異世界探求伝 第七十一話 ギルドからの特別依頼
R15ですので、これ以上の描写は難しく、申し訳ありません。
戦闘シーンが最近全くありませんので、そろそろ入れていきます。
いつもお読み有難うございます。
作者:勘乃覺
研修? を終えた一同は一階に降りて、説明を受けていた。
男たちは、それぞれのサービスにご満悦の様子で、営業方針を綿密に決めており、他の娼館の設計図を見ながら何かと書き記している。 女性たちはそれぞれに与えた下着に目をやり、何度もその肌触りを確かめては美麗甚句を言い合っている。
「ケリー、いい加減上着を着ろよ」
「だって、みんなが見たいって言うんだもん」
「Mr.K様、だいたい絹布なんか、貴族様しか持つ事ができないのですから仕方ありませんわ。 それにこんな美しいデザインも、今まで見た事も無い斬新なものです。 これが身につけられるのでしたら、何でもやりますわよ」
「そうか、それは良かった、ベルモットも気に入ってくれたようだな」
「はい、とても可愛らしくて、薄く透けているのに丈夫ですね」
「それは、お前たちの仕事着というべきもんだからな。 ネグリジェは出来次第、貰ってない者にも与えるから待ってろ」
「Mr.K殿、この下着を売る店なんか作っちゃあみませんか?」
「そうだなダッグ、今は品薄だから取り敢えず一軒確保しておいてくれ」
「はい、娼館の近くが良いですね」
「そうだな、客もプレゼント用に買うだろう」
「ふむ、砦村での増産も考えなければなりませんな」
「まぁ、任せるよクラーク。 まずは娼館の改築が先だけどな」
現在の娼館にある各部屋は、娼婦たちの部屋になっており、部屋は彼女たちの住処であるとともに、お客との逢引きを行う部屋になっているが、それぞれに格付けがなされている。 部屋の大きさは、ほとんど同じような間取りであるが、奥の部屋になればなるほど、娼婦の格が高いのだそうで、豪華とはいかないがそれなりの体裁が整っているようだ。
新たな娼館では、女たちの部屋はグレード制になっていて、人気の格付で部屋が割り当てられるようになっている。 つまり人気のある娼婦は大きな部屋が独占できるほか、調度品も立派なものを揃えるつもりだ。 風呂も各部屋に取り付ける予定で、バスタブやその準備も整えさせている。
「しかし、この『覗き部屋』ですか? いいシステムですね。 実際に体験したら何度も通いたくなりますよ」
「ふむ、女たちに負担がかからないのもいいですな。 すでに引退した者達にも、仕事ができまする」
「そっか、後は任せたぞ」
「ちょっと、お待ちをMr.K様」
「うん? ケリーなんだい」
「あたしらにもっとアドバイスを、しておくれでないのかい?」
「うーん、色っぽい踊りは自分で考えてくれ。 それから言葉遣いをもう少し改めるといいぞ」
「Mr.K様ったらお忘れかい? 男の喜ばせ方を知らないって、言ってたじゃない」
「うーん、言ったっけ? まぁそのうちな」
少しやばくなって来たので、ここいらでお暇する事にした。 まだブートキャンプも終わってないし、これからのスケジュールの事も考えて、何とか承諾してもらう事にした。 一つ一つきちんと終わらせないと、何事も中途半端に終わってしまうのは判り切った事だ。
丁度話が終わったところに、シラシメの館からの使いの者が訪ねてきた。 今やクラークの婚約者となったカレンから、俺とクラークに急ぎの話があるとかで、早急に来て欲しいとの事だった。 というわけで、俺達は娼館を後にすると、シラシメの館へと向かう事にした。
――――
「どうしたというのだ、カレン殿」
「はい、実は毎年行われている、冬前の魔物依頼の件ですが、北部の街で冒険者が集められているせいで、ズナン周辺の狩り手が足りないのです」
「手伝って欲しいのか」
「クロサワ様、毎年収穫祭前に周辺の森を、安全確認しておくのは恒例の行事なのですよ」
「ああ、収穫祭に人が集まるから、危険を少なくしようって訳か」
「まぁ、そうなんですけど、魔物の間引きを今のうちしておかなければ、春に大繁殖って事になるので、危険なのですよ。 それに鬼族の動向も把握しておかないと」
「鬼族? そいつら、ゴブリンとかオーガとかか?」
「あら、引き受けてくださるのですか」
「まぁ、場所にもよるがな」
「隣の国境の森ですわ」
「って事は西のはずれだな。 一応聞いておくが国境に侵入しても大丈夫なのか?」
