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アームド・ブラッド―畏敬の赤―  作者: chiyo
第六章 終わる世界 繋ぐ光―Union―
158/172

第37話 託す願い 吼える雷―”stand together“―

#37


 ――遠い過去。


「はぁ、はぁ……」


 血臭が鼻腔を絶えず擽り、渇いた大地を濡らすおびただしい血液が、ヌルリと足を滑らせる。


 土地勘も無く、右も左もわからぬ荒野で、“殺し方”だけを良くる少年は、強化された身体からだを、あてもなく走らせ続けていた。


(……生きなきゃ、逃げなきゃ……)


 体内に埋め込まれた“壊音カイオン”の暴走により、わけもわからぬまま”七罪機関セブン“の施設から脱走した、少年時代の響を、”七罪機関セブン“という組織は、一日たりとも放置してはおかなかった。


 辿り着く場所どころか、自分自身の記憶、認識すら定かではない放浪の日々――。


 絶えず、送り込まれる刺客たちとの戦闘が、まだ、あどけない顔立ちの少年の心身を疲弊させ、軋ませてゆく。


 ――気付けば、少年の進む道は、毒々しい、血の”赤“に塗り固められていた。そして、


「―――――――っ!」


 少年の喉を突いて出る、祈りにも似た咆哮さけび


 遮蔽物のない荒野に、刺客の一団を誘き寄せた少年は、背に携えていた妖刀ブレードを引抜き、一息に斬り伏せていた。


 震えるかいなは、人間らしい安らぎを知らぬまま、殺し方ばかりを覚えてゆく。


 周囲に満ちていた“殺気”の消失を確信した少年は、大地に突き立てた妖刀ブレードに体重を預け、呼吸いきを整えると、血に濡れた地面へと、静かに腰を落とす。


「……………」


 ――このまま眠りに落ちてしまいたい。


 そんな肉体の切なる欲求に抗い、少年は自分が斬り伏せた刺客の遺骸へと、不意に視線を落とす。


 ……どんな怪物だろうか。


 鼠のような、すばしっこさでナイフを突き刺してきた小柄な刺客たち。その獰猛で精緻な動きは、とても人間のそれとは思えなかった。


 いや――そう”思いたかった“のかもしれない。響は、遠い未来から、当時の自身の心境を慮る。


「………」


 手にした妖刀ブレードの刃先で、響は刺客のフードをめくりあげる。


 ――見てみたかった。自身を執拗に追い続け、その肉を何度も突き刺してきた“怪物”の容貌カヲを。


 だが、


「……え……」


 それを目にした瞬間、響の喉から、幼い吐息が零れ出ていた。


 其処に、“怪物”なんていなかった。


 ――代わりに、十歳にも満たないような、幼い死に顔が、響を言葉なく見つめていた。


「う……」


 理性が理解するよりも早く、体が空っぽの胃から吐瀉物をこみ上げさせる。


「あぁぁ……あぁぁぁ!」


 何故、こんなに気持ち悪いのか。何故、涙が溢れ出すのか。何故――こんなに悲しいのか。


 れを理解出来ない、”殺し方“しからない体を突き上げる、深い慟哭。


 その慟哭が少年の瞳を曇らせ、理解させる。


 怪物は彼等じゃない。


 怪物は――、


※※※


【“護る者”よ……!】

「……!」


 ――“自分だ”。


 “共繋リンク”の影響か、過去へと彷徨さまよいでていた、響の精神が、”獣王キング“の一喝とともに、現実へと帰還する。


 鼻先まで迫っていた“殺戮者スレイヤー”の大剣を、すんでのところでかわし、響は間一髪、体勢を立て直す。


【どうした――“何を視た”!? “護る者”よ。これ以上の停滞は看過出来ぬぞ――】

「奴の……」


 言葉を交える、その僅かな間にも、戦局は動き続ける。


 半ば本能的に振るわれた、響の重輝醒剣と、”殺戮者(スレイヤー)“の大剣が重い金属音とともにぶつかり合い、“獣王(キング)”がその(あぎと)から放射した熱線が、”殺戮者(スレイヤー)“の巨体を、再び三頭邪龍の背へと後退させる……!


