第三十五話 ジパン②
よろしくお願いします。
翌朝、城の庭園にて冬太達は鵺と共に将軍と体面していた。
「こやつが鵺か。確かに猿の顔に虎胴体と手足に尻尾が蛇と噂通りではあったが、まさかこんなに大きいとは檻や鎖に繋がなくても大丈夫なのか?」
これだけの大きい魔獣なのだから警戒するのもわかる。
「大丈夫ですよ。今日だってこの子は謝りに来たんですから」
冬太がそう言うと鵺は頭を下げ「ヒョー」と鳴く。
「余にも謝っているのはわかった。これ以上被害を出さないなら許そう。だが、これ程の魔獣が近くに居ては、余の民達は、落ち着かんだろう」
「はい、そこで僕らと一緒に魔界に連れていこうと考えてますがよろしいですか?」
「ああ、助かる。正直鵺など居らずただの狸か何かに尾ひれがついただけと思っておったが、感謝する。これで余の民達も安心して暮らせるだろう」
「僕達の方も新しい動物園の仲間ができて嬉しいですよ。それよりも約束通り助蔵さんのお酒は貰えるんでしょうか?」
「うむ、余は嘘はつかん。持っていくがいい。それと異国の魔王殿に少々話があるんだが」
どうも何か魔王と二人で話したい事があるらしい。
「わかった。冬太達は、助蔵の酒蔵から酒を船に運んでいてくれ」
魔王一人残して大丈夫か?(主に魔王が何かやらかさないか)と一瞬思った冬太だったが、エスナが護衛として残ると知って安心して酒蔵に行けると歩みを進める。
城下町に降り、助蔵に案内されながら酒蔵に向かう途中に冬太はうれしいものを発見した。
それは調味料。今までは魚介の出汁や野菜、キノコの出汁で味の深みをごまかしてきたが、なんと味噌や醤油、そして今一番欲しかったソースが売ってあったのだ。
鵺を捕獲した報酬としてお酒だけではなく、こちらのお金も頂いていたので、買えるだけ買ってご満悦の冬太。
そして酒蔵から三代目の酒樽を運んで買った荷物も置き船で休憩する。
休んでいると荷物を船まで持っていくのを手伝ってくれた五代目助蔵が冬太に声をかける。
「実はお願いがありまして……あっしも一緒にリヴァイアサン様の所に連れていってくれやせんか?」
冬太はオリアナに目を向け、オリアナは頷く。
「連れていくのは構いませんが店の方は大丈夫なんですか?」
「あっし一人が抜けたぐらいで店が傾く様な鍛え方はしてませんよ」
がははと笑いながら言う助蔵。
◆
一方その頃、将軍の私室にて将軍と魔王はこれからのお互いの
国の在り方について話していた。
「今まで余の国ジパンは他の国と交流を持った事のない鎖国国家だった。今までもこのジパンに上陸してきた者はおった。だがな、アスファルト帝国を名乗る者ばかりで、余りにも無礼であった為小舟一隻で島流しさせた。
だが今回魔王国を名乗るそなたらはこちらに対して敬意を示してくれた。だから最初に交流を持つならそなたら西大陸トドメントの魔王国でありたいと思ったのだがどうだろうか?」
「どうだろうかも、何も素性のわからぬ異国人の話を信じ、豪華な食事までとらせてくれた国と交流を持ちたくない筈がなかろう。是非ジパン国と交流させて頂きたい」
ガッチリと握手をし、これから流通させるにあたっての話し合いを始める。
◆
魔王とエスナを待って数時間。そろそろだろうと思っていたら転移魔法で船に魔王とエスナ、そして思いもよらない将軍がやって来た。
「何で将軍様まで居るんですか!?」
「実はジパン国と交流する事になってだな、それで我が魔王国を見てみたいと言ってな連れてきた」
「いやいやいや、連れてきたって国の主が急に居なくなるのまずくないですか!?」
「心配するな、ちゃんと魔王国を視察してくると書き置きしてきたから」
その書き置きを発見して急いで港に向かった家臣達だったが、すでに出港したあとだった。
白鯨が沖で待っていてくれて、魔王国まで船頭をしてくれるようだ。
ちなみに鵺はベヒーモス同様小さくなれるらしく問題なく船は出港した。
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