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口が滑りまして

作者: 山田助兵衛

「出来ました!」

 何かが出来上がると周りが見えなくなる男がずどばぁんとノックも無しに部屋へ飛び込んでくる。この会社の日常とも言うべきシーンである。

「何がだね?」

 その行動にも動じる事もなく部屋の(ぬし)は目を通していた書類を机に放り投げ、事も無げに対応する。

「こちらです!」

 そして主の目の前の卓上に置かれた物からは何やら美味しそうな匂いが。

「これは弁当箱かね?」

「あ、弁当箱は私の私物でして。中身は『ノリ弁』です!」

「のり弁?」

 首を傾げつつ主が蓋を開ければそこにはご飯の上にキレイに海苔が敷き詰められ、端にはおかずが詰められた何処でもよく見かけるのり弁が。━━と、思いきや。

 ご飯の上の海苔がウネウネと動いたかと思うと、それらが一斉に立ち上がった。

「??」

 唖然とする主の眼前で十枚ほどの海苔がクネクネと薄っぺらの身をくねらせ、くるりと回り、飛び上がって踊り出したのである。

「まさかこれは……?」

「はい!ノリノリでお弁当を楽しく食べられる、その名も『ノリ弁』!!」

「…………面白い発想ではあるが、これではどうも虫が蠢いているようであまり食欲が()かないな。それに━━」

「それに?」

「これでは箸でつかめないと思うのだが」

「あ」

「…………」

「…………」

「ボツだ」

「そうですか……」

 男はがっくりと肩を落とし、そのまま回れ右でとぼとぼと出口へ向かおうとする。そこへ部屋の主が声を掛けた。

「ところでだな」

「はい?」

「もしやとは思うが、この他に似たような物を作っていたりはしないかね?」

「あ、そうなんですよ!他にもノリ(・・)で作ってしまいまして、ははは……はっ!?」

「…………」

「し、失礼しました!!」

 かつて見た事もない上司の形相にさしもの男も脱兎のごとく部屋を飛び出していったのだった。

これでノリ○ま作ったらノミにしか見えませんよね(T.T)。

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