第四訓 誰が白髪じゃゴルァ
「たく、お銀あんた今月の家賃払ってないのになに騒ぎなんて起こしてんだい」
「たく、ばーさんよぉ。年で脳の血管キレそうなのになに家賃ごときでチンたら言ってんだよ。」
「あ?」
「あ、あのぉ」
完全に取り残されていた、この状況。
2人はこちらにようやく気付いた様子で目を向けた。
「ああ、巻き込んじまったようですまなかったね。こいつ脳みそまで腐ってやがるから」
「あ?ババア、そんなこと言うから全細胞死んだ歩く梅干しって言われるんだろーが」
「あ?んなこと言われたことねぇよ!!この天パ!!」
「天パの何が悪ぃ!!天パはふわふわして気持ちいいんだぞ!」
「もう帰っていいですか」
なんだよこの人たち。騒がしすぎだろ。
警察に追われてる身ってのに呑気すぎんだろ。
「あー安心しな。こんなやつ捕まえれるわけねぇから」
「あ?お銀ちゃんでも捕まる時は捕まるっての。」
「すみませーん。ここに白髪の女と地味な男が入ってきたというタレコミが入ってきたので訪ねましたー」
僕は警察の声に思わず後ずさる。
すると、女の人は僕を追い抜いてそちらの方に向かっていた。
「危ないですよ!?」
「たく、しつけぇ男は嫌われるぞー・・・あ、坊主。安心しな。わたしゃこれでも修羅場乗り越えてきたんでね・・・例えば」
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昼ドラの不倫男討伐とかな!!
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内容が薄っぺらい決めセリフを決めたその女の人は奉行所の人を木刀で"扉ごと"吹き飛ばしていた。
・・・扉ごと?
「あんた何してくれてんだい!!修理代もろくに払えねぇくせに!!」
「いっけね。」
「・・・ぷっ、あははは!!」
「ジミー大丈夫かよ」
僕はなんだかこの雰囲気か心地よくて、アルバイトしてた時の鬱憤紛いなるものが吹き出された気がした。
狂ったように笑う僕を見て2人はドン引きしている。
「白髪さん・・・僕を弟子にしてください!」
「・・・白髪じゃねぇ!!ちなみに私は万屋 お銀だよ。依頼なら金積んで来なさ」
「僕、あんたのせいで職失ったんすけど」
僕が被せるようにそういえば、その人ーーお銀さんはため息をついた。
「仕方ねぇな。えぇっと新一くんだっけ。よろしくな」
「はい!」
*
「そう言えば思ったんですけと」
「あ、なんだ?」
「銀さんに万屋って・・・大丈夫ですか?」
「いいか。あっちは万事屋だが、うちは万屋。感じが一文字違う。それに・・・わたしは女の人モチーフだからセーフだよ」
大丈夫ですかそれ。消されないか不安なんですけど。
僕は心からそう思うばかりだった。