第41話 ストッパー
ああ…。
なんで経済学科にしたんだろう。
楽って聞いたから?
それはそうなんだけど。
退屈すぎる…。講義…。死にたい…。
90分とか嘘だって、2時間くらいあるって絶対。
まあでもいいよ。高校と違ってさ。
PCでずっとTwitter見れるから。
イヤホンでずっと曲聞いてるから。
ごめんね教授。でも楽単だってみんなが言うからさ。
出席しか取らないって聞いたから。
大学は一番忙しいのが1年生で、それからはだんだん暇になるらしいし。
今が耐え時!
そんなクソダル講義が終わったら、サークルの始まり。
私のバンド、Insightは、つぐちゃんと私含め5人。
ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード。
…そのうちギタボに転身予定。
サークル内では、私は歌が上手いと評判なの。
なんでも出来ちゃうからね、私。ふふん。
才能?ってやつかな。私はただ、
毎日発声練習をしたり、ギターを2時間練習したり、休日は10時間絵を描いたりしてるだけ。
別に大したことはしてない。
努力?違う違う。楽しいからやってるだけだもん。
それは努力とは言わない。
凄いんだよ、初ライブしたらね。
大学で話題になったの。
出来すぎてる。笑えるくらい。
でもこの優越感がたまらない。
「私たちいけんじゃん、葵の歌声があればさ。」
そんなことを言うのはつぐちゃん。
いつも私のことを褒めてくれて、サポートしてくれる。
何か言わなくても私の言いたいことを、噛み砕いてみんなに言ってくれる。
最高のバンドメンバー。
そんなことをしていたら、気づいたら半年経ってた。
大学に入ってから時間の経過が早くなった気がする。
バンド練終わり。
「つぐちゃん、飲み行こ。」
「その言葉を待ち望んでた。」
つぐちゃんはお酒大好き。そんでもって酔わない。どうなってるんだ。
「生とジンジャエールくださーい。」
今日私がつぐちゃんと2人きりの場を作ったのには理由がある。
半年間、バンドを続けてきて。ダイジェストを言うとすれば…。
つぐちゃん、つぐちゃん、つぐちゃん。あとは…つぐちゃんかな。
ボーカルだから私がリーダーってことになってるけど、実質リーダーはつぐちゃんだった。
そんな私、多分つぐちゃんのことが好き。
顔がかわいいし、私に構ってくれる。そして、いなくなられたら困る。
この感情、つまり好きってことだよね。
だから、決めたの。
「あのね…つぐちゃん。」
「なに?」
言うって。
「私、つぐちゃんのことが好き。付き合って。」
…5秒、10秒過ぎた。
つぐちゃんは生を一口。
居酒屋よりも私の心のざわめきの方が煩く感じた。
告白って、こんなに緊張するものだったんだ。
トン、とジョッキを置いて、
つぐちゃんは私に人差し指を伸ばした。
「あんた、ういちゃんがいるんでしょ。ド屑。」
…冷淡な目。
ういちゃん…?
ああ、ういちゃんね。
忘れてたや。
そしてあることに気づいてしまった。
私は、生まれて初めて振られたことに。




