤は車を走らせる。ナギは初めて乗る自動車に大興奮だった。しかし・・・。そのこともあってか、数十メートル進んだところで酔ってしまった。

「もう少しの辛抱だ。あとちょっとで着く」

 果たして颯たちはどこに向かうことになったのであろうか?




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