守るという意味
そこにいたのは変わり果てた花奈の父親の姿だった。
「なんで、なの?おとーさん。ああ、な、んで、よーーーー」
その叫びに同調したのか、キュイーンという音とともに花奈の周りに光が宿り始めた。花奈の<ヒールライズ>だ。すると、花奈の父親の周りに光がやどりそして。ーーー
しかし、もう手遅れだった。ーーーーー
ーー花奈の<ヒールライズ>でも治せないということは他に治せるものもいない。ーー
「拓人様、一夏様こちらへ。風華様がお呼びです。」ガイスの一人が鍛錬をしていて汗だくの二人にそう告げた。
「クッ……なぜだ。」
「…………………」
二人とも言葉を出せず、今は目の前のことを受け入れざるをえなかった。
花奈は泣きじゃくっていたので、代わりに風華が事情を説明した。
「ということなんだけど。」
「事情は、わかった」拓人はそう言いながら風華に聞いた。
「お前の親父は? どこだ。まさかって可能性も」
「いや、それはないだろう」会話に割り込んできたのは一夏だ。
「さっき確認した、風華の父殿は鍛錬場にて鍛錬中とのことだ。」
「そうか、念のためお前らは風華の父親のところへ行ってくれ。」
拓人は、風華と一夏を使命して二人を鍛錬場に向かわせた。
「花奈、大丈夫か? 大丈夫じゃないよな」
「グスン、グスン、ヒック」
「私、どうすればいいの?もうわかんないよ。いやだよ。こんなの。なんで、なんでよ。」花奈は、少し声を荒げながら涙をこぼして地面にたくさんの染みを作った。
「お前は、俺と、俺と生きればいい。俺の生きがいになってくれればいい。俺もお前の生きがいになるから。あの時の約束は絶対忘れない。お前を死なせない、悲しませない、泣かせない、俺の三大原則だぞ。だから泣くな。泣かなくていい。悲しまなくていい。俺が支える、これからも、ずっと。この戦争を終わらせるために動き始めるには今しかないんだ。だからお前の花奈の力を貸してくれ。お前の力を。すべて終わったら、一緒に悲しもう、泣こう。そしてずっと生き続けようぜ!」キリッとした表情で拓人は言った。
「でも、私弱いよ。もう戦えないかもしれない。もう壊れそうなんだもん。拓人が悲しんでる時も支えること、できなかったのに。なのに、私が悲しんでるときだけ慰めてもらってる。こんな人が拓人を、支えられるのかな?ううん、無理だよ。」花奈は、涙振りまきながら首を大きく横に振った。
「いいや、強い。なんてったってお前は花奈だ、アルガイズの花奈だ。あとな、俺はいつもお前に支えられてるんだ。お前見たいな人だから俺みたいなやつを支えられるんだ。だからさ。な。」
「ありがとう、拓人」花奈はその一言だけ言って拓人の胸に顔を埋めて子どものように泣いた。
拓人は、そんな花奈の頭を優しく撫でながら更なる一歩を進めるために。戦争の終焉を始めるために。花奈を守るために。新たなる決意とともに更に薄暗くなった空を見上げた。