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異世界探求伝  作者: 勘乃覚
冒険編
8/172

異世界探求伝 第七話 ズナンの町散策

作者の勘ノ覚です。いつもお読みの読者の方有難うございます。

かづきはようやくズナンの町にたどり着きました。

作中で街、と町の違いについてですが、単に街は領主の力が強く

町は規模が小さいというだけです。

「一番怖くて、気を付けなきゃいけない事を教えるわね」

いきなり、ジュリナデリカに言われた俺は、一気にテンションが下がっていた。


そりゃ、この世界にきてウハウハを夢見ていた俺に、試練の一つや二つが降りかかって来るのは覚悟はしていたさ。 でも監獄で死ぬまで重労働とか、いきなりフェーデ(決闘)とか在りえん。 五年経ったら助けが来るんだろうか? 来るよな? きっと・・・・・・たぶん。


「ジュリ・・・・・・もっと何かさぁ、楽しい話ってのは無いのか?」

「何よ、カヅキは怖いの?」

「そりゃ怖いさ。 俺の住んでた所は魔物すら居なかったしな」

「ふーん・・・ちょっと幻滅」

「で、その一番怖いのって何だ?」

「ああ、契約ね」

「ああ、それなら判るさ。 俺の国にも契約で騙された話は良く有る話だ」

「ふーん、奴隷に落とされても?」

「何!?」

「安易な契約でも相手を縛り付ける事が出来るわ。 隷属魔法(れいぞく)って言うのよ」

「隷属・・・魔法」

「ええ、法を司る者に三つ目族がいるわ。 カーバンクルの目を持つ者達よ」


「ラビ、カーバンクルってのは?」

「ハイ カヅキ 霊獣ノヒトツ デ 心理ヲ知ル目ヲ 持ツ者デス」

俺はラビから得た知識で、知性を醸し出してみる。


「心理の目を持つ者、だな」

「ええ、知ってるのね。彼らも契約魔法を司る者の一人だけど、他に商人にもそれが認められているわ」

「で、魔法で無理やり契約できるとか?」

「うーん、そうじゃないけど近いわ。 契約に一番大事な物って判る?」

「そうだな、相互理解の元に契約するって事かな」

「少し違うわね。 契約させられる側が、それを認可すればいいだけよ」

「そうか、相手に薬飲ませたり魔法をかけても、隷属させる事が出来るって事だろうか」

「そういう事よ。 そう言う相手とは余り近づかない事ね」

「うん、分かったよ。 助かったジュリナ」

「力になれて良かったわ。 カヅキ」

「ああ、また何かあったら連絡するよ」

「えっ? もう終わり?」

「ああ、聞きたい事は聞いたしな。 遅くならない内に帰っていいぞ」

「でも」

「お前はそういう女じゃない事は判ってるよ。 恐らく半分は俺の様子伺いだろ? こう見えても人を見る目は養っているつもりだ」


ジュリナデリカは申し訳無さそうに(うつむ)くと、俺に本心を話してくれた。

「良い金づるが来たって聞いたわ。 理由に(かこつ)けて帰るつもりも・・・」


「ハハハ、正直だな。 そう言うのも悪く無いな」

「私に興味は無いんだ」

「いんや、興味は相当なもんだ。 ただお前は娼婦じゃ無いだろ、俺は娼婦を呼んだんじゃ無い。 知性のある女を呼んだだけさ」


「何かむかつくわね、で? 合格かしら」

「ああ、勿論だ。 俺は、合格?」

「うーん、どうかしら。 いきなり世間知らずで合格は無いんじゃ無い」

「ハハハ、当然だ。 俺も同感」

「プッ! ふふふ」

「明日、もし暇なら町の散策とか付き合って貰えないか? 勿論報酬は出そう」

「うーん・・・・・・ええ、いいわ」


俺は袋から銀貨を五枚出し、彼女に握らせた。


「えっ? 前金も貰ってるのよ?」

「ああ判ってる。 案内に飽きたら帰っていいよ」

「そう・・・・・・じゃ、契約だわね」

