異世界探求伝 第十話 拉致!監禁!?魔法講義
拙作をお読みの皆さまいつもありがとうございます。
コメントも有り難く承っていますが地図の方は見やすくなってますでしょうか。
まだまだ序盤ですが、かづきは走ります。
ジュリナ嬢曰く 汝溺れる事勿れ。
とまでは言われ無かったが、どうやら傍から見ても俺は危ういらしい。 彼女に言われるままに付いて行くしか無かった。
「えっとー、ここはお屋敷みたいだが」
「そうよ、屋敷だわ」
「ここに泊まるの?」
「そうよ? 嫌かしら」
「嫌じゃないけどこのの主がさぁ、何か偉い人でさぁ、下賤の者とは口が聞けぬ!とか」
「ハハハ、無い無い。 だって、ここあたしんちだし」
「あ、そうなの?」と、毒気を抜かれた俺は少しは肩の力を抜く事が出来た。 だがしかし、見るからに豪邸である。 石塀に囲まれた屋敷は三階? いや四階建て程ある造りに見える。 門兵こそ居なかったが、屋敷を徘徊している男達は、誰もが皆強そうにも思える。
「お嬢、お帰りなさいませ」「なさいませ」「なさいませ」
おおお、黒執事にメイドいるじゃん。 うほっ、ケモ耳メイドが居る居る。
「今日から食客としてうちに招く事になった。 カヅキ・クロサワ様よ」
「執事のクラークと申します」「メイドのモモですわ」「同じくミクですわ」
俺は頭を下げて挨拶しようとしたが、何かの違和感に気が付いた。 あれっ? この執事の人何か見た事が有る様な・・・・・・
「カヅキ・クロサワ様におかれましては、とある酒宿にての面識が少々ございます」
「あ! あの酒場のバーテンさん」とつい、声が出てしまった。
「ハハハ、左様でございます。 以後お見知りおきを、クロサワ様」
「へぇ、ぴっちり燕尾服を着こなしてるし、その上品な口調で判りませんでした。 こちらが本職なんですね」と、気さくに話してみた。
「あ、いえ、どちらも本職でございますクロサワ様。 それに貴方様の口調も変わっておられますが」
「ああぁ、あの時は嘗められない様にと、少し虚勢を張ってしまいました。 ハハハ、皆さん暫く御厄介になります」と、丁寧に腰を折った。
「カヅキ、クラークはヴァレンチノの家宰でもあるの。 だから重要案件には出て来る事が多いわ」とジュリナが実情も教えてくれる。
「へぇー、そうなんだ」
「それに、とっても強いわよ」
「へー、強いんだ、じゃ俺も鍛えて貰わないとな」
言い終えて、クラークの目がきらりと光った。 あっ、また何かやっちまった感がある。 ジュリナがにや付いているのを見て、俺はミスった事を悔やんだ。
「ふふふ」
「お任せ下さい。クロカワ様」
「あっ、お手柔らかに・・・・・・」つい、圧倒されてペコペコしてしまった。
メイドのモモに部屋を案内されると、そこは三階のテラスのある部屋だった。 十畳はあるだろうか、ベッドに机、ソファーに家具が備え付けられているし、殺風景だが良い部屋だ。 明かり取りの窓からは庭が見える。 通された部屋で上着を脱ぎ棄てて、俺はベッドに寝転んだ。
――――――
天井を眺めながら「フーッ」と溜息を一つ吐くと、ラビと話し出した。
「魔法も覚えたいなぁ。 ラビ、魔法はどうやって覚える?」
「魔法ノ修学が必要デスガ カヅキハ既ニ 身体強化ト周辺探査モ 覚エテオリマス」
「身体強化も魔法なんだな。 修学かぁ、勉強しないとな」
「ハイ カヅキ」
「じゃ、まず魔力について知りたい。 人によってその量も違うんだろ?」
「肯定シマス クオリティーノ高サハ ソノ訓練量ニ 依存シマス」
「訓練すれば量が増えるんだな。 その訓練法は?」
「ソノ前ニ 魔法概念にツイテ 情報開示シマス」
「お、おう」
「魔力ノ源ハ魔素で在り 此ノ世界ノ 大気中及ビ地中カラ 有機物及ビ無機物ニ 存在シマス」
「ほう」
「コノ中デ魔素ヲ 魔力トシテ 発現出来ル者ハ 知性ノ在ル者達 ニナリマス」
「成程、ところで俺は気配探知に魔法を使ったそうだが、ジュリナは契約魔法に呪文みたいなものを唱えていたぞ」
「ジュリナデリカノ 契約魔法ハ 通常魔法トハ異ナリマス 分野ハ 精霊魔法ニナリマス」
「精霊魔法?」
「正シクハ精霊契約デス ヒトハ善悪の考エガ 種族毎ニ異ナリマス 嘘モツク事ガ出来マス 逆ニ 精霊ハ コノ世ノ理ニ 位置スルモノデ 虚偽ノ行動ガ 出来マセン」
「と言う事は、精霊に対して誓約をは誓うって事なのか」
「ハイ 宣誓ト 同義デス」
「で、違反すればどうなる?」
「背反行為トシテ 魔力ノ放出ガ 違反者ニ 慣行サレマス」
「具体的にはどうなるんだ?」
「身体的ニハ 虚脱感、脱力感、虚無感、満身創痍ニヨリ 行動ガ阻害サレマス」
「怖いな」
「他ニ 契約項目自体ニ 賞罰ヲ 組ミ込ム事モ 出来マス」
「死ぬとかも可能なんだ」
「ハイ 隷属魔法モ 同様デス」
