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異世界探求伝  作者: 勘乃覚
冒険編
20/172

異世界探求伝 第十九話 下準備

何やら色々やりはじめるようです。

 チーム龍でのお揃いの衣装が出来上がったのだが、いまいちその評価が上手く下せないかづきは、現状維持で行くしかないとの覚悟を決めていた。


「ああ、構わないさ。 後、砂鉄のお金は?」

「んと、銀貨五枚だったと思う」

「そっか、じゃ金貨四枚渡しとくよ。 また買っておいてくれ」

「で? 何始めるの」

「えっと、武器作り、刀を作るんだ」

「カタナ?」

「俺の国の剣だな」

「ふぇ? 自作? 鍛冶屋さんも出来るの?」

「まぁ、多少な」

「この炉を、火床なんだが、修繕したいんだ。 手伝ってくれ」


 こうして、急ぎ工房の改修を行うことになった。

俺は先程届けられた炭の加工だ。 まぁ、加工とは言っても粉にするだけだけどな。 石炭を積んでいた金属缶も借りて来た。 四方の柱も強化して(はり)を持たせた。 簡易たたら炊きの窯を持ち上げる為だ。 滑車とジャッキ、鎖はここの店にあったので、売り物用の武器鎖を譲ってもらう事にした。 たまに親方のガスドやその弟子達が見に来るが、趣味で遊んでいるだけと思っているのだろう。 直ぐに去って行った。


「ふう、これでどうにか完成だな」

俺は満足して、夕暮れの景色を見ながら三人で帰宅した。 夕食の終わった後は、恒例となったクラークとモモ、ミクペアも交えてのチーム『龍』の会議である。 


 入ったとたんにモモとミクがすぐに張り付いて来た。

俺たちが着ていた、『龍コートコスチューム』が気に入ったらしい。 女性用と男性用は少し違っている。 ロングで足首近くまである「法被(はっぴ)」のようだが、長袖で袖口が広げてある。 前開きなので、マントの様に背後に(なび)くのだ。 生地の色は、は火竜の暗めの深緑色の下地に俺のは金文字に、銀刺繍の縁取りがしてある。 彼女らは背中の文字は銀の刺繍で赤い縁取りで、袖口にも模様が凝らしてある。 襟元は首を守る為の強化が施してあり、襟元から下にかけて綺麗なデザインの刺繍が輝いている。 


「恰好の良いもので御座いますな」

「いやーん、デザイン素敵! 欲しい」

「綺麗、おにぃ様、これを下さるのですか?」


ふむ、もはや断れる状況じゃ無いな。 おっさんはともかく、可愛い妹たちに「おにぃちゃん これ欲しいぃ」とか猫なで声で言われて日にゃ、俺のか弱い心は暴発してしまうのが至極当然である。


 仕方なく作ってあげる事になったが、これでなし崩し的に全員がメンバー確定となったのだ。

ジュリナに寸法を測らせて、注文をさせる事にした。 モモとミクの役どころは取り敢えず書記と秘書という事にした。 まぁ、お便利係りと言ってしまおう。 来年卒業するまでは、そんなに手伝わせられないが、本人達は仕事が出来る事が嬉しい様である。



「オーブってさ、幾らくらいするの?」と、聞いてみた。 俺が考えるに、魔力が便利に使えるのはこれだと思う。 充電できる電池の様で便利な様だが、なんせ作り出せないのだ。

