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私小説を読む愉悦

作者: ゆめみるる
掲載日:2026/06/21



   西村賢太さんという「私小説」作家が、数年前に芥川賞を受賞して、そういうジャンルはアナクロ、絶滅危惧種、そういう感じの趨勢だったので? わりと注目を集めた。


 本人の人柄にも注目が集まり、「友達も恋人もいない変人」だというので、さらに話題になり、映画になったりもした。 


 学歴も無くて…風俗遊びをよくやり、…で、どうも人格障害とかそういう個性らしかった。


 が、巨漢であり、肉体労働は得意だったらしい。 …そういうタイプと、「私小説」というジャンルはいかにも似つかわしい…そこのところに、「私小説」というもののレゾンデトルがある。


 納得させる、説得力があり…リ・インカーネーションの如くに、不死鳥のように?「私小説」がインスパイアされ、で、オレも期待して一冊だけ少し読んだが?作品自体はなんだか陳腐にも思えた。 例えば志賀直哉やら嘉村磯多とか、葛西善藏、そういうのにはオレも嗜好があって、読んだりしますが、西村さんのは読んだのは一冊だけやが?あんまり良さがわからなかったです。


 が、不適応な、不遇な日常、肺結核やら貧困やら、そういう日常の異化というか逃避のシェルターとして、貧しいころに日本の文学青年には私小説は非常に慰藉となった…医者より癒しになったw


 私小説の良さは、主観、一人称を肯定できるところである。

 自信が無くてくよくよしている、自分が無い…気の弱い人はしばしばそういう葛藤常態に陥って、たとえばそれで酒に溺れたりゲーム廃人になったり?


 思春期には金も家庭も無いので、そういうクヨクヨ状態に陥りがちで、そういうときにはサルトルぽい「実存主義」の標榜に、営為として似た感じに「私小説」の世界に入り込もうとしたりするわけです。

 オレもしょっちゅう、いまだにします。


 こういう酩酊? ドラッグに似た効果を及ぼすのは読書の中にいろいろあり、SFもそうだし、ハードボイルドにもある。

 推理小説でもある。


 中島らも氏は「校正作業」を仕事にしていて、それに没頭し続けていると脳から快感物質が出るみたい?とかそんなことを書いていたが、そういう知的なアヘン? そういう効果が強いのは

私小説とも思います。 

 SFのうちで。俳句も能くした眉村卓さんの作品は私小説的で、こういう現実の異化効果が強い、とも思えて、で、中高生に人気のあるジュニアSFの名作を残した。


 自分の自我がしかし健康でないと、そういう「壺中天」みたいな小説世界を作るのは難しい…オレも実作もするから、せいぜい精神衛生には気を付けたいのだが。


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