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ケロフォビア  作者: 嘘つき
しゃかい

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最終話 【それじゃ、元気でやってね。】

ふう…よし。


綺麗に片付いた部屋を眺める。


大事なものはちょっとだけ残して詰めて置いたし。



あとは大量にある眠剤とカッターでスパッと、ね。



ああ…。


…。



結局ここにたどり着くんだ。


やけに手際が良いと思ったら、前死んだ時と同じ事してるじゃん。



結局、この走馬灯みたいなのなんだったんだろう。


分岐軸みたいな結果にはなったけど。


みやこちゃんだったりとかね。



でも結局死ぬ。幸せになろうとすると死ぬ。



根底が変わってなきゃ意味ないじゃん。



でも変えられなかった私のせい、って言われたらそれまで。



ゲームオーバー。



もしまた死んだら、同じように小学生から始まるのかな?



またやり直し、出来るのかな?



私はその場の感情に流されちゃって、


なろう系の主人公みたいには出来ないから。



また同じ結果を辿りそう。



《お風呂が湧きました。》



あとは薬を飲んで、切るだけ。



なのに。



なにかが突っかかってる。



なにかが叫んでる。



私の心の中で。



本当にこれでいいの、って。



誰なの?私じゃない。


前はこんなこと思わなかった。



楽に死ねたのに。何?



私がやり直しをして決定的に変わったもの。


私はそれを見逃している?



…とりあえず最後のひと吸いを…。


火を付けて、


「ふう…。」



―「やっぱ、創作で語る人間なんだよ、葵は。」



ふと脳裏をよぎった。


ああ、つぐちゃん。



思い出すと辛いから、必死に心にしまってたつぐちゃんだ。



本当にこれでいいの、って。つぐちゃんならそう言う。


私は…。


私は今、何をしようとしている?



死を選択しようとしている。



死は人生の終着点。エンド。



死があって人は完成する。私はどのみち終わる人生に、自分で蓋をしてるだけ。



でもつぐちゃんは言う。それは違うって。



…。



私は、”死”で語ろうとしてる?



つぐちゃんは、そう言いたいの?


…。


たしかに、死で語るのは誰でも出来る。



でも私は、完璧超人の私は、そんなもので自分の人生を語っていいの?



本当にそれで、満足するの?



…いや。しない。



「へへ、そっか。わかったよ、つぐちゃん。」



私の人生は、創作で語る。



まるで小説みたいな私の人生、じゃあ小説にしちゃえばいいじゃん。



こんな簡単なこと、どうして気づかなかったんだろう。



PCをつける。適当に調べたら出てきたなろうを開いた。


…使ったことないからわかんない。アカウント作らなきゃいけないの?



名前決めろったって…これから書くのは私の存在そのもので…



【嘘つき】



これでいいでしょ。



後は好き放題に殴り書きした。初めてプロット無しで小説を書いた。



「うわ、ひっどい。なにこれ。」



陳列された稚拙でエゴの塊みたいな醜い文章。


もういいや、校閲するのも面倒くさい。投稿しちゃえ。



…ん、なに。タイトル?そんなの決まってるじゃん。



【ケロフォビア】



私を表すに相応しいタイトルでしょ。



んじゃ、改めて投稿ー。



【第1話 それじゃ、元気でやってね。】



1話と2話を勢いで投稿した。


その後は片付けをした疲れからか、そのまま死んだように眠った。



…なんか通知来てる。



【作品がランクインしました】


【連載中 6位】


…。


コメントも来てる。



【続きが気になります!】


【タイムトラベル? 走馬灯? 過去の想起?いすれにせよ、主人公がどうして1話の結論に至ったのか、読ませていただきます 遊】



ほら、私の人生ってやっぱりなぜだか全部上手くいく。


…でも今回は、つぐちゃんのお陰かな。



いずれにせよ、読んでくれる人がいるなら、


私の人生を楽しみにしてくれる人がいるなら。



つぐちゃんに言われたことを証明するまでは



「生きる。」



私は執筆を始めた。

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