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異世界探求伝  作者: 勘乃覚
冒険編
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異世界探求伝 第十ニ話 居候の朝練初日

毎日暑いですね。

こんな日が続くと、冷たいものばかりでお腹壊しそうです。

 部屋へ戻ると直ぐにモモがやって来た。

実にかわゆい。 白とグレーのコントラストのモフ毛が似合っている。 猫族らしいが狼族の血を引くジュリナとの比較が今一出来ない。 何故なら顔は至って普通の人間であり、髭も生えては居ない。 良くよく観察すると、耳の形が違う様に見受けられる。 恐らく尾の形が違うのだろうが、見分け方がいまいち判らないので、手を伸ばしてみたら後ずさりされてしまった。  


昨夜を思い出してみると、確かジュリナの尾の毛は長毛でふんわり、こんもりしていた。 この子と比較して見たかったが、こちらの獣人達は何故か服の中に尻尾は隠しているので、比較出来ないのだ。 無理に触れでもしたら、何か恐ろしい事になりそうなので自重したが、やはり可愛いものは可愛いのだ。

「おっと、こんな顔を見られたらやばいな」そう思いつつ、持って来てくれた教本を(めく)ってみる。「なんじゃこりゃぁ!」


 そこでで見た本は、見た事も無い文字で書かれてあった。

そう言えば、会話はラビ先生のお陰で話せたが、読み書きが出来なかった事を思い出した。 町中にもこの文字が看板などに書かれていたはずだ。 ガックリとうなだれた俺は放心状態に陥ってしまった。


「どうされましたか? クロカワ様」とモモが心配顔でこちらを気にしている。 気にするなと言うと、モモは「失礼します」と言いながら、部屋から退出して行った。


――――――

「ラビ、これどうしたら良い?」と、教本を握りしめ安易にラビをまた頼ってしまう。 

「学習の向上ヲ 目指スベキデス」

「ヒヤリングは何故出来てるの?」

「言語補正デス」

今一納得が行かないが、この世の理様が補正して下さってるらしい。


「そうだな、そうしないといきなりの異国で、意思疎通も出来ないもんな」

「ラビ先生、読み書き教えてくれ」

「畏マリマシタ」

「ところでさラビ、契約書にサインしたけど日本語の名前だぞ、あれは良いのか?」

「ハイ 本人ガ書イタト 認メラレレバ 認可サレマス」

「ふーん、じゃぁ取り敢えず、筆記用具と練習用の紙を借りないといけないな」


――――――

「誰かっ! 誰かおらぬか」と心で叫びながらドアを開けると、そこにはチンマイ子が立っていた。

「あっ、モモちゃんだ。 丁度良かった、筆記用具と練習する紙を貸して貰えないか?」

「は、はい 少しお待ちを」と、いきなりドアを開けて口走る俺に驚いていた。 モモは冷たいハーブティを持って来てくれたのだった。 一旦部屋に入りグラスを置くと、落ち着き払って直ぐに出て行った。


少し経ってから、ジュリナを連れだって戻って来る。

「カヅキ、そう言えば読み書き出来なかったわね」

「ああ、だから折角の教本が読めないんだ」

「じゃ、私が教えてあげるわ」そう言いながら、ジュリナは幼児用だろうか、教本を持って来てくれた。


ラビに教わるからいいや、とも言えず、俺は彼女の好意に甘える事にする。

聞くと、やはりアルファベットがあるようだ。 発音を言いながら一文字づつ教えてくれるが、用意してくれた物はノートでは無くボード板であった。 そこに専用のペンで書くと、魔力で書けるし『イレース』と指や手をかざすと魔法で綺麗に消えて行く。 「ふむ、優れものだ」これは長持ちするから儲からないなと聞いてみたら、反応させるための魔石の粉と魔法陣が組み込まれており、一定回数使うと使えなくなるらしい。 俺はそこに商魂たくましさを見たのであった。


 但し、魔道具屋で補充可能なのだそうだ。

本当は一生ものらしいが、やはりそこが商売のコツらしい。 ついでに、お勉強をしながら獣人の事を聞いてみた。 モモとミクが余りにも、オニャンコらしいので「猫ちゃんみたいで、かわいいんだよね」と言ったら物凄く怒られたのだ。 どうやらヒューマンに、「お前は猿みたいだな」と言うのと同義語らしい。


おさるさんの赤ちゃんも可愛いものだが、言われてみて納得出来た。 ついでに悪乗りして「語尾にニャンとかニャーとかあるの?」と聞いたら、以外にも怒りもせずに「カヅキがそう言って欲しいなら・・・」と狼女のくせに頬を赤くしていた。 「これはフラグだよな?」ふむ、ならば言おう! 二人っきりの時で良いから、言ってみてとリクエストをしてみた。


