↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界探求伝  作者: 勘乃覚
冒険編
26/172

異世界探求伝 第二十五話 試行錯誤

なにやら、また色々始めるようですよ。彼

 今かづきの部屋では、チーム龍の女性陣と共に会議の真っただ中である。

今は新しくゴーレムの心臓部である「コア」の開発の相談をしている所であった。 魔法陣に不得手なものも参加しているのには訳がある。 それは参加する事で、知識を得るとともに柔軟な考えを伸ばして欲しいからであった。 今もミクの質問に、かづきは得たばかりの知識で、それを理解させている最中である。 


「回路? ですかおにぃ様」

「そう、火の玉を作る魔法を作る時は、火の具現化⇒火の規模⇒排出対象特定⇒魔力消費⇒発動だよね」

「はい、おにぃ様、それを詠唱にイメージとして、捉える様に習ったのですわ」


「そうか、しかしこれがゴーレムの動きなら、『石を投げろ』の命令だと、石確認⇒膝を曲げる⇒倒れない様に体を支える⇒手を差し出す⇒石を拾う⇒体を起こす⇒構える⇒対象確認⇒投げる でいいのかな? ミシェータ」


「そうね、行動出来うる事項を何種類も書かなくてはならないの。 だから行動が単調になるのよ」

「それが、十通り書ければ、単純に十倍になるかな?」

「そうね、本当に出来るのなら」

「さて、その方法なんだが」


「普通は書いた術式を対象の魔石に移すのよ」

「『術式転写』⇒対象確認⇒移動⇒書き込みかな」

「ええ」


「じゃこうしてみよう」

オーブを固定して俺は思い浮かんだ仮説を説いてみる。

「『術式転写』⇒対象確認⇒縦軸固定⇒横軸固定⇒術式移動⇒書き込み これでどうかな?」


「何か・・・・・・出来そう、かも」

「『トランスター・イン』って感じかな 絵を写すってイメージで」

「うんうん、それならもっと簡素なイメージでいけそうだわ」


「写す専門の魔道具とか、作れそうじゃないか?」

「ああ、いいわね。 目盛付けて横軸、縦軸を固定させるのよ」

「それで、ゴーレムに複雑な何をさせるのですか? おにぃ様」


「おっと、そうだったな。 ミシェータ、他人の動きをゴーレムに真似と言うか、手本にして模倣(もほう)する事は可能か?」

「そう言う命令式を術式に書き込めば可能だわ。 でもどうやってやろうかしら」

「さっき魔法術式が回路だって言ったけど、その説明もしておこうか」


「うん、お願い」

「例えば、この仮説にある五枚の回路は、それぞれ一から五まで繋がっているんだ。 だから一から四とか三から五とか、勿論逆動作も可能だから、色々な組み合わせで複雑な命令が出来る訳だよ。更に言うと一,二の組と三、五の組とで数字二つずつ同士の組み合わせも可能になるから、もっと複雑に出来るね」


「成程ねー、じゃ模倣した動きを、それぞれのパーツの動きに置き換えて行動させるのね」

「そういう事になるけど、新たな動きを記憶する回路も必要だね」

「そうね、読み込み専用回路を作ればいいわ」

「但し、このシステム、つまり仕組みが完成すればかなりの脅威になるぞ」


「なんで? おにぃちゃん」

「武術の達人の模倣をさせれば、兵士の代わりが出来るぞ」

「あちゃぁー」


「そうね、ゴーレムはともかく、この心臓部は『コピー』出来ない様にしないとね」

「仕組みも、また秘密にしなければね」

「まずは、今までのゴーレム用の魔法術式に、パターンを複数用意するわ」

「ああ、頼んだぞミシェータ、ミク」

「頑張るわ」「はいおにぃ様」

 

その気の良い返事とは真逆に、ジュリナとモモは退屈そうに声を掛けて来る。

「私暇だわ」「おにぃちゃん、私もー」


ミシェータ、ミクはこのまま部屋に戻って、魔法術式回路の設計に入るらしいが、後の二人は暇らしいから俺に付き合って貰おうか。


「そっかー、あっ花畑があったよな?」

「ん? あるけど、お花摘み?」

「いや、パンを作るんだ」


「えっ?」

「白いパンが食べたいんだ」

「それなら小麦でパンを作らせましょうか」

「うん? 黒いパンは小麦じゃないのか?」

「大麦と小麦を混ぜてるみたいよ、この辺のパンは」

「ふーん、何で?」


「そうねぇ、小麦の方が高値で取引されるからじゃない」

「膨らませてるのは何の酵母だい?」

「膨らませるのにエールでこねてるのよ」

「成程、それであの味か、うん、納得した、有難う」


 簡単に出かける準備を済ませると、俺とジュリナ、モモは歩いて出かける事にした。

花畑に向かおうとしたが、摘み立てが花屋にあると言うので直ぐに向かった。 近いからね。 ついでに雑貨屋で、蓋付のガラス瓶も購入だ。 三人で歩いていると、ふと目に映った乾物屋があったので、覗いてみることにした。


