表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

終章 未来に残されたもの

姉弟(きょうだい)がそっと消えてから――数日後、


とある神社に、

男女の兄妹(きょうだい)が一人の少女を訪ねてきていた。


男は静かに少女の名を呼び、

そっと一つの包みを差し出す。


「二人が、残したものだ。」


包みを開くと、そこには一本の短剣と、

一枚の手紙が入っていた。


少女は、

その場で立ちすくむ。


続いて、

女が懐から一冊のノートを取り出し、

少女に手渡す。


「……あいつから。

 渡してほしいって、頼まれた。」


その瞬間、少女の堪えていたものが崩れ落ちた。


とある日の約束は――守られなかった。


けれど、失われたはずの心は、

確かにここへ帰ってきていた。


少女の元に残されたものは、


武器でも、

力でもなく、


歩いてきた証と――想いだけだった。


その日、

少女は時を忘れ、


ただ……


ただ……



泣き続けた。




九十年後の未来――


「……少女は、とてもとても大切な弟と、

誰も知らない場所で、静かに暮らしましたとさ。

――おしまい」


老婆が……静かに語り終えた後、


……少し間を置いて


寂しそうに少女は尋ねる。


「ねえ、おばあちゃん。

その女の子と弟さん……、

幸せに暮らせたの?」


老婆は、少しだけ間を置き、


優しい笑顔を浮かべ、

そっと空を見上げ……答えた。


「短い間だったけどね……

きっと、幸せだったはずだよ」


「ほんとに?よかったぁ」


少女はにっこりと笑い、

手を振って去っていった。


一人残された老婆は、


すっかり変わってしまった――

それでも“日常”として受け入れられた世界の景色を、


おだやかな笑顔で、


静かに空を眺め続ける――


雲の向こうに語りかけるように、


――そっと、囁いた。


「……幸せに、なれたよね?」


心地の良い風が――静かに流れ、


木々を揺らす――




「私は、まだ生きてるよ――お姉ちゃん」


物語を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語は、老婆の呟きにより、登場人物の歴史が終わります。


ここまで見た方には分かると思います。


この物語では、誰かが誰かを助けたいと思う心が、誰も救えない結果に繋がりました。


私は、想い合った善意の心は、必ず報われるべきだと書くつもりでした。

……でも、この物語から真実ではないと否定され、結果は読んでいただいた通りとなります。


それぞれの選択に、どうすれば良かったのか?

この物語に『正解』は書かれていません。


それは、全てを読んだ方の中で見えた真実が、

正解であり、この物語の本当の終わりだからです。


私は、この兄弟たちの運命を、自身の中だけで終わらせたくありませんでした。

それが、この物語を書いた理由です。


あなたが見えたその先には、何が残りましたか?


皆様の中で残されたものは、幸せであった事を、私は心より願います。


この物語の兄弟たちの運命を見届けてくださり、


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