 その隙に響は息を、知り得た“事実”を吐き出す――。


「……奴の根幹には、”俺たち“がいる。奴は俺たち“強化兵士カスタム・ヒューマン”の願いが産み出した存在――“救われたがった”俺たちが産み落とした”疑似聖人“だ」

【……ヌゥ……】


 響の言葉に、“獣王キング”の喉奥から、苦虫を噛み潰したような、低い唸りがこぼれる。


 滅び去った地球に跋扈ばっこしていた、“カイジュウ”との闘争の中で、人類が進歩させてきた生体工学。


 れの最悪の成果と呼べる、”強化兵士カスタム・ヒューマン“との“奇縁”に、“カイジュウ”の王たる”獣王キング“もまた、幾ばくかの思考を巡らせているようだった。


 ――その一連の様子を見据え、”殺戮者スレイヤー“もまた、仮面の奥に、砥ぎ過ぎたナイフのような笑みを浮かべる。


「……小癪にも俺の中身を覗き見たか、“天敵種イレギュラー”。“畏敬の赤アームド・ブラッド”を喰らう貴様だ。むしろ、”共繫リンク“の発生を抑制するほうが難しいか――」

「“殺戮者スレイヤー”……」


 根源を知れば、自分たち“強化兵士カスタム・ヒューマン”のそれと理解わかる名を呟きながら、響は対峙する”疑似聖人“の鎧装ヨロイを見据える。


 自分たちの願いか産み落とした、倒すべき敵――。


 此の存在をどう受け止め、対処するべきか、響の精神はまだ、迷いの最中にあった。


「お優しい事だ――いや、“弱い”というべきか。有象無象の”御使“は倒せても、自身の因果が産んだ“聖人”には、惰弱な感傷を禁じ得ない、か?」

「……!」


 刹那。”殺戮者スレイヤー“のなぶるような物言いとともに、突如として上半身を襲った激痛に、響は呼吸を失う――。


 心の間隙を突かれたか。

 

 “殺戮者スレイヤー”が掌をかざした瞬間、響の上半身を夥しい”結晶体“が覆っていた。


 醒石せいせき化――ではない。


 醒石せいせきとは異なる、未知なる結晶が、響の肉身に喰い付き、その生命いのちを吸い上げているのだ。


「ぐっ……あぁ……?」

れは――“寄生結晶体あやつら”か!?】


 搭乗者を襲う脅威を察知した“獣王キング”は、体内に燃えたぎる蒼き焔を放射……!


 結晶体の殆どを焼き払う……!


 だが、響の鎧装の表層を焼き、少なからずダメージを与えた、その蒼きほむらも、肉身に深く喰い込んだ、根の如き結晶までは除去出来ずにいた。


 響はそれを、鎧装に覆われた五指でえぐり抜き、乱れた呼吸を整えんと試みる――。


 その間の“殺戮者スレイヤー”の猛追を、”獣王キング“はその巨尾で薙ぎ払い、憤怒の咆哮を轟かせていた。


【“寄生結晶生物このようなもの”まで用い、命を愚弄するか、”人間ヒトて“よ――】

「何でもつかう、何でも手中に納めたがるのが人間ヒトサガだ。(アンタ)が赦せぬ”人間の流儀“、骨の髄まで味わってもらおう――“獣王キング”」


 そう語る”殺戮者スレイヤー“が搭乗する“黄金邪龍樹アウルム・マレフィクス”の双翼、胴体にも結晶体が増殖! 追加装甲のように、金色の巨躯を彩り始める――。


 まるで、覇王のかんむりのように自らを飾り立てる結晶体に、三頭邪龍は歓喜の歌の如き、おぞましい鳴き声を響かせていた。


「…… ”生命喰いライフ・イーター“の王と、その生命いのちに寄生し、自らを無限に増殖・増強する“寄生結晶生物スペース・パラサイト”。この婚姻マリアージュ。“綺晶三頭覇竜キング・ドラッフェ”とでも呼ぶべきか。”神“といえど、その捕食の埓外らちがいではないぞ――」