「この世の契約は命懸けだな。 ジュリナが口を酸っぱく言うのも無理無いな」
「ところで、その精霊って見えたりすんの?」
「見エル者ト 見エナイ者ガ 居マス」
「へぇ、精霊にも会ってみたいな」
「私モ コノ世ノ理ヲ司ル 精霊デス」
「へっ‼ そうなのか」
「広義デハ ソウナリマス」
「じゃ、じゃぁさぁ、魔法も使えるの?」
「主ノ行動ニ 直接左右スル魔法ハ 認メラレマセン 意思疎通ノ魔法ノミ 許サレテオリマス」
「そう言えばジュリナが言ってたけど、社交辞令とか口約束でも契約になるのか?」
「契約ハ 魔法行使デノ 精霊認証ガ 必要デス」
「そっかぁ 無効なのか安心した。 脅かされただけなんだな」
「ソウトハ限リマセン 社交界、社会ニ於イテ 口約束ハ 拘束力ハ無イガ 当人ニ 世間体ノ低下ヲ 招ク事ガ有リマス」
「ありゃ、そりゃそうだな。 元居た世界でもそれは同じだな」
「安易ナ言動ヲ 慎ム事ガ 必要デス カヅキ」
「はぁ、理の管理者に言われりゃ、現実を見るしかないわな」
「で話は戻るが、魔力の訓練法なんだが?」
「魔法ヲ繰リ返シ 使ウ事デ 熟練度ハ魔力ヲ 上ゲル事ガ可能デス 魔力総量ハ 魔力ヲ消費スル事デ 増ヤス事ガ可能デス」
「魔力総量?」
「本人ガ持ツ 魔力ヲ使ウ事ノ 出来ル量ハ 限ラレテイマス」
「じゃぁ、風呂桶が俺で中の水が魔法総量で、それを流すと空になるって事かな」
「マラソンニ 例エテミマショウ 少シヅツ毎日 走ル事デ 距離ガ伸ビテ行キマス ソレハ スタミナガ 増エテイルカラデス」
「そういう事か。 マラソンの理屈は判った。 で、魔力の消費と魔法の行使で自分の魔力の熟練度、つまり、質と総量を上げるって訳だ。 身体強化は体の依存だから、筋肉を使う事で向上するんだな」
「肯定シマス カヅキ」
「じゃあ、魔法を教えてくれるか? ラビ」
「魔法ハ 個人ノ理解力ト 想像力デス ソレガ 資質トナリマス」
「じゃ理解をさせてくれ」
「理解力ハ 当人ノ 資質ニ 比例シマス」
「それって、魔法は教えられないって事かなぁ」
「繰リ返しマス 魔法トハ 理解力ト 想像力デス」
「それって、この世界で勝手に学習しろって事だよな」
「理解力ノ 向上ガ 認メラレマシタ」
「はぁー、一筋縄に行かんな」
「魔法の種類は? 教えられるか?」
「火、水、土、風ガ基本属性デス 理ノ属性ニ陰ト 陽属性ガ在リマス」
「理の属性? 闇と光って事か」
「ハイ 光ハ闇ヲ生ジ 闇ハ光ヲ吸収シ 生ジマス」
「雷とかは無いんだな」
「雷ハ水、火、風デ 生ミ出ス事ガ 可能デス」
「火で水が蒸発して雲が生まれ、その気圧としての風が発生して、雷に至るって訳か」
「理解力ノ向上ガ 認メラレマシタ」
「ハハハ 何よりだ。 で、水と土で木の魔法なのか?」
「イイエ 水ト光ニ ナリマス」
「はぁ、成程ね、じゃぁラビ先生、氷は水から温度を奪うから何と組み合わせるのかな?」
「吸収作用ガアルノガ闇デス 温度ヲ奪ウノデ 水、火、闇ノ組ミ合ワセデス」
「まるで科学の世界だな。 重力の魔法とか有れば空も飛べるよね? ラビ先生、カモン」
「重力ノ定義ハ 理解シテイマスカ? カヅキ」
「ニュートンの万有引力の法則だろ」
「ソノ様子デハ 理解シテイマセンネ」
「ありゃりゃ」
「惑星タウルスデハ 赤道面の直径デ約時速八百k 公転デ時速六万kノ 速サデ太陽ヲ中心ニ 回転シテイマス サラニソノ太陽ハ コノ惑星ヲ引キ連レテ 銀河系ヲ 公転シテイマス」
「ああ、惑星上の物も同じ速さで回ってるんだよな。 重力で」
「重力ガ 全ク無ケレバ 宇宙ニ飛ビ出ス コトニナリマス」
「そっかー 怖いな重力系の魔法はパスかな」
「重力ノ増減ハ 可能カト存ジマス」
「ふむ、ちなみにタウルスと地球の重力の比較は?」
「惑星タウルスの重力は 地球の約二分の一 トナリマス」
「成程、それで体が軽く感じるのか」
「よし、地球の重力のイメージを思い出そう。 強化魔法のイメージで行くのかな」
「言葉ニ出スト イメージガヨリ 鮮明ニナリマス」
「成程、それが詠唱って奴なんだな。 よし、グラビティ オン!」
「あ、うっ!」 急激な重力に、俺は膝を着きそうになった。
「うう! きつい。 でもこれって日課にしないと体が弱くなっちまうよな。 何か昔のアニメの特訓で見たような気がするな」
「トントン、入るわよ」「ガチャ」
「ああ、ジュリナか、どうした?」
「だって、急に大きな物音を感じたんだもん」
「ああ、ごめんちょっと魔法の練習してた」
「ちょっとー、物を壊さないでね」
「あー、ごめんごめん」
「訓練なら庭でやるといいわよ」
「ああ、そうする」
「食事で呼びに来たの、さぁ来なさい」
「ああ」初の家庭料理だ、どんなものが出るのかな?