「国境とはもともと曖昧なものですから、それに今の国境はこちらが一方的に線引きしてますしね」
「まぁ、魔物や盗賊にとっては、あって無いものだからな」
「はい、それに冒険者と商人は、国境越えの特権が在りますからね」
「まぁ、砦村周辺だからいいだろう」
「砦村とは何の事ですの?」
「えっと?、クラーク」
「コホン、カレン殿は西の山にある砦跡を知っおるでしょう」
「えぇ、ずいぶん昔おきた戦の砦跡ね。 百年以上も昔の事だわ、あの先には険しい渓谷があるから、隣の国から攻められる事が無いから安全って聞いてるわ」
「この話は私の婚約者としてお話しますが、そこには我々が拠点を作っているのですよ」
「あら! 初耳ですわ」
「そういう事だ。 建物がある事の報告はしなきゃならんだろうが、ギルドにはぼかして伝えて欲しい」
「私も連れて行って下さるのですか?」
「ああ、クラークが良ければいつでもいいぞ」
「楽しみですわ」
「で、任務の詳細を教えてくれ」
「はい、鬼族はゴブリンとかオーガとかの魔物とは違います。 人と同じく種族で鬼人とも言います」
「獣人や魚人と同じって感じで理解して良いのか? 知能も同じだと」
「はい、人族のひとつとの認識で構いませんわ。 但し、かなり野蛮だと聞いております」
「人を喰うとか、攫うとかだよな」
「ええ、女子供を攫うと聞いております。 鬼伝説では、大酒飲みでかなり力強いらしいのですが、魔法を使うとの記述はありませんでした。 非常に好戦的で、私たちの祖先は過去に鬼族と戦い、国境へ追い返したと聞いておりますが、私は見た事がありませんの。 クラーク様ならお詳しいかと」
「そうなのか、クラーク」
「はい、ニショルクサ王国では、色々誤解を受けているようですが、アンチアモン鬼国という国家ですな。 鬼人は、必ずしも好戦的ではありませんよ。 鉱石の取れる国で、実際に商人との交易もありますしね」
「そうか、まぁ隣国との諍いを起こさない為にも、警戒は必要って感じなのかな」
「左様ですな、ニショルクサ王国は商工業が中心ですので、比較的に穏やかな国ですな」
「でも、北に人を集めてるって?」
「ああ、北にあるヴァレンシア皇国とは、昔から仲が悪いのですわ。 国境の利権争いがありますの」
「んと、ナカス大河あたりかな」
「左様ですな」
「まぁ、わかった。 ブートキャンプでの最終訓練に良いかもしれんな。 西側国境付近の森は任せろ」
「はい、でも国境の森は広うございますよ」
「まぁ、大丈夫だろう、強い魔物は居ないんだろ」
「はい、あの周辺では、Bクラス以上の魔物の報告は御座いませんわ」
「で、この依頼の詳細は?」
「はい、本来この手の依頼は、Bクラス以上のパーティーに頼むのですが、『チーム龍』はいまだCクラスですの。 ですがクラーク殿が加入しておりますので、扱いはランク一つ上のBクラスでの扱いが可能ですわ」
「うん、わかった。 鬼族を見かけたらその動向を見守る事と、魔物の殲滅で良いのかな」
「いえいえ、魔物は間引く程度で宜しいですわ。 出来れば素材は・・・」
「素材か、まぁカレンも砦村に来ればわかるだろうから言うが、素材は提供できない。 出来るのは討伐だけだから、討伐証明の部位だけは供出可能だな」
「はい、それで結構です。 手続きはクラーク様と致しておきますわ」
「よし決まったな、クラークは娼館の段取り終わらせたら、カレンと両親に結婚の承諾を貰ってこい」
「はっ、畏まりました」
「俺は一足先に、砦村に戻ってるから、終わったらカレンを連れてくればいいな」
「はっ、ズナンの街はダッグに一任いたします」
「うん、わかった。 じゃぁな、カレン、またあとで逢おう」
「は、はい、クロサワ様」
「では、カレン殿参りましょう。 父君はギルドにいらっしゃいますな」
「は、はい、あのぅ少しお聞きしても宜しいでしょうか」
「うぬ?」
「あのクロサワ様は何者ですの?」
「ハハハ、うーん、そうですな。 我々の主となるお方ですぞ」
「えっ!?」
かづきは、エセ妖精であるラビ先生に、情報の収集や解析を任せている。 実際に、かづきのやらなければならない事は多すぎて多忙な毎日なのだが、情報量が多く集まり過ぎるという嬉しい悲鳴でもあるのだ。
取り敢えず、ジュリナ達にイヤーカフで討伐依頼の報告を行い、ベルミに伝えて支度をさせる事にした。
――――
かづきは一人で急いで砦村へ帰還すると、その足で各工房へ出向き装備の準備を整えさせた。 そして食料の確保も重要な為に、食堂に赴きペンネコック長の元へ出向いたのだった。
