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そして~どうしようもない怒りが
何故だろう?何かどうしようもない怒りが湧いてくる。それが恵自身をも苦しめるのが分かっていながら、その感情を抑えられなかった。両手を硬く握りしめてそれが過ぎるのを待った。
その時、向こうから奏音の姿が見えた。笑いながら走って来る、、と、急に脚が瞬いて転んだ。そこへその若い女性が手を差し伸べ奏音を抱き起こした。ベソをかいている奏音に優しい笑顔で話しかけた。
恵は自分がそこに駆けつけ無かった事にさえ無性にイラついた。そして途轍も無い怒りに操られた。つい奏音に向かって声を荒げる。
「よそ見しているから転ぶんでしょ!」
こんな言葉が出るとは自分でも信じられなかった。
そしてその女性が、お子さんの事だから、、と言った事がとても煩わしく、乱暴に奏音の手を引き、公園を後にした。自分がどうしてこんなに不快なのかも分からない、奏音に八つ当たりしている事も、、もう何が何だか分からなくなっていった。