「そうね、拳大で銀貨十枚ね。 物にもよるわよ」

「売値は?」

「銀貨五枚」

「えっ?半分もぼってるやん」


「あー、それはギルド経由でしか手に入らないから」

「そっかー、税も掛かるんだよな。 でも裏物も当然あるんだろ?」

「ありますが、銀六枚で買っても精々七枚で手に入れる位ですな」


「そうね、売るのでは無く自分で使うのであれば、狩りで稼ぐって方法もあるけど?」

「どんな魔物が落とすんだ?」

「大きい物が欲しいならB級以上の魔物ね。 中型の竜種、大型の魔物虫、ミノタウルスやオーガみたいな感じだよ」等と、ジュリナが教えてくれた。


「ふーん、そうなんだな。 今度、銃の試射ついでに行ってみるかな」

「キャー、やった」と、女性陣がはしゃいでいる。

「嬉しいのか?」

「だって、冒険者に興味あんまり持って無かったし」


「私達も、行きたいでしゅ」「でしゅ」

「お前達は冒険者登録してるのか?」

「ええ、クラーク様から、やりなさいって言われてたので」

「ランクは?」

「Eですが」「です」

「ミシェータとジュリナは?」

「二人ともCよ、ちなみにクラークはAよ」

言われて出番を感じたのだろう。身を乗り出して喋るクラークだった。


「ウハハハ、ヴァレンチノ家に戦闘力は必須条件でありますから」

うげっ、このおっさん相当なもんだな。 未だに身体強化も見せないし。

「えっと、ランク二つまでは、同行出来るんだっけ?」

「そうね、それに下位の育成でポイントも頂けるわよ」

「ふーん、じゃ、落ち着いたら行ってみるか」

「わーい」「ワーイ」


まぁ、タダで手に入る方法が有るのなら、やるのがてっとり早いだろう。

魔物狩りに行く事が確定になり、次の案件に移るとする。


「えっと、クラーク、工房はどの辺に建てるんだ? 輸送も必要だろ、町の用水路があるよな。 重い物は船で輸送すれば良いんじゃないか?」

「さて、輸送用には使われておりませんが」

「領主と話は出来ないのか?」

「ルンデリック伯爵様ですか、何とかやってみましょう」

「これ使ってくれ」


 俺は金貨十枚をクラークに渡した。

これで残り金貨が六十枚程になってしまったが、使うべき場面には惜しんではいけない。

「こんなにですか?」

「全部使う必要は無いよ、工房造りには金が掛かるだろ。人集めにも」

「はっ、クロサワ様、正直助かります。 予定地ですが、少し離れた場所に砦跡が御座います」クラークは地図を差し出し、場所を示してくれた。


「成程、それからこの屋敷の馬車を見たんだが、どこでもあんな感じなのか?」

「そうですな、貴族馬車はもっと華美で御座いますね。材質も凝っております」

「性能は?」

「馬ですから、速さはさほどでは無いですな。」


「そうか、改造すればもっと速く出来るぞ。 乗り心地もな」

「ほう、流石(さすが)クロカワ様ですな。 もう驚きませんぞ」

「うん、そうだなぁ、例の砦だが将来は街化の方向で行こうか」


「えっ、街ですか?」

「地図を見たんだが、奥は僻地(へきち)で土地所有者はどうなってる?」

「ええ、崖の向うでこの領地とは縁切れの地で御座います。 なにぶん奥地は魔物がおお御座いまして」


「そうか、将来を考えると、この町は小さすぎるな」

「左様ですか」

「ああ、エンピツと食器生産が始まったら、金が回り出すから資金面はいけるだろ? 僻地だろうから、下水道整備と、建物、人材確保だな」

「畏まりました。 王都に人材が余っていると聞き及びます。 お任せ下さい」

「うん、取り敢えず生産職は確保な。 鍛冶、石工、ガラス工、木工、土木が優先だ。 書いてるか? ミク」


「はい、おにぃさま。 書きましたわ」

「人手は足りないだろうから、安い奴隷でも居たら買うのも有りだな」

「ゴーレムとか作れないのか」

「ゴーレム? 労働させるの?」

「うん」

「うーん、長期間使うなら結局は魔力の消費がきついから、自分で身体強化を使う方が早いのよ」

「でもさ、魔力があれば効率よくやれるんだよな?」

「うーん、永続ならやっぱり魔石を使うから、オーブの確保が必要だわ」