「わ、判ったニャン・・・・・・は、恥ずかしいのニャ」


「バックン!」その時、俺の何かが弾けた。

上目遣いで恥ずかしそうに、目と耳をピコピコさせたジュリナに向かって唇を押し付けた。

「う、むぐっ、ちょっと待ってぇ」


彼女はゆっくりと立ち上がり、鍵を「カチャリ」と閉めると、『ライト・ダウン』と小声で(つぶや)いた。 すると部屋は薄暗くなり、彼女はスルスルと薄い衣すれのような音を立てるのだった。


「い、いんだよな? いいんだよな」と、俺の心の声が聞こえたかの様に、ゆっくり彼女は頷くと俺はまたもや狼に変身してもうた。 激しくぶつかり合い、昨夜よりも激しい血潮を(たぎら)らせながら、俺の欲望が火を噴いた。 最早、勉強どころの騒ぎでは無くなったのだ・・・スマン、俺の理性。


「ウオーっ!」 「ニャ・・・ニャァ・・・ニャァーン!」


――――――


「チュン、チュ、チュン」


朝が訪れた・・・・・・こっちにも雀が居るのかと窓を見ていたら、自分が裸でいる事に気が付き、急いで下着を履いたのだった。

「コンコン」

「あっ、ハイ、起きてまーす」

入って来たのはミクであった。 恥ずかしそうに俯きながら、湯桶とタオルを渡してくれた。 「ばれてるな」瞬時に俺はそう感じた。


「お、お食事のご用意ができておりましゅ」

あっ、噛んだ! 聞こえていたのは、もはや確定だなと反省しながら体を拭き上げ、洗面所に行くと歯を磨いた。 ちなみに歯ブラシは香木である。 地球にも同じ物があり、使った覚えがあるが、歯で先端を噛みほぐし、そこで磨くのだが香木はミント味であった。 あぁ、口腔がすっきりとする。 


 俺は重い腰を上げて、二Fの食堂へと進んだのだった。

食堂に入るとカラ元気良く、声を張り上げた。

「皆さん遅くなりました。 おはようございます」

「お、おはよ」 「おはようごじゃ・・ございます」「オハヨウゴザイマス」「良い朝で御座いますな」


皆様、俯いてオリマスガ、如何ナサッタノデショウ。 何故だか、ただ一人ムスッと腕を組んでおられる方がいらっしゃいますが・・・ミクさんが椅子を押してくれて腰掛けたが、居心地があまり良くない。 俺は気を取り直して、朝食に気持ちを向けるしか道は残されていなかったのである。 ジュリナのお祈りで朝食の儀が厳かに執り行われる。 うん、そう感じたのは俺だけでは無いだろう。


 黒パンの薄切りにレッドベリージャム、と溶かしたチーズが載せてある。

エッグベーコン、温野菜のサラダ、スープ、冷たくしたリンゴのジュース。 うん、ほぼ定番である。

俺は米大好き人間だが、パン食にも特に忌避感も無く平らげた。 クラークは苦み走った顔で、お怒りの感があるが気のせいだろうか?


「ジュリナデリカお嬢様! 後でお話が御座いますので、執務室へお越し下さいませ」

「ビクッ」と、ジュリナはしながらも素直に無言で頷いていた。 原因は俺だなと思い、クラークに喋りかけようとすると直ぐに目で威圧された。

「クロカワ様はご用事が御座いますでしょうから、お構いなく」と、速攻で釘を刺されてしまった。 


 仕方なく部屋に戻りがてら、トイレに駆け込む。 

トイレは水洗だ。 屋上にタンクがあり、水圧で流れるらしい。 お尻拭きは、乾燥し柔く解した葉っぱであったが。 うーん、ジャパン人は「ウォシュレット」の先駆者である。 ここは直ぐにでも改善したいな。そう思った瞬間に、矢継ぎ早に浮かんだものは、欲しいものリストであった。 メモ帳も欲しいし、万年筆かボールペン、マジックペン、鉛筆etc・・・・・・欲しいな。


取り敢えず、朝練からやろうと決めたカヅキは、昨日買い求めた厚めの生地で出来たズボンを履くと庭へと降りた。 木刀の代わりに何か無いかと、庭で働く使用人に尋ねたら、裏に薪用の乾燥した木材があるからと教えてくれた。 行って見ると、丁度良さげに真っ直ぐな太めの枝が見つかったので、これを削って使おうと思ったが、(かたわ)らの切り株に刺してあった大きな斧を見付け、ついでに薪割をやってみたくなって来た。 実家では子供の頃からやらされていたので、懐かしさもあった為だ。 軽くその場でなストレッチをこなして、重力を地球標準に切り替える。


