ステータス
「まぁ詰まるところ、異世界転移の特典チートスキルみたいなもんだと思うよ?」
さっきの有り得ない程の馬鹿力に、ワタリドリちゃんはそうアンサーを出した
「へー。異世界転移っていうと、最近の流行り物だよね?小説家をしよう、だったっけ」
「小説家になろう、だね」
「そうそれ。で、それの定番みたいな状況ってわけ?」
「うん。不思議な話だよね~」
森を歩きながら、私達はそんな話をしていた。木に印を付けながら進んでいるけど、変化がなくて暇だ。
「こういうのだと、念じるとステータス画面が出てきたりするんだよねー」
ワタリドリちゃんが補足して言う。
「へー」
「………やってみっか!」
と、若干楽しそうに言い、大げさに深呼吸する。私も、ちょっと集中して見てみる。
「偉大なるステータス、我が前に姿を見せうおおっっ!」
「うわっ!」
いきなり叫ばれたから、釣られてびっくりしてしまった。
「ステータス出た!」
底抜けに明るく、私に訴えてくるワタリドリちゃん。
だけど、生憎私の目にはそれらしい物は映っていない。
「……本当にある?」
「あるよ!みえないの?………あ、もしかして本人にしか見えない?」
一人で納得したようにうなずく。
「やってみなよ。念じればでるだろうから」
言われても………
ま、一回位はやってみよう。
出でよステータス!
ピコン。
出でた。
「うわっ!」
「あ、出た?」
成功だね、とワタリドリちゃんは言う。
初めてだと、びっくりするなこれは。なんせいきなり出てくるから。
「読んでみるか………」
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西城 千尋:女:17歳
耐久力・99999/99999
魔素・99999/99999
筋力・1000
魔術練度・達人
特殊能力・ステータス表示(対人・対物可)、アイテムボックス∞
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「………ぱっと見だけで能力値が異常」
「私もそんな感じだよ~。カンストしてるぜ!」
これがワタリドリちゃん言う所の特典チートスキルか。
「耐久力がHP、魔素がMPかな?」
「だろうねー。というか、なろうはうろ覚えなのに、これは分かるんだ?」
「ゲームはするからね」
筋力も凄そうだし、馬鹿力の原因はわかったな。
そんな事を考えていた時、
「きゃああぁぁぁっっ!!」
悲鳴が聞こえた。
その方向を見て、私とワタリドリちゃんは同時に言う。
「「行こう!」」
すぐさま、悲鳴の場所へ走り出す。