表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケロフォビア  作者: 嘘つき
だいがく

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/76

第58話 残ったもの

学園祭から一週間が過ぎ。



私の大学生活の一部だったバンドは消え去った。


儚くも散った。



でも、私は後悔していなかった。



理由は単純でさ。


高校のやり直しは、もうとっくに出来ていたから。



それどころかギタボにまで転身しちゃってさ。バンバンザイだよ。



私に残ったのは、絵、音楽、ゲーム、そしてつぐちゃん。



充分?そうかもね。


逆に今までが多すぎたのかも。



就活…ねえ。


私はインターンで二度も失敗してる。


これって、社会が私を遠ざけてるんじゃないの。そうとしか思えない。



《お前、絵で稼いでんだろ?ゲームも当たれば金になる。》



マギカさんの意見は、そんな私の考えの背中を押した。



そう、たしかにそう。絵で稼いで、ゲームが売れたらお金は稼げる。


就職する意味は無い。



安定は保証されないけど。



そう、安定が無い。私の中でこれが引っかかっていた。



漠然と安定を求める私の思考回路が、就職をしろと信号を出し続けているのだ。



「やるだけやってみればいんじゃない?」



つぐちゃんはそう言う。やるだけやる、ねえ。


「なんでそんなこと言うの?」


「だって、新卒切符は一回キリだよ?ライブと一緒じゃん。」



「その瞬間を逃したらそれまで。」



なるほどね、とは思った。無駄にするのは好きじゃない。


…けど。



「つぐちゃんはどうするの?専門行って、大学も出て。ってかなんの専門だったの?」


話を脱線させてしまったけど、ふと気になった。



「ん、音楽のだよ。クソだったから大学来た。就活したくないし。」



…てことは?



「私はギターで食っていく。就職は考えてない。」



ああ、一貫してると清々しいな。魅力。


「つぐちゃんならいける。歌って歌えるの?」

「人並みにはね。」

「じゃあ、路上ライブからだね。」

「もうとっくにやってるよ。専門の時から。」


私はアドバイスする側ではないのかもしれない。



「つぐちゃん、ほんとかわいいしかっこいいし無敵じゃん。」


私に比べたら…。



「しょげてないでさ、あんただって良いもの持ってんだから。」



「見ようとしないのやめな、ちゃんと自分を見ろ。」



…見てるもん。見た上で悩んでるんだもん。



そのはずだもん。


…。



ほんとにそう…かな。



わかんない。自分のことなんて、影か鏡でくらいしか見えないし。



ベランダに出てライターを取り出す。


…はあ。一生こうやってぼんやりしてたい。



生きてるだけで偉い、でしょ?ネットではみんなそうやって言ってるよ。



じゃあ私も生きてるだけで偉いんだからさ、


こうやってタバコ吸ってるだけで生きる資格ちょうだいよ。



…。無理か。



そうやってぼんやーりしていたら、大学3年の3月は終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