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異世界探求伝  作者: 勘乃覚
冒険編
31/172

異世界探求伝 第三十話 強敵リザードボア

何か凄く強そうな敵の気配が・・・

 元盗賊団を従えて、俺達はリザボアの沼? に来ていた。


「ミク、ここは何て沼だ?」

「えっと、リザボアの沼ですね」

「ハハハ」安直な名前で、つい笑ってしまったがここはチェックしておこう。


土魔法の使える者は全員手伝ってくれ、この色の土を集める。俺は、灰色の土を押し固めて見本に置いたが、粘土としても最上の土であろうと思う。


「旦那、ちょい掘り過ぎじゃないですか?」

「ああ、ついな。 皆この辺でいいぞ、でも、旦那はやめろ」


 俺は、要らない土で長い土板を作り、穴の両側に渡してそれを隠すように枯草を()いた。

次に狩りのやり方を聞いて、ロープに餌を(くく)り付けおびき寄せるんだったな。 俺は餌にバクの身をロープで巻き付けて、魔法で軽くしてから水辺に勢いよく投げ込む。


あいつ等 本当に食うのかな?

見た目はカバだぞ? まぁ確かにワニの鎧を纏っては居るようだけど、見えてるはずだが動きは特に無いようだった。 俺は経験のあるという、子分Aに綱を渡して交代してみた。


「へぃ、こうやるんでさぁ」


子分Aは綱を『チョイチョイ』と動かし、誘っている。 「あっ」、気が付いたぞ、近づいて来る。 子分Aが綱を引きずって後方に走る。 「釣れたみたいだな」


来てる来てる。釣りは成功みたいだ。 その姿は、まるでダンプカーのようだった。 まずは、皮の硬さを見てみるかなと思い、味方に弓を打たせてみる。

「弓矢を射れ!」

「「おう!」」


ありゃぁー、弓持ち全員で射かけてしまった。 人数とか限定しないと、この場の全員が反応してしまうんだった。 結果だが、矢は案の定全部弾かれていたが、その内の一本が片方の目に突き刺さっていた。

「パオーン、シャァ!」


リザードボアはその場で立ち止まり、痛みで顔を振り回している。 ありゃ、ミスったかな、これじゃ穴に落とせない。 その時、こちらを発見したのか、鼻先を向けて勢いよく魔水弾を打って来る。


「ドーン ドン、ドン、ドン メキメキメキ」

「うわー!」

「総員退避せよ、射程外へ撤退だ」


 元盗賊団一味による矢の攻撃で、片目を射抜かれたリザードボアは手負いになってしまった。

命令したのは俺の采配ミスと言う所だろう。 しかも、お陰で敵は興奮してしまい、辺り構わず水弾攻撃を放って来た。 一味の皆は範囲外に退避させ、ここは俺達で処理する事に決めた。


「ミシェータ、火で応戦しろ」

「わかったわ」


「薪に金砂子を蒔きし如く・火が粉の沖する大気の焔よ・この手に集い汝が獲物を焼き貫け」

『フアイヤーボール』「ドーン ジュッ!」


 見ると、リザードボアは水で体を覆っている。

「水の鎧かな? これじゃ火は効かないぞ」 俺はすぐさま判断して雷砲を打つ。

「ドーン、バリバリバリ」

「うん、いけそうだわ。 硬直したみたい」

俺は、ミシェータを近くの木の上に乗せて、防御の援護を頼んだ。


「モモとミクは続けて雷砲を頼む、ジュリナは俺に続け」

「はい」「はーい」「ほい」「わかった」

「首筋を狙おう」


俺とジュリナは、『セセラギ』と『ヘシキリ』に魔力を注いで左右からの攻撃だ。 首をめがけて攻撃すると、驚いた事にその攻撃部位の水鎧が浮き出て、厚さを増して防いで来る。

「バシュッ」


水鎧の厚さで刃が届かないな、良し、両面攻撃だ。 再び『雷砲』を放つが今度は効いていない様子だ。 次は『火弾』で正面から三人で攻撃させ、陽動で隙を見付け出そうと左右での攻撃を試す。 リザードボアの水弾は、ミシェータは土盾で、モモとミクは回避しながら応戦している。


「ボン、ボン、ボン」

「パァーオー! ドン、ドン、ドン」


イヤーカフで合図を入れながら、足元強化ダッシュだ! 「行くぞ」「はい」

「バシュッ! バシュッ」


うーん、ジュリナが直前に長巻の柄の長さを変えて、傷を付けるのには成功したようだが、自動防御の様に水鎧がリザードボアの体を守っている。 考えてみると、この魔物がランクBなのは、強さというよりも倒し難いからなのかもしれない。 俺は考えを(まと)めて、水鎧の対抗措置を考えてみる。 雷砲はどうやら対処していて無効なようだ。 そういえば、確か純粋な水は電気を通しにくく、魔法で出来た水ならばなおさら不純物がゼロなはずだ。 よーく見ると、尻尾を地面に突き立てている。 成程、あれで地面に電気を逃がしているのかと、相手の対処法も冷静に判断できるようになっていた。


