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トライアングルレッスン:B ~夢守の巫女~

作者: 各務 史
掲載日:2025/09/20

小説家になろうラジオ 「トライアングルレッスン」への投稿作品です

1話完結で成り立っていますが、前回募集された「トライアングルレッスン;U」

からの続編のような展開になっています。

 「すわ、巫女姫の再来か!?」と騒がれたのは1年前。

村祭りの行事の一環でやった ”なんちゃって儀式” で一躍私は有名人になった。

祭りの中で矢を放つ場面があったんだけど

鳴るはずのない鏑矢が音を立て、刺さるはずのない矢が的を射てしまったんだよね。

だから、その当時は大騒ぎになった。自分でもビックリしたしさ。

でもそれから、特に何事もなく時間が過ぎていった。

これといって、大雨が降るわけでもなく、日照りが続くわけでもなく

地震はあったけど、揺れてるなぁ、程度のものだったし。

近くに火山もないし、海もないからそれに伴う災害もない。

ただ逆に大豊作だとか、この村が突如有名になるなんてこともなかったけどね。

おかげで、今年も例年通りの村祭りが催されるはずで、私は1年の任を解かれるの。

や~、あの時は自分でも無敵感感じてたけどね。

やっぱり私は私。普通の人だったわ。特別じゃなかった。


 去年のような大騒ぎもなく、今年は粛々とでもそれなりに賑やかに祭りは行われた。

滞りなく巫女の交代も。ふぅ、これで私は晴れて自由の身だ!

大役を終えたその夜、私は夢を見た。


 顔のない人形のような兵士たちが村を襲ってきた。

みんなが逃げ惑ってる。私はその様子が社の中にいながら

手によるように見えていた。

私は立ち上がって、弓を取ると次から次へと矢継ぎ早に矢を射ていた。

どの矢も外れることなく兵士を倒していくにもかかわらず

何処から湧いてくるのか、その数が一向に減っていかない。

矢を射続ける私の全身から汗が飛び散り、矢を引き絞る手が痺れてきていた。

もう、出来ない。そう、思いかけたとき、タクミとヒロシが社殿に駆け込んできた。

「ユイコ、大丈夫か!?」

「しっかりしろ、ユイコ、俺たちがいる!」

そう言うと、タクミは真っ赤な鳥に、ヒロシは白い虎に化身した。

励まされて、私は自身を立て直す。


 ポロロンというスマホの着信音で飛び起きる。夢の余韻で息が切れていた。

全身汗びっしょりだ。

「こ、怖かった…。」

着信のあったスマホをのぞく。

「巫女のお疲れさん会と誕生会込みで、パーティーしてやる。」

呑気なタクミからのメッセージが入っていた。

思わず笑みがこぼれる。OKの絵文字を送信した。

「やだも~汗だく〜、シャワー浴びてこよっと。」

私はタオル片手に浴室に向かった。


 その後ろで、黒い亀がニッコリ笑って

「ようやったの~。これで次の1年も安泰じゃ。」

と呟いて消えたことには全く気が付かなかった。

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― 新着の感想 ―
大きなことも起きないから、はっきりとした巫女としての成果が見えないけど、実は平穏てスゴく難しく大切なことなんですよね。 夢の中で次の一年の分のお勤めもしちゃったユイコ。計り知れない何かを持ってるんです…
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