『グラビティ・オン!』・・・ふむ、どっしりとした重量が足元に伝わって来たな、よし!やるか。

「コーン、コーン、コーン」と、小気味良い音に懐かしく、子供の頃を思い出しながら無意識でやって行く。 身体強化で筋肉を使う部分を調整しながら、重力を更に倍にしてみた。 「うはっ、身体強化すげぇ」身体はギシギシと重さを感じるが、木に触れたかと思ったら、その感触だけでまきは割れて行く。


「コーン、コーン、コーン」と、小気味良く薪割をしていると、何やら気配を感じて後ろを振り向いた。

「精が出ますな」と聞いて、その「漢字」を思い浮かべしまい、俺は大量の汗が冷める気がした。 何故ならその声の主はクラーク執事だったからである。


「ああ、木刀を作ろうと思って、そのついでですよ」

「ついでの片手間で、その量ですか ワッハハハ」


ふと横を見ると、自分の背の高さまでの薪の山が完成していた。 慌てて薪置き場に仕舞おうと走ったら、「ドスン」と大きな音がして、足元が土にめり込んでしまった。 慌てて『グラビティ』を解除すると、今度は薪の山に頭から突っ込んでしまい、クラークに腹を抱えて笑われてしまった。


「ぐぁっははははは」

「あ、ちちち」

「手伝いましょうぞ」と、結局クラークにも手伝って貰い、やっとのことで薪置き場へ綺麗に並べ終えたのだった。

「一週間分はこなしましたな」

「あ、ハハ、実家で良く割らされていたので」

「一手、いかがですかな」

 

突然の「お誘い」がやって来た! やっぱりこのおっさん、俺をボコボコにするつもりだ。

「すいません、まだ木刀が出来ていないので」

「木剣はご用意できますよ。 私も普段使うものでは有りませんので、それで五分でしょう」


ちっ、そのガタイででよく言うぜ。 などと挑発するのは逆効果と思いとどまり、素直に全力で立ち向かう事にした。 木剣を持つと、冒険者ギルドで使った物と随分違う。 大きさは中世の長い十字架の様なフォルムだが、材質が紫檀の様で紫色をしている。 紫檀はかなり堅い建材の一つで、彫刻を施して家屋の調度品にも利用されている位だ。 当たれば骨など簡単に折れてしまうが、身体強化を使えば軽症で済むだろうと考えた俺は、仕方なく立ち合いをする事にした。


「ハァーーー!」と、俺は身体強化を全身に施す。

「いくぞっ!」 「来い!」

「カーン!、カン、カン、カン」


俺は両手持ちだが、クラークは片手で軽々こなしているが、いまいちこの剣が使いこなせない。 ダッシュしてぶつかって行ったが、奴の木剣で押し戻され、直ぐに打ち込んでくる。 腕に強化を集めると足元を掬い、足を強化して踏ん張るといなされて、斜め横から打ち込んで来る。 鍔迫(つばせ)り合いを狙うと、柄の突き出た部分で殴って来る。


「カン、カン!、カン、ギリリッ、ドン!」

「くっ! まだだ」

「カン!、カン、カン、ドン!、ドン」


「ゼェゼェ・・・」、俺は精神的にも打ちのめされ、膝を着いてしまった。 結局十分も持たなかったのだ。

「体力不足の様ですな」

「ハァハァ、ですが、いい訳には、しないぞ。 ハァハァ」

「ほう、ようやく普段の口調に戻りましたか。 喜ばしい事です」

「ゼェゼェ、全く・・・・・・強いわ、あんた」

「コツコツやれば、直ぐに追いつかれるでしょう」

「ああ、待ってろ。 ハァ」


差し出された手を取り、捕まりながら立ち上がると、ミクがタオルを持って来てくれた。 やはり目を合わせない。 頭をクシャリと一撫ですると、驚いた顔をして俺を見たが、こちらの表情で理解してくれるだろうと思い、その場を後にして水風呂を浴びに風呂へ向かった。 


「ザバーッ! ザバー」と、冷や水を被りながら先程の光景を思い出した。 しっかし、手も足も出なかったな。 クラークは身体強化も使っていなかったし、息の乱れも無かった。 いくら薪割後と言えども余りにも己が不甲斐無い。 これからの日課として、欠かさず鍛錬を始めようと誓ったかづきであった。


 脱衣所に戻ると、着替えと仁平が置かれていた。

少し迷ったが、一度着て部屋で着替え直せばいいやと思い直し、仁平を着て部屋へと向かって行った。


次話、クラークの苦悩がどれほどのものだったのかが

理解できるでしょう。

よろしくです。

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