表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケロフォビア  作者: 嘘つき
しょうがっこう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/40

第9話 お母さん、大好き

私のお母さん、りこお母さん。


すっごく美人で、お話上手で愛され上手。


私のことをずっと考えてくれてて


私のために働いてくれてる。


お母さん、大好き。



会社には勤めてないけど、それでもお金をたくさん稼いでるらしい。


詳しくは知らないけど、きっとこれが才能、ってやつ。


私のお母さんはすごい。


私のことをずっと考えてくれてて


私のために働いてくれてる。


お母さん、大好き。



最初のお父さんは、私のことを殴ったり蹴ったりしたんだって。


お母さんが言ってた。


だから離婚して、私を守ってくれたんだって。


でも私が寂しくないようにって、いつも頑張ってお父さんを連れてきてくれる。


私のことをずっと考えてくれてて


私のために動いてくれてる。


お母さん、大好き。



私は愛されてるんだって、この身でそう感じるの。


お母さんの温かい包容。


いつも酔っ払って帰って来て、私のことをぎゅーって抱きしめてくれる。


お酒くさい。でも、とっても温かい。


大好きだよ、ってそういう時に言ってくれるの。


だから私も、


お母さん、大好き。



私は出来ない子だから、忘れ物が多いの。


ごめんね、お母さん。


お母さんはそんな私をちゃんと怒ってくれる。


どうして出来ないの、って。


言ってわからないならって身体に教えてくれる。


私は出来ない子だから、そうやって覚えるしかないの。


でもごめんね、私それでも忘れ物しちゃって。


お母さん、大好き。



ママ友?ってやつをいっぱい家に呼んでくれるの。


知らない子がたくさん家に来て。


何回か遊んだらまた別のママ友がやってくる。


ママ友って作るの難しいみたい。


みんな自分勝手なんだって。嫌だよね。


私はそんなお母さんの味方だよ。


お母さん、大好き。



お母さんは私のことを考えすぎて、たまにおかしくなっちゃうの。


私のせい。ごめんなさい。


叩いたり、蹴ったり…こうなりたくないだろって、腕の線を見せてきたりする。


あれ、なんなんだろう。


そうやっておかしくなっちゃったお母さんは止められない。


でも私はお母さんが大好きで…


だから受け止めるの。



私…私、何してたんだっけ。



温かい。



目が覚める。お布団の中にいる。なんか変な感じがする…。全部夢だったのかな。


ふらふらと洗面所に向かって鏡を見た途端、血の気が引いた。



首に赤黒い輪っかがついてる。



なに…これ。


昨日ってたしか…。


ああ、夢じゃなかったんだ。



「葵、おはよう。よく寝れた?」



リビングに戻ると、台所からお母さんの穏やかな声が飛んでくる。


昨日あったことは現実だったの?


今の私でも怖くて聞けなかった。手が震えてるのを感じる。


「早く学校行く準備しちゃいなねー。」


そうだ、学校行く準備しなきゃ。



お母さんを困らせちゃいけないから。今日も、ちゃんと笑って。



「いってきます!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