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ファンだから駄目なんだよ~彼Side~
彼女の隣は落ち着く
僕を偽らなくて済む相手
僕を僕らしくしてくれる人
彼女と再会してから
僕は心から歌を歌うようになった
以前の僕とは全く違う歌声
ある人に甘い甘い甘美な歌声だと言われた
当たり前だ
僕のたった一人の大切な人に捧げている歌なんだから
彼女の事だけを想って歌っているんだから
甘くなるのは当たり前
ひとつ不満があるとすれば
彼女が『ファン』であることに拘っていること
僕の大切なたった一人の女の子
その他大勢のファンとは違う
彼女が『ファンの一人にすぎない』と言い続ける限り
僕は彼女を手に入れることが出来ない
彼女の母親と同じ様な事が起きないように
彼女には僕の『ファン』をやめてもらう
どんな手でも使おう
彼女に嫌われないよう気を付けながら…
『ファンのひとり』としてではなく
僕だけの『たった一人の大切な女』にするために
そのために
僕はこの世界で
あの人に認めてもらうために
頑張ってきたんだから
あともう少し
あともう少しで彼女との約束が果たせる