「『コール』ミシー:『リザードボアを凍らせろ』」

「『アンサ』カヅキ:『鎧が凍るだけじゃなくて?』」

「『コール』ミシー:『いいんだ やってくれ』」

「『アンサ』カヅキ:『了解』」

ミシェータは『ライキリ』を使って静かに詠唱を始めた。


「激烈な寒気と霧が暮れ・吹きあげ頬を打ちし大気の雨粒よ・深々と冷気を纏って客体を凍らせよ」

『フローズン』、「カチカチッ!」


「今だ! ジュリナ」、「はい!」


俺は、少しタイミングをずらせ飛び上がると、『セセラギ』に重力をかけた。 

『グラビティ・オン』

ジュリナの『ヘシキリ』が先に首元に入り、氷にヒビが入る。 ほぼ同時に、上段からの俺の重くなった刀身が蒼白い光を帯びて、首筋に狙いを定め正確にそこへ落として行く。 水鎧で覆っていたその氷の塊は、ジュリナの攻撃で全て剥がされ、剥きだしになった鎧の隙間に俺の刃先が到達する。


「ピキッ! パリーン」、「バシュッ!」 

「パァオーーーーン!!」「ピューーーッ!」


その首の、半分程度しか切り裂く事が出来なかったが、どうやら刀刃は脊髄まで到達した手応えはあった。

その証拠に、首から(おびただ)しい血栓が辺りに噴き出している。


「ふぅー」

「やったわね!」「やったわ」「やったぁ」「ご苦労様です」

少し気になったのは、最後のリザードボアの断末魔である。 仲間に知らせる遠吠えであったような気がする。 「ん? えっ」


「ドドドドド!」

「おい! 皆、まだ近づくな」

「リザードボア五頭が物凄い勢いでやってきます。 おにぃ様」と、遠目で川辺を見ていたミクが声を掛けて来る。

「よし! 俺が殿(しんがり)を引き受ける。 皆、撤退だ」

「はい」「あい」「はーい」「わかったわ」


俺は、倒したリザードボアを即座に収納すると、向こうからやって来る新手の五頭と対峙する。

足止めならば『土壁』だったと、マッドウォールでいいかなと短く詠唱してみた。


『マッド・ウオール!』

「ズ、ズ、ズ、ズ、ズ」

「ドーン、ドン、ドン、ビシッ、ドゴーン!」


最初の一頭はぶつかったみたいだが、敵の後続が水弾で壊したようで、開けた穴から走って来る。

ヤバいな、もう一回壁を作って退避しようと思い、更に壁を構築だ。


さっきより、俺は土壁を厚めにイメージして、目の前に設置すると後ろを振り返らず退避する。

『マッド・ウオール』

「ズ、ズ、ズ、ズ、ズ」

「ドン、ドン、ドン」

「ドン、ドスッ、ドスッ、ビシッ、ドゴーン!」

「ドドドドド!」


俺は、遠目に見える仲間を目指して逃走を図る。

「ドドドドド! ドーン、ドン、ドン、ドスン、ドスン」

「パオーーン パオー パオーン パー パオン」


「うん?」 俺は念の為立ち止まり後ろを確認した。 しかし、リザードボアの群れは見えない。 でも声は聞こえるし、やけに焦っている様な鳴き声だ。 そろりと近づいてみると、それは何故だか判った。 やはり、大きな落とし穴に(はま)っている様子だ。 除くと、俺を見て恨めしそうに鳴きながら、水弾を打って来る。 俺は素早く首を引っ込めると、ついついニヤリとしていた。


「これなら安全そうだ」 俺は背後の気配を見て、後続が来ない事を確認すると皆を呼び寄せた。

「うは、五頭もいるぜ」

「どうしますの?」

「うーん、群れはまだ居たし、狩ってしまおうかな」


俺は、穴を覗こうとしている子分達に、危ないから下がって居ろと命令を下した。

「頭を持ってかれるぞ!」


どうしようかと考えている最中に、リザードボアは水魔法でその穴を満たす事にしたみたいだ。

だんだんと水嵩が増して来て、水面が徐々に上がって来ている。


「ヤバいな、ミシェータ、凍らせろ」

「判ったわ、任せて」、彼女は直ぐに詠唱を始める。


「氷雲がどんより低く垂れ込め・雪に覆われし大地と空の間に・石のように固く凍てつけ」

『ブリザード!』 

「ピキピキピキッ」


取り敢えず氷漬けにしてはみたが、このままでは対処の仕方に難儀しそうだな。

考えを巡らせていると、氷の表面が段々とヒビが増え始めてきている。


 リザードボアの皮鎧は強固で体格もいい。

恐らく皮下脂肪も蓄えており、火、水魔法は無効であり打撃にも耐性があるので、土魔法も効きそうに無さげである。 雷も対処されたし、風の刃もあの鎧を突き通せるだろうか? しかし待てよ、生き物ならば空気を吸っているはずだ。 俺は物理障壁を穴に張らせると、火の魔法で酸素を燃やす事にする考えを仲間に伝えた。


