seek 11
久しぶりに花を買った
誰かにあげる訳でもなく
気の向くままに選んでいた
元々好きだった訳じゃない
むしろ、何の思い入れもなかったかな
綺麗だなと思っても
感情を顔に出す事が苦手な僕は
それを表現する術もなかった
でも
今の僕は、素敵な花を見ると
心が洗われる様な気がして
たまにだけれど
仕事帰りに買って帰る時があるんだ
君の影響なのかな
君が好きなモノは
やっぱり今でも僕は好きなんだ
いつかは必ず枯れて
そして朽ち果て、土に帰るんだよね
そんな事わかってる
だからこそ綺麗だって感じ
素敵だと思うんだね
君はよく花を買っていたね
それを上手に飾っていたね
僕はいつもその花が
生き生きしている様に思い
より多くの水を欲し
そして沢山の愛情を求めている様に感じられた
それは君のその優しい気持ちが
そうさせているのだと僕は思っていた
今でもあの花を君は好きでいるのかな
君が新たなる愛情を注いだあの花を
僕はまた眺めてみたい
僕が買ってきた花はよく枯れてしまうんだ
水も毎日替えてるし、お日様にだってちゃんと当ててる
でもすぐに枯れてしまう
愛情が足りないのかな
君みたいな優しさが足りないのかな
それでいつも悩んでしまう僕が居る
憶えているかな
最後の夜の事
僕は君に3本の花を贈ったよね
泣き顔に、ほんの少しの微笑みを浮かべて
君は受け取ってくれたね
あの時
僕はその3本の意味を言わなかったよね
不思議そうな表情だったのを
今でも鮮明に憶えているよ
本当は
一生君には伝えないつもりだった
でもどうしてだろう
今になって君に伝えたくなったんだ
単なる独りよがりだね
届かなくてもいいんだ
一度だけ聞いて欲しい
あの3本に、一つ一つ想いを込めたんだ
今まで本当にありがとう
今、一緒に居てくれてありがとう
そして最後に
これからの君の歩む道に、光がいつも差す様に
また明日、花を買ってこよう
いつもと違う
少しだけ大人びた3本を選んでさ
今度は枯れない様にね