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序想―”monologue”―
全ての物語の結末が、”幸福”であるとは限らない。
崩れ始める自分自身を認識しながら、その現実を思い出す。
想いは届いたか。
願いは満たされたか。
慟哭は癒されたか。
理解らない。
朱い光が、宙に噴き上がる――。
宝石のように無機的に煌めき、心臓からほとばしる血のように生々しく絡み付く”朱”が、頬を掠め、落ちていく自分の横を通り過ぎてゆく。
神々しくも毒々しい――”畏敬の赤”と名付けられた輝き。
総てはそこから始まり、そこに納められる。
手を、伸ばす。
想いが届くように。願いが満たされるように。その慟哭が癒されるように。
世界の終焉に、たった一つだけ、優しい”奇蹟”が起きるように。
結末はまだ、わからない。
だが、これはここに辿り着くまでの物語だ。
これは――君と歩む、僕の物語だ。