「そうなるかな? 明日宜しくな、ジュリナ」

「精霊王の名の元・ジュリナデリカはカヅキに対し・契約に基づいた契約を順守することを誓うもの也・ここに契約は完了する」


『コントラクト!』


青白く輝く光が頭上に魔法人を描き、その光がお互いの額に吸い込まれて行く。


「へっ? なに!?」

「代金のお礼よ。 実地訓練、ふふふ」

「えっ? 俺はどうしたらいい」

「アハハ、びっくりさせたようね、ごめんなさい。 これは貴方と町を散策しますって契約魔法よ。 私だけに拘束力があるのよ。 だから心配しないで、カヅキの護衛も兼ねているわ。 これでも強いのよ」


「俺には拘束力が無いのならいいよ。 でもビックリ」

「ふふ、ごめんね。 お酒のお替り頼んでも?」

「ああ、明日に支障が無ければ」


そう言って彼女は、酒瓶とショットグラスを頼んでいた。 かなり強い酒でラム酒の味がした。 その甘い香りと、ジュリナの甘露な匂いが混ざり合って俺は正気を無くして行ってしまった。 つまり、いつの間にか獣人ならぬ「オオカミ」に変身して、彼女の肢体を(まさぐ)っていた。


 タウルスに来て、初日を無事に過ごしたかづきは初めての朝を迎えていた。 

六畳位の部屋だったが、もうそこにはジュリナデリカは居なかった。 置手紙でもあるかと辺りを見回していたが、何もない様だ。 彼は伝声管を叩いて、体を清める為のお湯を頼んだ。 お湯を頼むと少しして、十歳位の男の子がやって来て湯の入った桶を運んでくれたようだ。 薄い布切れを渡されてどうしたもんかと悩んでいる姿を見られて「ほぃ」と男の子が手を差し出して来た。 


確かタオルとお湯で銅貨二枚だったと思い出しながら、子供の手に二枚の銅貨を、そして一呼吸おいてもう一枚を握らせた。 すると男の子は、先程の無粋な顔を改めてにっこり笑うと、背中を拭いてやると言うのでお言葉に甘える事にした。 ジャパン人のお節介だろうが、つい色々聞いてしまう。 背中を固く絞ったタオルで拭いて貰うと、後は自分で拭きながら


「お前いくつだ?」

「九歳」

「ここで働いてるのか?」

「うん」

「親は?」

「いるよ」

「飯は?」

「食った」

「学校は?」

「行ってる」


と、まぁ根掘り葉掘り聞いてしまった。 お金持ちの子以外は、子供が働く事が至って普通だそうだ。 彼の場合はここで働いているおかげで、学校に行けているらしい。 朝飯は、昨夜の店の残りを刻んでの麦がゆを貰えるのだとか。


かゆと聞いてお腹が「くーっ」と鳴いた。 だが米とかあるんだろうかと、一瞬考えたながら残り湯に頭を突っ込んだ。 しかし、頭を突っ込んだのは良いが、はて これは困ったな、床をビショビショにしそうだ。 頭皮をごしごし擦っていると、男の子が髪を握って絞ってくれた。「ええ子や」


顔を見上げると、乾いた少し厚めのタオルを手渡してくれた。 髭を触ってみると結構伸びている。 毛深くは無いのだが、一応男なので口ひげは普通に生えるのだ。 昨日商人から買ったナイフを取り出すと、男の子が木の実を渡してくれたが潰して擦ると泡が立つらしい。 あるじゃん石鹸、とか思いながら顔面をくしゃくしゃ洗うとナイフをポッケから取り出した。


トイレに鏡があったなと思い、切れ味の悪いナイフでジョリジョリと髭をこすり落としたら、ようやくすっきりとした。 蛇口があったのでひねってみると水が出たが、これは屋上のタンクで雨水を貯めているのだと言う。 虫が湧いている事があるから、決して飲まない様に注意を受けた。


男の子にもう一枚銅貨をチップとして渡すと、「ありがとう旦那さん」と嬉しそうな笑みを浮かべて去って行った。 下着も買わないとな、防具とか武器も要るんだろうな、とボーと考えていると、荷物が増えて行くとどうしようか? と思いラビに聞いてみた。


