第49話 反吐と光
大学2年の1月。
成人式の日。私は約2年ぶりに地元に帰ってきた。
実家…は住所が変わったらしい。
「葵、おかえり。」
笑顔で出迎えてくれたお母さん…と知らない男の人。
「あ~この人?今お付き合いしてるのっ♡あっくんって呼んでね♡」
あっくんね。別にあっくんはどうでもいいよ。
そのキッショイ態度、まじでやめてくんない?
吐き気がした。母親のメス顔猫撫で声なんて聞きたくない聞きたくない。
…。
「じゃ、もう行くから。」
成人式まではまだしばらく時間あるけど、気分が悪いので逃げることにした。
地元の成人式ってことは、中学生時代の人たちが集まる。
…あんまり良いこと無かったかもなあ。
ガヤガヤとした会場をなんとなく眺めながら、時間になったらしくホールに入る。
思ってたより話はすんなり終わって、成人式はあっという間に終わった。
「よっ。」
後ろから声をかけられて振り向くとそこに…。
あきとくんがいた。
「えっ。どういうこと?亡霊?」
「あー、あの時以来だもんな。ちと家出してたわ。高校くらいまで。」
なんて自由奔放なやつなんだ。というかどうやって一人で生きてきた?
「金は自分で稼いだよ。Youtubeに動画投稿とかして。」
こいつ…なんでも出来るな。
「LINE、交換しよ。」
「ん、いいよ。」
そのうち使える。
それ以外の交流は特に無く、あっという間に夜、同窓会が始まった。
みんな男子はほとんどスーツ、女子は着替えてた。私も普段着に着替えた。
着替えたは良いものの、ちょっと目立ちすぎかも。普段がズレてた。
「これより、同窓会を開始いたします!」
わー、全部食べ放題の錯覚ー。
「うそ…一ノ瀬だよね?」
あ?知らない声。振り返ってみると…。
知らないやつ。誰だ?
「そうだけど。」
「私だよ、私!りさ!って覚えてるわけないか。」
「あいにくだけど。」
何の用だろう。興味ない人とだべってると時間を無駄にしてる気分になる。
「めっちゃかわいくなったね~!中学の頃からかわいかったけど。」
「どうも。」
「え、てかインスタ交換しない~?」
「やってない。」
「嘘下手すぎ~ねえダメ?」
…面倒だな。
「はい、ちょっとトイレ行ってくるから早くして。」
「ありがと~!」
トイレに急いで駆け込む。
正直逃げてきただけ。
私…あの場に相応しくないんだ。
みんなキラキラしてて輝いてて…
その中に私は泥沼みたいな色してる。
鏡の中の私、酷い顔。
「はあ…。」
力なくトイレから出ると、懐かしい声が私を呼び止めた。
「葵!」
忘れるものか。私は少し大人になった彼女を目の当たりにした。
久しぶり、ここなちゃん。




