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ホシの降る

 「またベランダにいて!風邪ひかないでよ。」

 

「分かってるわよ。」

 

真冬の真夜中の外には、隣人が雪だるまを作る音とたまに家の前を通る人の足音が響くのみだ。母の声はその間に割り込んでくるが——。

 

 幾つかの邪魔はあるものの、その静寂の中で、あたしは月の居ない空を眺めた。

 

緑と赤に光る飛行機、幾つもの星座を作る星。やっぱり、ギョウ座は、あってもいいと思う。

 

 夜の空で一番陽キャな月がいない今日は、いつもより星が喜んでいるように思える。

 

これこそ、鬼の居ぬ間になんとやら。うーん、ニュアンスが違う気がする。

 

ともかく、クラスで孤立しているあたしと、空に瞬く星々は、全くの逆の存在のような気がして、羨ましくもあり。つまりは、好きなのだ。

 

 ぼんやりと真上を眺めていると、空に一筋の光が走った。

 

「流れ星だ。」

 

いきなり現れた流れ星に、あたしは見惚れる。

 

「流れ星に何か願い事した?」

 

外で雪だるまを作っていた幼馴染が手を振り、叫んでくる。

 

「何もしてないわ。」

 

「だよねー。急に来ても何も答えらんないよねー。うちは、大金持ち!」

 

だよねーって言いつつ、めっちゃ願って……いやいや、あたしの面白みも潰すような発言に、返してくれたのだ。変なことを言って悲しませるまい。


そんなことを考えて、話を途切れさせてしまった。

 

 空にまた一筋の光が走る。

 

あたしも世界平和を願おうと思ったが、やっぱり見惚れてしまって、出た言葉は、

 

「星が降ってきたらな。」

 

なんて、実際に起きたら困る、災害ものの願い事だった。

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