仕事→転移
ここは、東京都某区のとある工場跡。今ではすっかり廃墟と化している。
そのほぼ中心に立っている私 西城 千尋は黒いフードつきのコートを着込み、口元を隠すマスクを着けた、お世辞にも善人には見えない格好である。
左手には先程回収した横長のアタッシュケース、
そして右手には……………血に濡れたナイフを握っている。
周りには、私から言わせれば何が良いのかわからない位派手なスーツを着て倒れている男達。
残念なことにそのスーツは血に染まって台無しになっている。
私は人を待ちながら、今日仕留めた獲物達に思いを馳せていた。
そこに…………
「おっつーーー!!!それでも元気で生きていこーーー!!!ハイテンショーーン??プギウギーーーーー!!!!」
コスプレかと思う程ピンクピンクしい、とても痛い服装のちっこい少女が、とても痛い挨拶を私にかましてきた。
「あーうん、お疲れワタリドリちゃん。あとうるさい静かに。ここ一応見られたらヤバイところだから」
「あっはは~メンゴメンゴ~~」
このいきなり現れた痛い子は、通称ワタリドリ。
この見た目で、非合法な武器などの取り扱いや、様々なヤバイ情報の売買のような、裏社会に関わる、本人の言うところの何でも屋をしている。
中には、殺し屋の斡旋なんてことまで。
今ここに彼女がいるのも、その仕事について。
「にしてもすごいねー。全員殺った?」
「うん。34人だよね?」
「うん、そうだよー。後始末はうちの者に任せるから。報酬出すから、ついて来て」
そうして私は、『殺し屋』として報酬を貰う為に彼女についていく。
工場跡から出て、停めてある一台の黒い車の前に来た。
「おー、いい車だね」
私はその良い値段がしそうな車を見て言う。
「だろ~?防弾に耐爆発性能までついてるぜ!」
ドヤ顔するワタリドリちゃん。車からアタッシュケースを出してくる。
「ほい、今回の報酬。今回は依頼主がすっごい大物だからめっちゃ多いよ!」
「ほい、あんがと。あといつも通り道具預かっといて」
道具とは、つまり凶器。
「オッケ~」
そうしてその2つを交換しようとした時ーーーーー
ーーーーー私達の間に突然黒い球体が出現した。
「「え?」」
驚いている間にもそれは広がり、ーーーーー
ーーーーー私達を呑み込んだ。