すると、以外に楽なことであった。 アイテムは袋に仕舞い込む事が出来ると教えてくれた。つまり、データ処理で数値化している素材で、構成されている物は再現出来るのだそうで、渡された革袋が収納になっているらしい。


「そう言えばこの世界に行く前にも説明を受けたな。 確か煙草を入れて渡されたっけか」

そう思いながら上着のポケットを弄り、袋に手を突っ込むと意外な発見にビックリするのだった。 

「ああ、手を入れたら個数もわかるのか。 便利だな」


「但シ 余リニモ大キナモノ 生命体ハ 入レル事ガ出来マセン 魔力ノ消費量ニ 依存シマス」

「魔力の消費ねぇ、入れる時か出す時だな」

「入レル時デス」

「成程な、これって一般的なのか?」

「イイエ コノ世界ニハ 殆ド存在シマセン 類似物ノ存在ハ 確認済デス」

「似た物はあるんだな」

「ハイ カヅキ所有収納袋ハ 魔力次第デ 無尽蔵ニ入レラレマス 秘匿が良策カト」


そうだよな、これって万人が欲しがるな。 商人だと運搬コストが下がるし、軍需だと武器に弾薬、食料とか兵站(へいたん)には持って来いだしな。

「普通ニ 殺サレテ 奪ワレル 可能性ガアリマス」

「だよな、だよな。 元居た世界でもこれがあるなら、普通に殺られるよな」

「過去ノ移住者ニ 事例ガアリマス」

「ゴクリ・・・うん、気を付けよう。 よし!」


俺は両手で頬を張ると、取り敢えず大事な物を入れておこうと考えた。 大量の金貨は五枚ほど残して「ポイ!」っと、確認してみると残り九十四枚あるのが判った。 「これってこまごましたものを纏めて数えるのに便利だな」とか思いながら酒宿の階段を下りた。


「お出かけですかい?」と声を掛けて来たのは見知らぬ男だったが、素知らぬふりをする。

「ああ、また頼む」と俺は軽く会釈をすると、扉を開けて外へ出る。


お腹も空いたので屋台を探したが、直ぐにそれを見付ける事が出来た。 ブラリと歩きながら眺めてみるが、色々売っているようだ。 果実やそれを使ったジュース、串焼きにホルモン煮、サンドイッチにゆで卵や魚を串に刺して焼いたものもある。 俺はトルティーヤみたいなものと、青りんごみたいなジュースを買ってみた。


「うーんタコスとサンドイッチの中間みたいだな。 酸味の効いたピリ辛のたれはまぁまぁ旨い」


薄切り肉と酸味の効いたキャベツみたいなものが挟んである。 ついでに屋台の店主に武器屋と防具屋の在処を聞いたが、いまいち場所は掴めない。 「うーん 地図が欲しいな」とか思いながら、教えられた方向へと進んで行くと鍛冶屋らしき場所を発見。 外から眺めていると髭面のおっさんから一睨みされた。


「何か用か?」

「この町は初めてなんだ、ちょっと見せてくれるか?」

「ああ、かまわねぇ」


俺は意を決して入って行った。 武器屋には色々並べてあった。 ナイフから騎士が使う様なレイピアや片手剣、ハンマーやこん棒の類まで色々目移りする。 残念ながら刀は無かったが、細身の曲剣が見つかった。

「それにするかい?」

「いや、後でまた来るよ。 所で銃とかあるかい?」

「ジュー? なんだ」

「んーと、手持ちの武器で金属の弾が飛ぶとか?・・・・・・そう言う感じかな」

「ふーむ、魔道具かもしれんな」

「そうか、ありがとな、所で金属の弾ってあるかい?」

「玉? 飴玉見てぇな奴か」


俺はふと考えて道端で小さな石を拾った。

「おっさん、ヤスリはあるか?」

「おう、待ってな」


おっさんからヤスリを借りた俺は、右指を強化して石を削り始めて小指の先ほどの玉を作った。

「こんなパチンコ玉見てぇな奴だが」

「パチ・・? 貸してみな」


余計なお世話かと思ったが、材料は融点が低い鉛を指定して、パイプを半分に切ったものに溶けた鉛を同じ分量で流せば出来ると教えると、「ほぅ」と納得してくれた。 おっさんは型さえ出来れば、直ぐに作れるぞと言ってくれたので、取り敢えず五十個ほど頼む事にした。