 その”殺戮者スレイヤー“の言説に、”獣王キング“の白濁したまなこが鋭く歪む。


 不遜にも他者の生命を無尽蔵に吸い上げ続ける、“黄金邪龍樹アウルム・マレフィクス”と、その生命力と共鳴・一体化し、無尽蔵に自身を増強する結晶生物。


 が双翼をはばたかせ、世界へ”渡り“を行ったなら、人類どころか、この惑星の全生命に、計り知れぬ“犠牲”を強いるだろう――。


 だが、


【――――踏みにじらせはせぬッッ――!!!!】


 “獣王キング”の咆哮を狼煙のろしに、巨獣カイジュウたちの闘争が激化する。


 “黄金邪龍樹”を起点として。大地に根を張るように増殖した結晶体が、自らの一部を投擲槍ジャベリンのように射出……!


 ”獣王キング“はそれを口内から発した熱線で迎撃し、結晶体を蹴り剥がすように、その巨体を、響と共に疾駆させていた。


 そして――、


「くっ……!そぉ……!」


 響と“殺戮者スレイヤー”の死闘が、次なる段階へと進む中、”神の子“――アルもまた、“神黎児アダム”との凄烈な対峙を続けていた。


「ぐっ……!?」


 何度も跳ね返され、泥の中へと叩き込まれる、幼き身体からだ――。


 それでも、御使や”神黎児アダム“の攻撃を、輝電人きでんじん雷威我ライガの助力で潜り抜け、アルは“神黎児アダム”の巨体に、自身の”繰糸“を埋め込まんと、その両手を果敢に翳していた。


 ――力の差は、どうしようもなくある。


 噛み締めた歯は軋み、口内には絶えず血の味が満ちていた。それでも、それでも――、


(“やりきる”んだ! ガブが馬鹿な真似をしないよう、ちゃんと“生きられる”よう――)


 “俺が、守るんだ……!”


 強い意志を宿した双眼が、”神黎児アダム“を射抜いた瞬間、限界を超えた“負荷”が、アルの両腕の毛細血管を破裂させる――。


 激痛に、膝を折りかけたアルの心を挫くように、”神黎児アダム“が放った衝撃波が、小さな身体からだね飛ばしていた。


「ぐっ……あっ……」

「アル……! もういいよ! もう……十分だよ!」


 響く、悲痛な声――。


 苦痛に喘ぎながらも、立ち上がろうとするアルを、ガブリエルは、その体を覆い被せるようにして、制止する。


 遮二無二しゃにむに、“神黎児アダム”をにらむ少年へ、少女の慟哭を示すように、血の赤に塗れた腕に、翡翠の涙がこぼれ落ちていた。


「アルの気持ちは嬉しい……嬉しいけど、その為にアルが死んじゃったら、死んじゃったらダメだよ――ダメだよぉ!」

「ガブ……」


 少女のその嗚咽は、ある意味では、”神黎児アダム“の攻撃以上に、アルの心を挫いていた。


 確かに――自分のしている無茶は、ガブリエルのそれと大差ないのかもしれない。


 けれど、自分には出来る事がある。


 ――”あるはず“なんだ。


 アルは血の滲む唇を噛み締めながら、罅割ひびわれた虚空そらにらんでいた。


 そして、


「……!」


 泥の中から身を起こし、尚も“神黎児アダム”に立ち向かわんとするアルへと、複数の御使が融合したと思しき巨大な個体が迫りつつあった。


 荊で編まれた猪の如き異形が、大仰な咆哮とともに、”神の子“へと襲い掛かる……!