「こんにちは、見せて貰っていいかい」

「ああ構わんよ。 試食させっから沢山こうてくれや」


出て来たおばちゃんは、きさくな感じの良い小人族だった。 マジックハンドみたいな道具を使って、器用に棚から色々瓶を取り出して並べてくれている。 果実の干した物も置いてあった。 赤い物がいくつかあったので聞いてみると、ベリーや桑の実に近い物だった。


「うん、旨いな これとこれ、それにさっきの奴もくれないか」

「おお、おおきに」

「おにぃちゃん、これも美味しいよ」

「どれどれ」 


色々味見して、酸味のあるものを聞いてみたら『乾燥トマト』、ありました。 でも「アカナス」と言うらしい。 生は見かけなかったが聞いたら、時期は終わりと言っていた。 良かった、欲しかった食材の一つである。 俺はその、アカナスと呼ばれる乾燥トマトをあるだけ買いしめた。 ケチャップもあるんだろうな。乾燥アカナスは30kも買い込む事が出来た。 


「ありがとね、旦那さん。 どこかのお屋敷だったら、持ってくけんど、どうすべ?」

「ああ、大丈夫だ。 持って帰れるよ」

「ここは乾物屋だよな、ドライフルーツ以外は無いのかい」

「ああ、うちの実家は森の近くでね、色々果樹園やってんだよ。 だから果実の実ばかりだべ」

「ふーん、そうか有難う」

「新鮮な果物が欲しいがどこかお奨めがあるかい?」

「ああ、それならあたしの妹がやってる果物屋があるべさ」


俺は鉛筆を渡して地図を書いて貰う事にした。 おばちゃんは、鉛筆の書き味に驚いていたので、一本あげたら、追加サービスまでしてくれたのだった。 結局、この乾物屋に支払った代金は、他の物も含めるとしめて銀貨二枚で手に入った。 これは、サービスの分もあったが、かなりのお買い得だと思った。 俺はそれらを収納すると、おばちゃんに見送られて乾物屋を後にした。


次に近くの花屋で物色していると、何やらバラが大量にある。

「ああ、いい香りね、カヅキ」

「バラかぁ、いいな」

「いりゃっしゃいませ、ふふふ、彼女さんですか? うちのバラは持ちがええから、贈り物にはええりょ」

「うん、贈り物じゃないんだが、バラが大量に欲しいな」


贈り物じゃないと聞いて、ジュリナは少しむくれていたが、仕方がないので先に二輪ほど色違いを頂くと、棘を綺麗に取って貰い、ジュリナとモモの髪? 毛かな? まぁいいや、モフ耳のあたりに差してあげたら二人はたいそう喜んでいた。


花屋の奥には無造作に摘まれた花弁があった。 聞くと、ヒップティーにする為に、今から乾燥させるらしい。 これは丁度いいやと思って、小輪の香りが良かったバラの花を桶一杯に買い込んだ。

「ハーブティー作るの? おにぃちゃん」

「いや、これでパンを作るんだよ」そういうと、不思議そうにしていたが、自然界にある花や果物の殆どで酵母は作れる。 と言うか、自然の大気の中に存在しているのだ。 ただ、酵母には種類と特性があるので、それぞれに応じた酵母菌の採取が必要なのである。 酒酵母であるビール酵母も、パン作りには使えるが、個人的には俺の作りたいパンの方向性とは、違っていたのだ。


花おけ二つ分の花びらを買うと、地図を頼りに果物屋へと向かう事にした。 獣人二人も居るのだから、探せない訳も無く直ぐにその場所へと連れて行かれた。

「ああ、そうかい。 ねぇやんの紹介だね。 何でもかってっておくれよ」

「ああ、見てくれは良いんだが、甘くて新鮮な奴が50個程欲しいな」

「へぇ、あるよ。 ちょっと待ってな、旦那」


さっきから旦那のキーワードに、反応している奴が約一名居るが気にするまい。 もじもじと、うつむいているジュリナは無視する事にして、俺は木箱入りの赤りんごを買い込む事に成功した。 聞くと、これは屋台などのジュース用だったらしい、小粒なので余り商品としては売れないらしいが、食べてみると完熟している為に、とても甘かった。 三人で試食させて貰い、果物屋を後にして帰る事にする。 このリンゴと花びらで酵母を作る予定だが、二種類でやればどちらかが成功するだろうからな。


屋敷に帰ると、夕方前であったが厨房に向かう事にした。 いやなに、仕込みで忙しくないかを気にしていただけである。 コック長のペンネに聞いて作業の場所を教えて貰い、そこで仕込みを始める事にした。


