第44話 魔法との出会い
「そーんなことがあって、振られました!」
《草。》
その日の夜、速攻でマギカさんに報告した。
こんな面白い話、私だけで留めておくなんてもったいない。
「あ、ちょっと待って別パ来た!」
《こっち寄れる?》
「あ!無理!入ってきた!あああ!」
ほんとに…このゲームクソ過ぎる。
…でもスタートする手が止まらない。
ゲームをしながらマギカさんと雑談をするの、最高に楽しい。
「マギカさんは大学どうよー。半年経ったけど。」
《ああ、辞めた。》
…えっ?
「…ごめん、なんて?」
《辞めた。大学辞めた。》
こんなこと、あっていいの?
思わずキーボードを操作する手が止まった。
世間一般的に見たら、大卒は当たり前。
…でしょ?
「…え、いいの、マギカさん高卒になるよ。」
《いいよ別に。大学つまんねーし。》
衝撃だった。引かれた線路の上以外を行くなんて発想…
私には全く無かった。
まあでも…本人が決めたことなら、ね。
しばらく黙っていると、マギカさんから珍しく質問が飛んできた。
《お前、絵とか音楽とかやってるんだよな。》
何を今更すぎる話。
「うん。それが何?」
質問の意図がまるでわからない。私のこと褒めてくれるの?
《ふーん。あっ、あそこ敵いる。》
「まじ、どれ?…あ、あれね、おけ。」
結局ゲームをしてると、気になってたことの核心には至れない。
ゲームを楽しむことが核心なのかもしれないけど。
私は興味が湧いていた。
マギカさんに。
今まではただ興味があっただけだけど、
大学を辞める、なんて選択をしたマギカさんに、今までとは比較にならない興味が湧いていた。
でも今の関係だと、ゲームを一緒にやるだけ…。
私はこういう時にどうすれば良いのか知ってる。
「マギカさん。」
《ん?》
「今度、会わない?」
所詮は人と人。会って話すのが一番なのだ。
《…何すんの。》
「最近気になる映画あってさ…それ見たついでにアキバでPCパーツ見ない?」
ぱっと思いついたことを適当に口走った。
しばらく沈黙。
最近マギカさんはノイキャンを使うようになったせいで、環境音が全く聞こえなくなった。
そのせいで完全な沈黙。
《いいよ。》
沈黙が限界まで達した時、嬉しい返事が返ってきた。
マギカさんに、会える。
「やった。じゃあ予定組んだら改めて連絡するね。」
《うい。》
1ヶ月後。適当に見たいと言った映画の上映初日。御徒町にて。
《イチノセ:こんな格好してるから見つけて》
《イチノセ:写真を送信しました。》
見つけやすいように、今日はいつもよりオシャレした。
…通知が鳴る。
《XxmagicaxX:みつけた》
《XxmagicaxX:写真を送信しました。》
みつけた、じゃねえ!声をかけてこいっての。
…でもドキドキした。