「型用のパイプ作りの手間賃が最初はいるが、次からは安くやれるぜ」

「ああ、助かるよ。 武器もその内頼むな」

「おう、沢山買ってくれよ。 所でこんなもん何に使うんだ?」

「ああ、これを弾いて当てるんだ」

「ぷっ、ガハハ、お前さん暇だね。 まぁ金になれば何でいいさ。 取り敢えず銀貨一枚置いて来な」


おっさんはそう言うと、夕方また来いと言われて銀貨を渡した。 ついでに防具屋と魔道具の事を聞いたら、「弟が防具屋をやっているからそこに行ってくれ」と頼まれたので向かう事にする。


 簡単な地図を描いて貰ったので道を確認しながら歩いていると、前から美形の女が歩いて来る。

茶色の革ホットパンツにすね当て、ブーツを履いている。 上は黒い革チョッキに肘当て、腰に帯刀で白い髪からはポニーテールが揺れている。


「うーん ストライク!」と心で親指を立てながら、 昨夜の秘め事を思い出しながらニヤついていると、すれ違いざまに俺の腕を掴んで来た。 慌てて強化した体で、相手の手首を取りひねり投げてしまった。

「ドスン! あー、イタタター」

「あー済まない、いきなり掴んで来たから体が反応しちまった」


女性は「キッ!」と俺を睨みつけて、お腹に一撃くれた。

「ドスッ!」「お返しよ」

「うっぷ、すまん」

「カヅキって意外と冷たいんだ」

「えっ? お、お前はジュリナか」

「そうよ! 見て判んなかったの」

「ああ・・・すまない許してくれ。 昨夜とは様相が違っていたから、その、気が付かなかった」

「ふん! で、どうよ」


ジュリナデリカははち切れんばかりの胸を突き出して、腰に手を当てている。

「う、うん! グッジョブ」

「えっ、グッ?」

「ああ、いい女って意味さ」


指を立てながらにっこり微笑んで彼女に説明すると、ようやく機嫌を直してくれたが、腕を絡めて来たので、少し焦ってしまった。


「え、えっとジュリナは確か、俺の護衛もやってくれるんだよね?」

「ん? そうよ」

「じ、じゃぁ、この態勢は不味いんじゃないの、かなぁ」

「何よ、昨夜は凄かったじゃないの」


俺はついついモフモフに興奮してしまい、無意識に身体強化が発動⇒彼女昇天、の繰り返しをやってしまったのだ。


「ハハハ、ジュリナは魅力的だったから」

「ふふ、それにさっきのあれ、びっくりしたわ。 私があんなにあっけなく、投げ飛ばされたのは初めてよ」

「つい、ごめんな」

「いいえ、驚いてムキになっちゃった。 お腹ごめんなさい」

「いやぁ、いいよ別に」

「でさっきの技、なぁに?」

「ああ、体術だな」

「タイジュツ? それ格闘術?」

「そうだな、子供の頃仕込まれた」

「へーーーーっ、そうなんだぁ・・・・・・」


彼女は絡めた腕を外し「ペコリ」と頭を下げた。

ジャパンの「おじぎ」では無いようだったが、謝意の意味なんだろう


「昨夜はよわっちくて、軟派な奴って思ってたわ。 ごめんなさい」

「ハハハ、いいよ弱っちくては本当だから」

「嘘よ、私を投げ飛ばしたじゃない」

「たまたまさ。 あ、防具屋が見えて来た」


彼女はまだ納得が行っていない様だったが、今日は買い物優先である。

明日も懲りずに更新します。

いつも0時更新しております。

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