大鍋でお湯を沸かすと、ビン類を消毒し、先ずはりんごで酵母作りに精を出す事にしよう。

とは言え、洗わず皮付きのままぶつ切りで、熱湯消毒した瓶に入れるだけだ。 後は湯冷ましとはちみつを適当に入れてみた。 バラの花も同じく投入、ガラス瓶は小さめのバケツ位の大きさがあるので、十瓶づつ仕込んで置いた。 後はコック長のペンネに、泡が出たら定期的に混ぜる様に言ってお願いする事にした。 一週間位はかかるだろうが、先日の牛刀と髭剃りのプレゼントが効いていたのだろうか、気安く引き受けてくれた。 


「ははっ、クロカワ様から頂いた贈り物はとても素晴らしく、使うのがもったいないほどでした」

「飾るものじゃないぞ? 使ってこそ物は報われるぞ」

「確かにそうです。 しかし、あのような切れ味は感嘆の域を超えまするぞ」

「アハハ、それは作り甲斐があったな、その代わり色々頼み事をするから、宜しく頼む」

「いえいえ、レシピが頂けるのですから、こちらも願ったり叶ったりで御座いますよ」


 コック長に気楽に応じて貰えたので、次に乾燥アカナスで、ウスター作りだ。

聞けばケチャップはあるそうなので、此方に無い、ウスターソース作りに励む事にした。 これで一歩「粉もん」に近づいたのかもしれないと、一人ほくそ笑んだ。 「フフフ」


 厨房の野菜貯蔵庫でキャロット、パセリみたいな草、ニンニクを見付けた。

しょうがは、はちみつ漬で薬師工房で見つけたのでそれを使う事にする。 玉葱は無いのか聞いたら、獣人は玉葱を食べないのでと、自分達様に隠しておいた玉葱を供出して貰えた。 香辛料は十種類ほどあったので、適当に後で入れて見る。


寸胴鍋を借りて、剥いた野菜を入れると『エアカッター』だ。 ジュリナとモモは「うげー」とか言っていたが、玉葱は触らせていないはずだ。 長い木のへらで炒めると、乾燥アカナスを千切って入れ、カースワインを小樽ごとドボドボと入れて沸かす。 濃度が濃い様なので水を差し入れ、後は延々と一時間掛けてあく取り、塩を軽く入れて一日目は終了だが、シェフとモモは丹念にレシピと調理工程をまとめている。 ジュリナは暇そうに、先程の酵母を仕込んだ瓶を不思議そうに眺めていた。 瓶をクンクンと匂ったり、瓶ごと中身を回したりで、仕草が可愛いのだ。


ウスターは熟成が必要だが、早める事は可能である。 毎日かかさずに火入れをすれば、熟成を早める事が出来る。 俺は二日目に入れる香辛料と、麦芽から取れる水飴を適量計ってシェフに預けた。 明日また火入れして貰う為だが、シェフは喜んで引き受けてくれた。 焦がさないように何度も念を押して、頼む事にした。 俺の計画は着実に進んでいるのだ。「ふふふ」夕食の準備で忙しく動き回って居た厨房の皆さんに、お礼を言ってその場を後にした。


「そう言えば、パンの粉はどこで挽いてるんだ?」

「んとね、農家の人が石臼使って挽いてるよ。 おにぃちゃん」

「ゴーレムとかで?」

「そうだね、力仕事はそうしてるみたいね」

「水車ってあるか?」

「何なの?」

「水の流れる力で回る、木の風車みたいなのだぞ」

「うーん、水路には無いわね」

「そうか、水車小屋追加発注だな」


俺はモモを連れて、図面を書き起こしに係った。 原理と利用法、設計図が終わると、クラークに投げておいた。 しかし、説明が必要だと再び捕まり、夕食後に執務室で再び会議の場が設けられた。 明日から狩りなので程々で話を打ち切りたかったので、手短にせつめいすることにする。


「この水車なるものの、動きは説明されていますが、どのような使い方をなさるのですかな」

「ああ、そこの説明か、大きく分けて二つの作業が出来るんだ」

「ふむ」

「まずは、下から水をくみ上げて、上の水路などに自動で流せる」

「ほう、魔法を使わないのですか」

「ああ、そうだ。 水流の力で自動的に回るからな」

「なるほど」

「次に、その回転力を使っての動力源だ」

「ふむ、これはわかりますぞ、この円の中心に軸を差し込んで、その回転力を使うのですな」

「ああ、歯車を使えば、永久に作業が出来る」

「使い方は?」

「今の所、穀物の製粉とか、柔らかい岩などを粉砕する作業だな、石灰とか焼き物の器の土とかだ」

「ほう、では水路沿いにその建物の配置が、必要ではありませんか?」

「ああ、そうだった。 すまん手配を頼む」


こうして、話は進んで行ったのだが、明日早いので切りのいい所で、くらーくには話を終わらせて貰った。

それから、女性陣にも早めに体を休めるように、言っておいたのだった。 楽しみの前日はワクワクして寝れないからな。



ミクぅまた、おにぃちゃん色々やるみたいよ。

ミク:あら、楽しみだわ。 パンも作るみたいねでも、白いパンってさ

モモ:そうそう、貴族が食べる奴でしょ? 美味しいのかしらね


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。