「こんな事で殺れるの?」

「うん、人も口と鼻を塞いでいると窒息するだろ。 あれは酸素欠乏になるからなんだ」

「へー、サンソ、ケツボウなのね」


『フアイヤー』

『シールド・オン』

「ボウッ、バリッ!」


見ていると、緩やかに氷が溶けてきて、リザードボア達の姿が次々と現れてきた。

火のせいもあるだろうが、水を出して氷を溶かしていたのだろう。 水面に顔を出すと、直ぐに異変に気がつき、次々にに潜っていく。


「んと、潜っちゃいましたね」と、モモが(つぶや)いているが、ミシェータも同様のようだった。

「水中を泳いでますわ」

「あれ? 土を掘っていますよ」と、ミクが言うのを聞いて、俺はハタと気が付いた。


そっか、水生物だから空気を大量に取り込めてるんだ。 土を掘っての脱出も考えてそうだな。 俺は即座に決断した。

「よし! 電撃砲で硬直させよう。 ミシェータは水を抜いてくれ」

「判ったわ」


俺はシールドを解除すると、他の四人全員で電撃を打った。 相手が硬直した間にミシェータに水を抜いて貰う事になった。


『シールド・オフ』

「ドン、ドン、ドン、ドン、バリバリバリ!」


「灰色に渇いた漠々たる大地よ・根幹からむき出し水枯れ・露ひとしずくも残さず吸い尽くせ」

『ドラァウト』


恐らく次回からは対処されていると思うから、この方法は今回限りだなと思いながらも、水が抜かれた穴に一人飛び込む。 そして硬直したリザードボアの体に触れると、重力操作で重力を倍に掛ける。 見た目で四トンは超えている筈だし、重力をかけた今ならその短い脚では八トンは耐えられまい。


 異変に気付いたリザードボアは、身動きが取れずに水鎧で体を防御し始めた。

ムム、しぶとい、また水を出されれば、浮力と泳ぐ事で重力の軽減が出来てしまう。 こんな時の判断は最後の雌雄を決する事の方が多いはずだ。 俺は即座に判断すると、仲間にこう命じる事にした。


「ミシェータ! 凍らせろ」

「了解」

「全員、魔法弾を土弾に変更、頭部を連射攻撃だ。 一頭ずつ集中で行くぞ、意識を高めろ!」

「了解」「判ったわ」「任せて下さい」「行きます」

「ドン、バリッ!」「ドン、ドン、ドン」


 土弾はいとも簡単に砕けてゆく。

そうか、固めた土魔法だから強度が無いんだな・・・全部粉々になってしまう。 あまりのリザードボアの硬さに驚いた俺は、急いでコーティングされたジャケット弾を取り出すと、指を最大に強化して弾いのだった。


「ドシュッ!!」おっ、いけた。 手ごたえはあった、だが、頭部に貫通したのに倒れない。 次々と氷を割り始めて自由になったリザードボアは、俺達を水弾で反撃してきはじめたのだった。


刀で殺るには、穴に飛び込まなくてはならないが、飛び込んだとしても、他のリザードボアが復帰したなら逃げ場が無いし、圧殺される危険がある。 俺はともかく、同じくに刀を武器に使うジュリナが、危険に晒されるのは看過できない。 「くそったれめ!」俺は次に大刀『セセラギ』にする様に、ジャケット弾に魔力を注ぎ込んだ。 イメージは火だが、込めるだけ込めてみると直ぐにその充填が収まってゆく。 どうやら容量を超えて居る様だった。

 

恐らくこれ以上は無理なのだろう、この先は暴発の危険がある。 子供の頃爆竹で戦争ごっこをやったが、手元で暴発してしまい、手の皮がめくれる程の損傷を受けた。 しかもこれは特注の「フルメタジャケット弾」だから只では済むまい。 なるようになれと、願い込めて俺は放ったのだった。


「行けっ!」

「バスッ、ドバーン!」

「ドサッ」


「やったわ」「やったわね」「凄い おにぃちゃん」「頭が吹き飛んだわ」


恐らく、ジャケット弾に込めた魔力が衝撃の許容を超える寸前で、誘爆したんだろう。 思っていたより強力な攻撃法が新たに見つかったようで、内心ほくそ笑んだカヅキであった。


ジュリナ:ねぇねぇ、あの元盗賊団って使い物になんないんだけど。

ミシェータ:まぁ、無駄に死人を出さない為のカヅキの方針よ。

ジュリナ:まぁね、こっちには頼もしい武器があるものね。

ミシェータ:感謝なさい! キリッ。

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