第38話 Re:Re:未開の地、ひとりぐらし
眩しい。
そして…静か。
身体を起こす。まだ慣れないワンルーム。
私を生かしてきた人たちはいない。
私は大学入学を機に、一人暮らしを始めた。
実家から持ってきたものは、
PCと、
それとギター。
あとは生活に必要なものくらい。
新しい1日が、人生が始まる。
私はここなちゃんとは違う大学に進学した。
普通の経済学科。
住んでるマンションは、大学から5分くらいの家賃10万円のワンルーム。
高いね、都会だから。
でもね、私運が良いの。
大学のためならって、おばあちゃんが家賃払ってくれてる。
ほんと、出来すぎてるね。
「よっす、はじめまして。」
「はじめまして。」
オリエンテーションでたまたま隣になった男子に話しかけられた。
…無邪気な目。犬みたい。何も経験してない目だ。
「俺、たくや!」
「葵。」
こいつと関わっても別に良いこと無いな…。
「サークル勧誘やってるらしい!葵ちゃん、行こうぜ!」
「ああ…。」
まあ…サークルくらいなら一緒に見てもいいか。
いっぱい勧誘の人がいる。サークルって部活と何が違うんだろ。
「軽音サークルでーす!今からライブするんで見てってくださーい!」
短髪の女の子の声がスピーカーで響いた。
いや、普通に勧誘妨害でしょ。
と、思いながら演奏を聴いてしまう。
あ、まって。凄いかも。
これが部活とサークルの違い?
初見の音楽で感動したの、久々だった。
「葵ちゃん、軽音サークル興味ある感じ?」
「うん…入ろうかな。」
「ま~?じゃ俺も入ろっと!」
ついてくるな、面倒くさい。
そうして私とたくやくんは軽音サークルに入ることになった。
…実家からギター持ってきておいて良かった。
集まってと言われた講義室に集まってぼんやりしていると、目を惹かれる女の子が入ってきた。
かわいい。
あの子も1年生かな。ロングヘアにジトッとした目で…。
みやこちゃんが一瞬よぎった。けど消し去った。
新しい生活を始めるんだ、私は。
「あの、はじめまして。」
「ん?はい、はじめまして。」
表情の硬い子だな。かわいい。
「学年と名前聞いてもいいですか?」
「あ、もしかして先輩ですか?私1年のつぐです。」
つぐちゃん。1年生。同級生だ。
「ごめんね、私も1年。葵。軽音サークル入るの?」
「だから来たんだよ、ここに。担当は?私ギター。」
私は…ギター自信無いから…。
「ボーカルだよ。」
後からギター足りなくなった時の切り札にしておこう。
「はーいみんな静かに!ここいる人みんな軽音サークル希望だね?」
先輩っぽい人が注目を集める。
「新歓やるから来る人、手挙げて!」
あれ。バンド組むの先じゃないんだ。まあいいか。
つぐちゃんが手を上げてるし…私も。
いい感じに最初の一歩、踏み出せたかも。
…そう思っておく。