 だが、


「退け、“適正者”――」

「……!」


 刹那。


 銀蒼の剣閃ひかりが、アルの視界にひらめき、巨獣型の御使を両断!


 結合を解かれ、灰化する荊を、眩い光を放つ輝甲が、鮮やかに蹴散らしていた。


「あ……」


 生死を分ける、緊迫した状況だというのに、その輝甲(ひかり)の美しさに、アルは一瞬、言葉を、思考を奪われていた。


 ――輝甲(ひかり)の、鎧装(ヨロイ)の名は、”蒼鬼(ブルー・オウガ)月輝(ツキアカリ)“。


 勇壮にして精緻な造形を持つ、銀蒼の鎧装(ヨロイ)の輝きが、泥の中から立ち上がろうとする少年の視界を、(まば)ゆく照らしていた。


「あ……あんたは……?」


 たしか、響兄ちゃんと“破滅の凶事ゼルメキウス”をたおした――、


 激闘の記憶を紐解きながら、鎧装ヨロイを見上げるアルに、鎧装ヨロイの主は細波さざなみのような、静謐なる声音こえこたえる。


「俺はブルー。無駄は省く。俺の素性は、”あの男(ムラサメ)“と大体同じと考えてもらっていい――」

「兄ちゃん、と……?」


 頷き、ブルーは、背後に迫った御使を、最小限の剣捌き(モーション)で両断。淡々と言葉を言い紡ぐ。


 (とぎ)済まされた剣のような硬質さと、氷に抱かれた(ほむら)のような微かな熱――。


 そのブルーの声が漂わせる気配は、確かに、アルがよく()る響のそれと似ていた。


 未曾有の状況下で、不動の“冷静”を保つ青年の五指が、逸る想いを鎮めるように、輝双剣の柄を軋ませる。


「“適正者”――”輝電人アレ“を俺に貸せ」

「……!」


 ――文字通りの無駄を省いた要求に、アルの目が点になる。


 いま、”輝電人・雷威我“は、アルにとって肩を並べて戦ってくれる“主戦力”と呼べる存在である。


 それを――、


「業腹だが、”あの男ムラサメ“抜きでは、”神黎児アダム“とやらをたおす決定打に欠ける。だが――“輝電人ソレ”があれば、その壁に活路を穿うがてる可能性がある」

「ちょっと……」


 言葉を制ように立ち上がったアルを、意に介する事もなく、直立不動の銀蒼の騎士は、言葉を続ける。


「傲慢かもしれんが、”煌輝アレ“と同様の誕生経緯を持つ俺が、ラ=ヒルカと縁あるお前たちの信託を受ければ、“輝電人きでんじん”を借り受ける事も出来るはずだ。俺と”白輝シャピロ“、“輝電人きでんじん”が揃えば――」

「ちょっと待ってよ……!」


 堪らず叫んだアルに、ブルーの口舌がようやく言葉を区切る。


 銀蒼の仮面に輝く翡翠エメラルド眼光ひかりひるみながらも、アルはブルーの鎧装ヨロイへとすがり付く……!


「あ、“輝電人あれ”は、俺がカブを助けるための大事な”力“なんだ! 俺、俺が必ず、あの“神黎児でかいの”を止めてみせるから――!」

「……無理だ。俺の“相棒”がそう解析した」


 ”俺に輝電人を使わせて……!“


 そう追い縋るアルに、ブルーは冷徹に告げ、銀蒼の鎧装ヨロイを掴む彼の手を一瞥。諭すように言葉を続ける。


「無謀な賭けと知れたものに、人類の命運を預けられる程、俺たちに猶予はない。廻り道でも、最善の一手を積み重ねていくしかないんだ」

「けど……けどさぁ!」


 運命さだめだと、役目だと、生命を散らさんとする少女を救う為に、少しでも”力“が欲しい。


 “神の子”でありながら、いまはまだ、多くを掴めぬ手を、銀蒼ブルー鎧装ヨロイに叩き付け、アルは込み上げる嗚咽を飲み込む――。


「…………」


 その感情を受け止めるように、ブルーは膝を屈ませ、アルの真っ直ぐな瞳に、自身の目線を合わせていた。


 そして、自身の半分以下の年端の少年に、真摯に対峙するその所作が、ブルーの提案がおごりではなく、抜き差しならぬ状況を突破する為の“最善策”である事を、アルに自然と理解させていた。


