第59話 お祈り
【今後のご活躍をお祈り申し上げます。】
は?
これで22社目。
クソじゃん!クソ。なにこれ。面白くもない。
スーツ私似合わないし。
スーツ似合ってないんだからそりゃ落ちるよ。
あーあ。やだやだ。
…。
明日は…14時からか…。
これで最後にしよう。もうこれで二次面接行かなかったらやめる!
就活やめる!!
「ああ!もうまじでなんなの!!!」
「落ち着きな。何社目?」
「…23…。」
この世の中狂ってる。全部全部全部!
…うそ、つぐちゃんは狂ってない。
就活を4年になってから始めて半年経った。経ってしまった。
おいおい、まじか。親分、こいつまだ内定0ですぜ!?
あら、まあ。見てられませんわ。
ほんとだよ、全く…。
「葵の才能はさ、社会じゃなくて自分のものにした方が良いと私は思うよ。」
つぐちゃんの慰めの言葉。…。
「でも、私の力は…なんていうんだろう。他人がいてこそな気がするの。」
苦し紛れの回答。ハイボールで飲み込む。
「本当に作りたいもの、とか無いの?バンドの時もバンドに合わせた作曲してたしさ。」
「あんたから溢れ出す何か、ってのは無いわけ?」
もう…難しい質問やめてよ。
私が本当に作りたいもの…。それは、それはきっとさ。
「きっと惨めで愚かで汚くて、どうしようもないものになる。」
釈然としない回答しかできない自分にムカつく。タバコ追加。
「まあなんなのか知らないけどさ、私は葵が幸せになるならなんでもいいよ。」
もう…。つぐちゃん好き。
大好き。
「ちょっ居酒屋でくっつくのやめて。恥ずかしいから。」
私の人生矯正をしてくれる人。
私を唯一見てくれる人。
私を正常にしてくれる人。
…絶対手放さないんだから。
そんなつぐちゃんを今後の人生で支えたい。
って、ふと思った。
これが、私が就職する理由なんじゃない?
安定した収入源の確保。
気づいちゃった。
「つぐちゃん。」
「なに。」
「私、もうちょっと就活頑張ってみる!!」
宣言!気づいたら立ち上がってた。周りからの視線を感じる。
「そういえば、ゲームで何担当してるんだっけ?」
「キャラデザ、モーション、音楽、SE、シナリオだけど。」
「そんだけ一人で出来るんなら就活いらないって!と私は思います。」
私が幸せになるなら何でも良いと言っておきながら…つぐちゃんのズル!
「君、就活困ってるの?」
んえ?知らない女の人の声。…というかおばさんの声が聞こえた。
…こっちを見て言ってる。私に言ってる?
「…まあ、それなりに。」
「君、シナリオってことは…執筆するってことよね?」
なに?酔っ払いのおばさん?疑いつつも頷いてみる。
「ちょっとおばさんに話聞かせてよ。せっかくの縁だからさ、ね?」
これは…どっちだ?




