野原
日射しの眩しさに目を覚ます。
「………ふあぁぁぁ」
眠気を振り払い、上半身を起こす。
「ん、ん~~………ふぅ」
大きく伸びをし、寝ぼけ眼を擦る。ごしごし。
そのまま、何気なしに辺りを見渡し………
………あれ?
何故か周りの風景が、自分の部屋ではなく、木々に囲まれた自然豊かな野原である事に気付き、一寸遅れてこの状況のおかしさに思い至る。
ここ何処だ…………?
私はこんな所見覚えが無いし、こんな所ですやすや眠るに至るまでの経緯にも覚えは無い。
どうなっているのかさっぱり分からず、軽く混乱する。
混乱を解く為、そしてもっと情報を得る為にも、辺りをもっと注視してみる事にした。
まず、顔を右に向けてみる。するとそこには、こんな自然風景に全く相応しくない真っ黒な自動車が一台留まっていた。
なんだこれ、と思うと同時に、この車に見覚えがある事に気付く。
えーと、なんだったっけ。
う~~~~~…………
あ。
思い出した。これワタリドリちゃんのだ。
と、同時にそれが引き金になってか、目を覚ます前の事も一緒に思い出す。あの、謎の球体が発生するまでの。
「あれ、何だったんだろう………」
そう考えていた時、左手に何か握っていた事に気が付いた。
「!!」
それは私の、横長のアタッシュケースだった。
暗証番号で鍵を開け、急いで中身を確認する。
中には、ストックが入っていない拳銃二丁、戦闘用バタフライナイフ二本(内一本は右ポケットに入っていた)、日本刀が一振り、そして、西洋剣のレイピアに似た形状の少し変わった剣と、『それ専用カートリッジ』が入っている。
………私の仕事道具だ
また、腰につけているミニバックも確認する。これには、拳銃用ストック十本と『ソーラーパネル』が入っている。
それらを確認し終わり、すこし安堵する。
と、そこで、
私の左側で痛い格好の少女ーーーーーーワタリドリちゃんが気絶していることに気付く。一瞬焦ったが、気持ち良さそうに寝息をかいているのを見て、胸を撫で下ろす。
本当気持ち良さそうに寝いてるけども、起こさないと話が進みそうにないので、起こすことにする。
「おーい、ワタリドリちゃーん。おきろー」
「んー………あと五分ー」
「その『あと五分』は五分じゃ終わらない。起きて」
「んー………あと二週間」
「人ってそんなに眠れるの!?」
「………あと二年」
「……………………………」
アタッシュケースで腹を殴る。
「ごぶふぉあっっっ!?!?!?」
意識は覚醒した様だけど、しばらくうずくまっていた。