第75話 聖地巡礼Ⅱ
久々にオシャレした。
みやこちゃんに会うんだからね。
礼服?へへ、そうかも。
「おひさ。」
「おお、みやこちゃんウルフにしたんだ。」
「いいっしょ?ピアスも見えるしサイコー。」
変わらないなあ。痛いほどに変わらない。
それに安心感を覚える。
「みやこちゃん、欲しいものとかある?買ってあげる。」
「ん?まじ?ちなカレシいるから口説かれねーかんな?」
そっかー、残念だなあ。なーんて。
そんなものに必死だった時期もあったね。懐かしい。
「んじゃあこの指輪。」
「わかった。すみません、これお願いします。」
「10万4247円になります。」
「カードで。」
「承知いたしました。お買い上げありがとうございました。」
「はい、プレゼント。」
驚いた顔のみやこちゃん。かわいいね。
「おま…まじ?まじで言ってんの?」
「うん。欲しかったんでしょ?」
「相当稼いでんだろ、お前。」
「まあね。」
もうどうでもいいから、お金とか。
「高校時代、色々あったね。」
「一ノ瀬から掘り返すんか。」
そのために来たんですもの。喫茶店にも、みやこちゃんがいるところにも。
「ごめんね、色々振り回しちゃって。」
「細けーことはいいよ。私も一ノ瀬に乗っかってたし。」
「未だに私のこと好きなの?」
「カレシいるっつってんだろ、バカ。好きだよ顔は。」
ああ、いい顔で困っちゃう。
「結局一個疑問だったんだけどさ、一ノ瀬。」
「なんであんな提案してきたん?」
そりゃ、あの時は幸せになりたくて…。
「エゴ、かな。自己満足。」
「可哀想だなって思ったの、みやこちゃんのこと。」
「大人みたいな嘘は嫌い。本当のことを言え。」
私、感情隠すの下手になってるのかな。
いや、ホントは気づいてほしいって気持ちが出てきてるんだ。
「そうすればみんな幸せだって、本気で思ってた。」
「私は幸せになりたかった。」
片方の口角だけを上げて笑うみやこちゃん。
「そうそう、一ノ瀬はそれでなくっちゃねえ。」
満足げに。
「その点で言えば、私は一ノ瀬に幸せにしてもらってたよ。」
「一ノ瀬の身体好き勝手に使いたい放題、サイコーじゃん?」
そっか。私はみやこちゃんを幸せに出来てたんだ。
「ぶっ壊れてる歯車と噛み合うのは、同じ壊れ方した歯車だけなんだってあの時知ったわ。」
最初に私のことを屑だって言ったのも、みやこちゃんだっけ。
「そんなわけで、ありがとうね。みやこちゃん。」
「ん~。またなんかあれば連絡してきてもいいから。一ノ瀬だけは例外。」
ありがとう。二度と連絡しないけど。
不思議とみやこちゃんとはスッキリ別れられた。
これぞ、過去の清算って感じ?それ以外の人には未練が残ってたのかな…。
いや、やめだ、そんなこと考えないようにしよう。
会った人は、清算済み。
じゃあ、家に戻って始めるか。