「ハハハ、そこに来たか、狩りに関してはもはや決定事項になったな」

「モモ、ミク、クラークと話して計画書の作成を頼む」

「畏まりました。 おにぃちゃん」「はい、おにぃさま」「はっ!」


「あと、馬車だが、輪の外周部分に弾力があって、耐久に優れた物を取り付けると耐久が上がる」

「カキカキ」

「そしてバネの部分を改良しようか、悪路でも揺れを抑えてくれる奴だ。 後で図面を起こして置く」

「はっ」

「このパテントはクラークの自由にしてくれ。 利権を餌に伯爵に近づくのも良いかもな」

「ほう、知略にも明るいのですな」

「ハハハ、そうでもないさ」


「それで、明日の行動予定だが、ジュリナは狩りの下準備を進めておいてくれ。 一応野宿も想定だぞ」

「任せて」

「ミシェータ、連絡方法の確保って出来ないか?」

「ん? 風魔法に声を乗せるってのがあるけど? 応用出来るかな」


試しに部屋でやってくれた。 ミシェータの声が離れた場所で聞こえて来た。


「特定の相手にその声を届ける事は?」

「うーん、聞いた事無いわね」

「じゃ、魔道具から魔道具に声を伝える事は?」

「あー、うん、特定の式を埋め込んだ魔道具同士なら、可能かも」


「そうか、じゃその開発を進めてくれ」

「カヅキは何するの? 鍛冶屋かな」

「うん、明日は夜まで帰れないな」

話がまとまったので、今日はこれで解散した。 クラーク誘って、サウナへ行こうかな。


――――――

 サウナから戻ると庭で一服して部屋へ戻った。

明日は鍛冶で体力を使う予定なので、今夜はドアの鍵を閉めた。 風魔法の障壁を覚えたので完璧だ。

今日も魔力消費をしていたら、体の魔力の動きがだいぶ分かるようになって来た。 今日の分のオーブに魔力を充填して行くと、気が付かない内に寝てしまった様だ。 朝起きたら何故だか、ジュリナが鍵を掛けていた事にむくれていた。 何か順番が出来上がっているのだろうか? 毎日は持たないぞ俺。



 朝の鍛錬は仕事に体力を使うので軽く済ませた。

魔法訓練を重点的に覚える事にする。 ゴーレムの力がどの位か知りたかったので、ゴーレムを出して貰う。 どうやら術者の能力に依存するらしく、動きはどん臭かったが、強化を使わないと力試しでは捻じ伏せられた。 運動行為自体が、込めた魔力量に比例するので、尽きたら崩れるらしい。 それを常時動かす為に、魔石を埋め込む必要があるのだそうだ。



さて、無事確認作業も終え、朝食時にお昼のお弁当を頼んだ。 いつものサンドイッチだが、マヨがどうも見当たらない。 厨房に行き、コック長に聞いてみたが知らないらしい。 取り敢えず、植物油はあったし、卵、塩、胡椒、果実酢もあるので、ミクにレシピを書かせながら、作って行く。

 

 銅製のボウルを借り混ぜようとしたら、泡だて器が無いらしいが、木の棒を結わえて泡立てているそうだ。 紙に図を描いて、各部品の長さや材質をフリーハンドで書くと、それをシェフに渡した。 後で勝手に作るだろう。 脱線してしまったが、串焼きに使うという木の棒を手に入れた。 何本かをまとめて紐で一カ所括る。 これで(ようや)く準備万端である。


 果実酢入れる⇒塩胡椒投入⇒卵の黄身投入⇒混ぜ混ぜしながらゆっくり伸ばして行く。

シェフに混ぜさせて、油の投入は俺がやるのだ。 一番危険なポイントだからね。 そこそこ乳白化したら大胆に入れて行く。 最後に味見して塩胡椒で調整して、完了した。 俺はPマンにマヨを付けて三人の口に押し込んであげた。「こっ!これは」とシェフは美味しいと褒めてくれた。


あれ? 何やらモモとミクが嫌な顔をしているが、美味しくなかったのかな? 見ると、勝手にパンをちぎって付けて食べているようだが、どうやらPマンが苦手だったらしい。

「おにぃちゃん、おいしっ!」「おにぃ様 美味しゅうございます」


レシピをシェフに預けて、どんな料理に使うかを教えたが、ポテサラ・・・判ったのだろうか? 何はさておき、マヨ玉をサンドイッチの一員にして貰う事に成功。 ふふふ やったぜ。 急いで武器屋へと向かおう、時間は限られているのだ。


