『タロットカードと旅をする』より (怒りの女性の物語)
「タロットカードと旅をする」の主人公『栞』が、今回は作家となって物語を綴ります。
第11話 OSHO禅タロットカード~公園の人【怒りの女性】を主人公としたストーリーです。
気分転換に公園へと出掛けてきたものの、どうにも心が落ち着かない。
どうしてこんな風になってしまったんだろう?ほんのひと月前までは何不自由なく幸せに暮らしていたのに。
少なくとも私はそう思っていた。
あの日偶然に目にしたあの光景、あれさえなければ今も同じ暮らしが続いていたのだろうか?
私は高木恵、33歳、結婚して8年目の主婦である。会計事務所に勤める夫(和也)と、来月で5歳になる娘がいる。娘(奏音 カオン)が生まれる時に購入した家で三人仲良く暮らしている。夫は申し分なく優しいし、奏音は明るく良く笑う可愛い子に育っている。パートタイムではあるが、来月から元の職場に復帰する事も決まっている。平凡かもしれないが、穏やかなこの暮らしに満足していた。
それがあの日、、、奏音にせがまれ人形の洋服を買いに出掛けた時の事だった。ふたりであれこれ選んで2着ばかり購入した。
「はやくエリちゃんにきせてあげたいなぁ~ママおうちかえろう~!」
エリちゃんとは今一番のお気に入りの人形の名前である。
「そうね、そうしましょう。」
奏音とゆっくり歩道を歩いていたその時、、、
いきなり奏音が、
「あっ、パパだ。パパ、パパ~~~。」反対側の通りへ向かって叫んだ。車の通りが激しくて奏音の声は届かなかった様だが、、それは確かに夫であった。私は思わずはっとして立ち止まった。向こう側の夫の隣には若くて綺麗な女性がいたからだ。仕事関係の人だと思いたかった、、でも、その女性は夫の右腕に自分の両腕を絡めるようにして歩いていたのだった。それでもその時の私は、きっとふざけてそうしているのだと無理にでも思おうとしていた。




