オレンジ
俺は頭が逝ったのかと思った。
いや、真面目に。笑い事じゃねぇんだもん。
だって、だってさ。
そこに死んだはずのさつきがいたんだよ。
制服を着て俺と別れた時のままのさつきが。
「大ちゃん!遅いよー。待ってたのに。」
さつきはいつもの通り、いや昔のとおりに頬を膨らませて怒る。
「……ごめん、さつき。」
俺はそれしか言えなかった。
「大ちゃん、帰ろっか」
にこりと笑うさつきに大智は口元に手を当てて涙をこらえる。
そして無意識に言葉に出た。
「さつき、デートして帰ろうか。」
「デート?珍しいね大ちゃんが誘ってくれるの。」
にこにこと笑うさつきを見ながら、ほらっ、と言って手を差し出す。
「大ちゃん恥ずかしくない?」なんてはにかみながらさつきの冷たい手は大智の手と重なる。
大智はぞわっとした。
さつきは幽霊なんだと実感した。
ゆっくりと独り言をつぶやきながら歩く大智は傍から見れば変な人だった。
誰もがそう思っただろう。
でも、大智は気にしなかった。
だんだんと見えてくる観覧車。
「懐かしいねぇ」
そう呟くさつきは楽しそうに大智の顔をのぞき込む。
「懐かしいな」なんて無理して言葉を返した。
「大ちゃん知ってる?観覧車が虹色にイルミネーションされるんだけどね、オレンジだけが出ないんだって。それを見た人は来世でまた巡り会えるんだってさ。」
さつきはワクワクしながら見れるかなぁなんて言う。
来世か………。
会いたいな。
オレンジのイルミネーションが見れればと大智は心の中で願った。
大智は観覧車に乗り込む。
さつきと二人で。
キラキラした眼差しで外を見つめるさつきに大智は呼びかけた。
「さつき。」
「ん?」
振り向いたさつきは昔のまま大智の好きな笑顔を向けた。
「俺はさつきが好きだ。」
やっと言えた。
そう、やっとずっと言えなかった想いを伝えられた。
「私も、ずっと好きだったよ。」
泣きそうで、でも笑顔で答えるさつきはとても儚げに見えた。
「だからさ、オレンジのイルミネーションを見て………
大ちゃん、来世でまた好きになってもいい?」
さつきはわかってた。
自分が死んだこと。
どうしても大智に伝えたくてずっと、ずっと大智を待ってた。
大智は涙をこらえることが出来なかった。
冷たい手は大智の頬を撫で綺麗な唇を大智に付けた。
「さっきね、オレンジだったんだよママ!」
大智は観覧車を降りた時に子供が言った言葉を耳にした。
やっぱりオレンジだったんだ。
さつきが消えていく瞬間見えた観覧車のオレンジのイルミネーション。
夏色の観覧車が二人の未来を照らした。
end
ここまで見て頂きありがとうございました!!
自分的になんだか訳がわかんないですけど←
楽しんでいただけたら光栄です。
懶