料理はジャパン風に言うと、一汁三菜であった。
大きな塊肉の焼いたものが大皿にデンと置かれ、手元には何とパスタらしき麺があった。 フォークとナイフがあったので、フォークを手に取りパスタを喰らう。
「うほ、生パスタやん!」食べてみるとクリームパスタであった。 ベーコンとチーズが効いている。 しかし、一口入れた後に気が付いた。 周りの視線が突き刺さっている、ありゃ、何かまずったかな? あっ、頂きます言うの忘れてた。
「んっ、コホン、えっとカヅキは外国の方だから、この国の作法は知らないのよ」
「あっ、あ、すいません皆さん」
「カヅキ、食事前には精霊に祈りをささげるのよ。 こう、精霊の御名において感謝と慈悲を捧げますわ」
皆が両手を組んで、肘をテーブルに当てているのを見ながら同じ仕草をする。 一斉に食べ始めたので、俺も再開する。
「いっただきまーす」
「ぷっ、何それ」
「ああ、俺の国の感謝の言葉かな?」
「さっきは言わなかったよね?」
「ああ、つい忘れてたハハハ」
俺はペロリと平らげたが、このフォークでは食べにくいな、次にスープがやって来る。 確か地球ではスープが先にやってきたような・・・・・・
まぁ、口の中のクリーム感を洗い流してくれるから、こっちの方がいいな。 取り皿に、黒パンスライスを取りながら齧り付く。
「うん、少し酸味があって香ばしい。 酒場で食べたものと同じだな」
周りを見ると、何か白いものを塗って食べているので俺も試してみた。 ん? 塩味の生クリームかな、相性は良い。
そう言えば、執事のクラークとメイドのモモ、ミクが同席して食べている。 普通では、使用人と主人が相席して食事をする事は無いと思ったんだが、他にも使用人が動き回って居る所を見ると、特別なんだろうと思った。 ジュリナと目が合い、気が付いたのか説明をしてくれた。
「クラークは前代である父から、子供の様に育てられたの。 モモ、ミクは双子の姉妹で縁戚になるのよ。 私にとってこの三人は家族と同じなの」
それを聞き終ると、クラークも口元にナプキンを当てて話してくれた。
「先代のご当主であられる御館様は、私の亡くなった父の御友人で御座いました。 父が戦で亡くなったと聞き及び、母と私を引き取って下さったのです」
「はー、そうなんですね」
「はい、母は亡くなりましたが、御館様は私を引き取り十分な教育と、この強靭な肉体を作って頂きました」クラークは感慨深く、目を閉じて偲んでいる様だ。 ジュリナはそれを見ながら話を続ける。
「クラークは父の養子として、ヴァレンチノ家を守ってくれているのよ」
「えっ? そしたら、ジュリナのお兄さん?」
「ええ、そうなるわ。 モモ、ミクはクラークの母方の縁者よ」
「け、ケモミミ」
「ああ、私の母とクラークの母親が同郷なの。 獣人のね、猫族だわ」
「へぇー、ジュリナのフサフサと少し違うね」
「そうね、違いは血の濃さに比例するみたいよ」
何か強い目線をクラークから感じたが、気のせいであろう。 飲み物を聞かれたのでエールを頼む。 メインの肉に合わせてなのかな。
モモとミクを見ると双子でも毛色が違う。 ジイーと見ているとジュリナから睨まれた。
違うんだ。 地球人なら皆反応すると思うんだ! 決して不埒な考えで見ているのでは無い。
俺は潔白だ! と澄んだ?目をしてジュリナを見つめた。 判ってくれたよな?
最後までお読み有難うございます。
次話もよろしくです。




