第66話 Re:Re:Re:未開の地、明らか場違い
「まあ、大学時代の実績を考慮した結果よ!」
と一言西園寺さん。
「任命されたからには頑張りますけど…西園寺さんの補佐。」
社会人一年目が入る場所じゃないとは思っているけれど。
「ということで、新卒歓迎会いえ~い!」
一般採用しかしていないこの会社での新卒歓迎会は、そりゃ大人数で行われる。
普通適正にあった部門に行くはずだからね。
そんな中でも全体を仕切ってるのは西園寺さん。
社会の支配者って感じ。明るいけど。
同期…いや厳密に言えば違うんだろうけど、同期は20人弱。
ひとクラス分もいたら覚えられない。
てか、
覚える気もない。
今日はタダ酒だし、静かに飲んで帰りますかねぇ~。
「すみません、新卒の方ですよね?間違ってたらすみません。」
っと思っていたのに。笑顔を向けて顔を見てみると、若い女の人に話しかけられてた。
「間違ってないとは思いますよ。一年目なので。」
「ですよね~よかったです!私、星野っていいます。これから頑張っていきましょう…!」
恐らく研修もしないであろう私と今接点を持ってどうするのだろうか。
「一ノ瀬です。よろしくお願いしますねー。」
「早速ですけど、一ノ瀬さんって、どこの部門行きたいとかってあるんですか?」
これは…なんて答えればいいんだろう。
別になんでもいいか…。
「私、編集部門です。」
「…ん?編集部門に入りたいんですね。」
「いやだから、編集部門です。」
「えっと…。」
ああ、困っちゃった。何してるの?私。
説明してあげなきゃね。
「私、一般採用じゃないので。特例で編集部門採用で、西園寺さんの部長補佐として入ってます。」
星野さんの目の色がほんのわずかに変わった。
多分、普通の人じゃ気付かないレベルで。
でも私は気づく。
てか、そういう流れにしたの私だし。
妬ましいよね。わかるわかる。
なんの苦労もしないでこの立場に立ってる私、妬ましいよね。
いや、それな?
でもごめん、そういうことなので。
運だけは良いので。
「今の話、星野さんだから言ったってこと忘れないでくださいね?」
「二人だけの内緒です。いいですか?」
適当にこういうことにしておこう。そうすれば…。
「ひ、秘密…!わかりました!守ります!じゃあ私も秘密を1つ…。」
こうなる。
「実は私、編集部門に行きたくて…数カ月後になるとは思いますが、再会出来るの楽しみにしてます!」
ああそうですか。楽しみですね。
「ちょっとお手洗い行ってきますねー。」
「はい!」
と行って喫煙所に駆け込む。
はあ…。どう立ち回ろうかなあ。無能な私に出来ることなんて無いのに。
「あっ、やっぱりここにいた。窮屈だった?」
「西園寺さん。吸いましたっけ?」
「いや、君を探して三千里ってね。」
「ちょっと状況整理させたげる。」
西園寺さんは壁に腰掛け、私と目を合わせた。