「……だから、お前に援護を頼む。アレの動きを、僅かでも抑制出来れば、俺たちの仕事ははかどる」

「ブルー、さん――」


 輝双剣を握り締めたブルーの腕では、アルの肩を抱き、慰めてやる事は出来ない。だが、それに等しい慈愛ぬくもり優愛やすらぎをアルは、”感情を抑制された“ブルーの声音から感じ取っていた。


 そして――、


「……ガブリエル、だったか。アンタにも伝えておきたい事がある」

「え……?」


 ブルーは、アルの無茶を心配し、彼の袖を引くガブリエルへと、その声音こえの行き先を変える。


 二人に面識自体はない。


 ――だが、ブルーにも、ガブリエルにも、無視できぬ“繋がり”があった。


「兄の捕食から生き延びた以上、アンタにも“生きる”意志はあるはずだ。アンタから流れ込み続ける“命”で、俺たちの鎧装ヨロイは、輝きを、”奇蹟ちから“を維持しているが――」

「え……えぇっ!?」


 ブルーから不意に語られた事実に、アルは素っ頓狂な声を上げ、ブルーとガブリエルの顔へ交互に視線を送る。


 ガブリエルが、片腕を捧げる事で、響が体内の”畏敬の赤“を制御出来た事は聞いていたけれど、まさか、その“命”は継続して――?


 蒼白となるアルの表情に、彼等の対話を御使から護り続けていたシャピロは、物憂げに目を伏せる。


 人類ヒトの未来を護る、眩い輝きの”代償カラクリ“に。


「……“神黎児アレ”をたおす事で、それもしまいにする。例え”生死に関わる“ような量ではないとしても、俺も、俺の相棒も、“あの男ムラサメ”もそのような”奇蹟イカサマ“に頼るつもりはない」

【――--――!】


 そして、ブルーの意思に共鳴するように、アルたちを守護ガードしていた“輝電人・雷威我”が、銀蒼(ブルー)の隣に並び立つ。


 彼もまた命の護り手。


 人類の守護者であった。


「ブルーさん――」

 

 猛々しく電光を放つ輝電人に頷き、アルは銀蒼の騎士へと想いを、願いを託す。


「お願い……一緒にガブを助けて」

「……承知した」


 信託は、成された。


 アルの願いに、ブルーが応えた瞬間、“月輝ブルー”の額に輝く”制御翠核エメラルド・コア“が、輝電人との“契約”を示す円輪を輝かせていた。


 同時に、“輝電人”、“神の子”と並び立った、銀蒼の光が雄々しく”神黎児アダム“を見据える――。


「いくぞ、輝電人。適正者。あの”神黎児デカブツ“に、この状況に、まずは”穴“を穿うがつ――」

【―――-―――---――――――ッ!】


 剣閃に裂かれ、雷光に爆ぜる“御使”の群れとともに、戦端は開いた。


 ”神黎児アダム“の圧力を受け止め、鈍らせるは“神の子”の手。


 そして、“月輝ブルー”の脚甲が、動きを鈍らせた”神黎児アダム“目掛け、鮮やかに大地を蹴ると同時に、第二の主人を得た雷威我ライガの咆哮が轟く。


 赤にひずんた闇の中、束となった”希望ひかり“がいま、未来あすへの道を切り拓かんとしていた。


NEXT⇒第38話 ”希望ひかり“を束ねて―“Fleet”―

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