第45話 居場所
「マギカさん?」
「うっす。お前…そういう感じなんだな、納得したわ。」
目立つためにいつもより派手な格好してあげてるんじゃい。
「わかりやすくていいでしょ。」
「迷いはしなかった。」
映画まではしばらく時間があるから、しばらくアキバを探索。
こんなにしっかり回ったのは初めてだったかも。
オタクの街、って感じ。アニメあんまりよく知らないからアレだけど。
知ってたらもっと面白い場所だったんだろうなっていうのは、マギカさんの反応を見てわかった。
「マギカさんってアニメ見るの?」
「まあ見るよ。俺の名前もアニメから取ってきてるし。」
ふーん。私ほぼ本名なのに。
その後は予定通りPCパーツを買った後、御徒町まで行って映画を見て1日が終わった。
マギカさんはネットで思ってた印象より、ずっと人間らしかった。
当たり前ではあるけど、ネットの向こうには人間がいるんだなって実感した。
今までは…虚空に話しかけてるように気分が抜けなかったから。
「ふう~。充実。」
久々にお風呂沸かして浸かった。
今、最高に人生が楽しい。全てから解放されて、新しい一歩を踏み出してる。
邪魔者はいない。
よく言うじゃん、大学が人生のピークだって。
私はそれを心から噛み締めていた。
「ふーん、随分楽しかったみたいだね。」
そんなことを居酒屋でつぐちゃんに共有する。
大体いつもこんな感じの反応。多分興味が無いわけじゃないんだと思う。
「楽しかった。つぐちゃんも今度一緒に出かけようよ。」
「…ん、あんたカノジョどうしたんだっけ。」
「ああ、別れた!だからさ、つぐちゃん私のものになってよ。」
1回振られたくらいじゃ諦めない。明らかに軌道に乗ってる私の人生なら…
「お断り。」
…ダメでした。
生を飲み干し、じっと私を見るつぐちゃん。
「あんたみたいのはね、端から見てるくらいが一番丁度いいのよ。」
「生きるエンターテイメントだから。私はそれに巻き込まれるつもりはない。」
…全然意味分かんない。意味わかんないけど、楽しいから気にしなかった。
「相変わらず言うね~つぐちゃん。人が傷つくとか考えないの?」
「考えるに決まってるじゃん。あんたが何を言ったって傷つかないって知ってるだけ。」
まるで人の心が無いみたいな…。
「私だって傷つくよ。傷だらけだよ。」
「ふふっ、知ってる。」
むう、いまいち掴めない。つぐちゃん。
大学1年生は、ネットと絵とバンドをしてたら終わった。
そうして大学2年生。
「よ、葵ちゃん!元気してるか?」
能無したくやに話しかけられる。
「なに。」
「2年だし、そろそろインターン行こうぜ!」
「同じ場所には行かないから。」
インターンか。
まだ大学卒業後のことを考えるには遠すぎるけど、面接で言う事とかに出来るのかな。
「企業リストどこにあるの?」
「え?メールに送られてきてるだろ。」
そうなのか。全く気づかなかった、というか見てなかった。
メールに来てた企業リストを眺める。…知らない企業ばっか。
…あ。これ興味あるかも。
私はその企業のホームページまで飛んだ。