「おや、これはクロサワ様、今お帰りですか」
「ああペンネ、しばらく訓練生を連れて、ギルドからの依頼も兼ねて狩りに向かう事になった」
「お帰りなさいませ、カヅキ様」
「ディアンヌか、なんでまたこんなところにいるんだ」
「はい、以前カヅキ様から依頼されていた、兵糧丸なる物の開発の為に、食材を求めて参っておりますのよ」
「ああ、そう言えば頼んでいたな。 出来たのか?」
「ええ、もう少々お待ちを。 後はジンジャとオニオ、それにガリックや蜂蜜などを頂きに」
「丁度いいな、明日までに間に合うかな?」
「ええ、間に合いますわ。 でもどちらへ行かれるのですか?」
「ああ、この砦村の北にある森だな。 国境西の森って言うのかな」
「あら、そこは貴重な薬草の採れる場所ですわ。 私も連れて行って下さいませんか」
「ディアンヌって戦闘力0だろ、危険だぞ魔物いるし」
「あら、守って下さらないのですか?」
「そりゃ守るけど、言ってくれれば薬草くらい採って来てやるぞ?」
「いえ、わたくししか、わからない薬草もあるので、是非に」
「うーん・・・俺達から離れるんじゃないぞ」
「ええ、勿論ですわ。 それに魔物の毒腺取りも上手ですのよ」
「そうか、薬関係も大事だからな。 じゃお願いするよ」
「はい、お任せくださいませ、カヅキ様」
「さて、クロサワ様、日程はいかほどですかな?」
「そうだな、三日の日程だが、三十人分を三食分あればいいぞ」
「後は現地調達ですか」
「まぁな、至れり尽くせりじゃ訓練にならんだろ」
「畏まりました、で、メニューはいつものサンドイッチとシチューで良いのですか?」
「そうだな、パンを多めに貰おうか。 後は、野菜と調味料や香辛料を貰っておこう」
「はい、出立は何時で御座いますか?」
「急がせて済まないが、明朝ってとこだ」
「畏まりました、ご用意させていただきます」
「では、カヅキ様わたくしも急ぎ支度しますので、失礼致します」
「ああ、俺は訓練所に行って来る」
――――
「お前達、今までこのブートキャンプの訓練ご苦労だった。 一人も脱落者を出さずにここまで来たのは、嬉しい限りである」
『サー、イエッサー!』
「しかし、そんな貴様等にも、いよいよ実戦の機会が巡ってきた。 それはギルドからの依頼で、魔物討伐が主な任務だ」
『オオー!』
「魔物相手の実践になるが、思う存分力を出してくれ。 今回の訓練が最終訓練となり成果が試されるので、皆心して掛かるように!」
『ウオォー! イエッサー』
「なお新たな装備品や訓練物資、また作戦の詳細は各班長に指示するので、講習室へ集合だ。 他の者は激しい運動は避けて、自由行動とする」
『サー!イエッサー』
かづきが講習室へ集めたのは、チーム龍の女性陣で教官役でもあるジュリナ、ミシェータ、モモ、ミクの四名と教官のベルミを始め、クラークのいとこである白隊班ビームスと赤隊班犬族ベベリ、黄隊班ネコ族ブルグに緑隊班バーミヤンといった所要メンバーであった。
「まず、これが装備リストになる。 武器や装備に食料と薬が各自支給されるから、出発前に各自確認させるように」
『はっ、クロサワ教官殿』
「次に計画表だが、今回の任務は二泊三日の行程でとり行うつもりだ。 主だった任務は魔物討伐だが、隣国である鬼人を見かけたら、先制攻撃はせず俺に知らせてくれ。 花火の要領で煙付きの告知弾を用意させてある。 ジュリナ説明を」
「いいかしら、告知弾は基本の五色よ。 緑色は応援要請で青色は集合、黄色は注意を促す色で、赤色は撤退の合図だわ。 そして白色は連絡時に使うわ」
「告知弾には、炸裂音がほとんどしないから注意しろ。 白色が打ち出された場合は、連絡事項があると思え。 これが打ち出されたら、通信役は速やかに高い場所へ陣取り、昼間は磨いた金属を使い日の光で、曇っている場合や夜間は光での通信だ」
『サー!イエッサー』
こうして、説明の終わったかづき達は、訓練生の質疑応答を行い、明日からの実地訓練の準備を終わらせたのであった。
ディアンヌ:あの方がお戻りになるので、急ぎませんと
ペンネ:えっとですね。 あの方の好みは、これとあれと・・・
ディアンヌ:なるほど、助かりますわ。 必要なものがあれば、商工ギルドから直に、ペンネ様へ優先して運ばさせますわ。
ペンネ:いつもすいませんね、お嬢様。
ディアンヌ:いいのよ、持ちつ持たれつというものですわ。




