序章 空を見上げる老婆
この物語は、後半からエピローグを先に描いたところから生まれました。
そこに至るまで、
登場人物たちがどんな時間を生き、
何を選び、
何を背負い、
何を失ってきたのか。
その「歩いてきた道」を見届けたいと思い、
結末へ向かうまでの物語を、
遡るように描いています。
もしこの物語の扉を開いてもらえたなら、
どんな些細な事でもいいので、
感じた事を教えていただけると嬉しいです。
二人の姉弟の物語が、
一人でも多く見ていただけることを、
切に願います。
とある町の、公園に似た景色の場所。
一人の老婆が、穏やかな表情で空を眺めていた。
心地よい風が吹き、うっすらとした雲が流れていた。
そこには無邪気に笑い、
遊ぶ子供たちの姿があった。
ふと一人の少女が無邪気な笑顔で駆け寄り、
声をかける。
「おばあちゃん、
お空ばかり見てるけど、
なにか見えるの?」
少女の問いに、
老婆は優しく微笑んだ。
「今日はね……
ある女の子が、救われた日なの。
その日が懐かしくてねぇ、
つい空を見ていたのさ。」
少女はきょとんとした顔で、
老婆を見上げる。
「ふーん、めでたい日なんだね。
その女の子になにがあったの?」
老婆は空から視線を戻し、
静かに問い返す。
「それはねぇ。少し長いお話になるけれど
……聞きたいかい?」
少女は笑顔でうなずいた。
「それじゃあ、話してあげようか。
二本の木刀と――不思議な弓のお話だよ」
心地よい風が流れる中、
そっと、
昔の話を語り始めた――。




