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【序章】夢

そばで横たわる一人の女性を呆然と眺めていた。


彼女の抉られた腹部からは止めどなく血が流れている。

女はわずかに目を開いて細い呼吸をしており、ゆっくりと口を動かしてなにかを言っていた。

彼女の左手首に嵌められたバングルが光を放ち暗い闇夜を照らしている。

 

周囲には胸に矢を受けた女やすでに息絶えた女がいた。


出会ったことのない人ばかりだ。

少し先の方では、軍服を着たあまたの兵士がこの光景をじっと眺めていた。


「だから早く……宝石のところに……」


「でも……アン……」

 

発言して初めて、女がアンという名前であると理解した。

 

アンが私の右手首をぎゅっと掴む。


「平等な世界作るんでしょ?」

 

訴えかけるような視線で言われたその言葉の意味を理解することはできない。

きっとどこかでそんな約束を交わしたのだろう。

 

––––––––これは予知夢だ。

 

夢が醒めずとも、そうであることを自覚した。


おそらくは旅を続ける中で、このアンという女と出会うことになる。

それが目を覚ましてすぐなのか、それとも何年も先のことなのかはわからない。

この予知夢はそのアンという女が死ぬ光景なのだろう。


「……あたしのことはいいから……行って」

 

アンが私の背後に視線を映して呟く。

 

その先になにかがあるらしい。


果てしなく続く夜空と状況に似つかわしくない静まり返った海。

アンの視線の先にあるのは村だろうか。

遠くの方から水の弾ける音が聞こえた。


「わかったよ」

 

アンの思いを受け止めるように深く頷く。無意識だった。

 

光を放つバングルをアンの左手首から外して立ち上がる。


「ありがとう。アイ」

 

そんなアンの言葉を背後に受けながら、私は走り出した。

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