――――――

到着っ! おっと 火入れする前に掃き清めて神棚へ・・・・・思ったが神棚も神も無い。

「神ノ存在ハ 確認サレテイマス 人間ニハ勇者や聖人 獣人ニハ獣神 等ガオリマス」

「おお、ラビか、イキガミ様って奴だな。 この土地は精霊に感謝してたよな」

「おっと、ラビ、精霊じゃん」

「コウギデハ」

じゃ、お願いするかな


「えー、ラビ様、炎の精霊様、今回のお仕事が上手く行きますよう、見守り下さい。 加護があれば宜しくお願い致します」

「加護ハ 与エテイマス」

「おっと! 見過ごせないご発言」

「対象トノ コミュニケーションヲ 行エル能力デス」

「ああぁ、言葉を理解して喋れる能力だっけか。 あー、はいはい、どうも」

がっかり感満載で、仕事に掛かる事になった。


 ガスドから、何やら秘蔵の酒を無理やり引っ張り出させ、酒を振り掛けていざ作業開始。

炭に火を入れ着火、砂鉄、粉炭を一定量入れて十分待つ。 この作業を十分毎に行う事になる。 俺はシャツ一枚にタオルを巻いて、水をがぶ飲みする。 形から入ってみたのだが、やはりかなり暑い。 流石に再度の投入時には防壁を作りながら作業をこなした。


「おや、変わった窯だ」

「ああ、君は親方の弟子だったかな」

「うーん、弟子と言うか息子だ」

「そうか、俺はカヅキだ宜しくな」

「お、おう。 デスパイヨだ、見ててもいいか?」

「いいぞ」

「何やってんだ?」

「鋼の精錬だぞ」

「何か変わってるな、纏めて炉で鋳溶かせばいいのに」

「それじゃ、駄目なんだ」

「えっ? 俺はそう教わったぜ」

「それはそれで良い。 だが、俺は俺のやり方で遣りたいんだ」

「ふーん」

「鍛冶屋は儲かるか?」

「いんや、材料費は高いし、せっかく作ったもんも、商人に安く買い叩かれちまう」

「じゃ、ヴァレンチノ家の仕事が助かるな」

「そうだな、おかげで今は稼ぎ時さ」


 俺はデスパイヨに安心感を覚え、ひたすら作業を繰り返しながら話を聞いていた。

髭面だが、恐らく十代全般なのであろう。 様々な武器の話や、今は余り注文は無いが金属鎧の話をしているから、鍛冶屋がやはり好きなのだろう。 手先が器用なので、ちょっとした彫金や革細工もするそうだ。


材料を全て入れ終わり、加減を見てノロ抜きする。 ノロとはゴミと言う意味で不純物の事だ。 融解度が鉄より低いので、最初に溶けた物が伝って下に貯まるのだ。 上部の鉄はまだ固まりなので、ノロだけが下に貯まって来ている。 俺は耐火コートを身に着けると、滑車を使いながらたたら釜をずらせて、砂を貯めた地面へと移動させる。 下部を壊してノロを抜き、ここから更に焼くのだ。


「・・・・・・ふわぁ、眠い。 結局遅くまで掛かっちゃったね」

夕食にも帰って来ない俺を迎えに、ジュリナが心配して駆けつけてくれたのだ。 ミシェータは伝達用魔道具の製作があるので来れないらしいが、その代わりにジュリナはずっと居てくれた。 彼女が船を漕ぎ出した頃、(ようや)く玉鋼が出来上がり、勢いよく水の中へ投げ落とした。 後で加工をし易くする為に、いくつかに切り分けておくが、これで本日の作業は終了である。 後の始末をきちんすませると、帰宅する事にした。 この続きは明日やる手筈だ。 



ジュリナ:カタナ? 何それ、おいしいのかな


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