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わたしだけに笑ってなんて
アルバムを整理していたら
幼い頃の私と彼の写真がたくさん出てきた
屈託なく笑っている昔の彼
偽りの笑みを浮かべている今の彼
どちらが本当の笑顔かなんて
今の私にはわからない
休み時間に友達とアルバムの話をしていたら
『アルバム見せて』と彼からメールが…
誰にも知られずにこっそり見せる分にはいいかな
そんな甘い考えをしなければ良かった
誰もいない空き教室で
昔の私と彼が納まったアルバムをめくる
あんなことがあった
そんなこともあったね
共通の思い出が溢れ出す
ふと顔を上げて彼を見たら
昔の屈託ない笑顔を浮かべてアルバムを見ていた
偽りではない本当の笑み
私だけが知る昔の彼と同じ笑み
『私だけにその笑顔を見せてほしい』
そんな黒い感情が私を支配する
頭を振り黒い思いを振り払う
彼は私だけの人じゃないんだから
いつしか再び芽吹いた想い
忘れていた淡い想い
でもこの想いは
厳重に蓋をして隠さなければいけない……




