第43話 どのみち
つぐちゃんにこっぴどく振られた。
で、
ういちゃんを思い出した。
いや、忘れてないよ?
ただ半年ぶりに連絡をしただけ。
《久々の連絡すぎて死んだかと思ったわ》
って返ってきた。死んでません。
それで、会う流れにした。
それで新宿で待ってるんだけど来ない。全然。
「おうおう~久しぶりじゃねえのよ~。」
と思ってたら来た。なんか…。
「痩せた?」
人って半年でこんな痩せるんだ。新発見。
「っと、おい、相変わらずデリカシーないにぇ!そうだよ痩せたよ!!」
それに…服の趣味も変わったな。
「服、いいじゃん。」
「ああ…まあちょっちイメチェン的な?…はよ行こ行こー!」
そうして映画館に直行。
ういちゃんが見たいっていう映画を見た。
なんか好きな俳優が出てるから見るらしい。
それって映画を見に行ってるんじゃなくて、俳優見に行ってるじゃん。
本質的に間違えてない?
なんて思ってたら映画は終わった。
なんだあの、つまらない映画は。
絵に書いた恋愛ストーリーとはまさにこのこと、って感じだった。
「映画良かったね。」
「それな~!みやきゅんマジかわいすぎ~天使でしょあれ!」
みやきゅんとやらは多分ういちゃんが好きな俳優らしい。どれかわからなかったけど。
その後はカフェに入って一休み。
しばらく映画の感想…と言うよりみやきゅんのココが良かったを聞かされた後。
「んでさ~、なんでこのタイミングなわけよ。葵。」
唐突に切り出された。
思い出したから、なんて言えるわけもなく、理由を考えていたら、
「身体目当て?」
追い打ちをかけるような言葉が飛んできた。
私は最初からういちゃんの事そんな目で見てないよ。
…というか、この関係性を終わらせに来た、というのが本音。
「バレちゃった?」
そんなこと言わないけど。傷つけそうだし。
するとういちゃんは立ち上がって伝票をかっさらった。
「じゃ、話は早いにぇ。私もそのつもりだったからのう。」
にへらと笑うういちゃん。
違うよ、全然そんなつもりじゃない。
ホテルに来た。ういちゃんの下着、初めて見た。
痩せたと思ってたけど、よく見たらあんまり変わってなかったかも。
「はあ…。そういや、葵とは初めてだった説浮上?」
「そうだね。」
「淡白すぎやしませんかね、返事が~。」
ああ、驚くほど何も感じなかったなあ。
二人でベッドに横並びになる。
ホテル特有の、耳は痛くならないくらいの沈黙が走った。
ういちゃんが息を吸う音が聞こえた。
「じゃ、別れよっか。」
えっ。
「私さあ、専門でカレシ出来たんだあ。」
「葵より顔が良いの。」
流石に驚いたよ。まさか直近で2回も振られるなんて。
ウソ。どのみち終わらせようとしてた関係。
安堵しか感じなかった。
でもその安堵はどこか冷たくて、心地の良いものではなかった。




