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視線の先にあるものたち  作者: はまゆう


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2/2

第2回 努力だけでは開かない扉の前で

学生の頃は、成績がすべてだった。

テストで点を取れば褒められ、レポートを出せば評価される。

努力と結果がほぼ一直線につながっていた、あのわかりやすい世界。


けれど、社会に出ると、その直線はあっけなく途切れる。

“頑張った人が報われる”という単純な構図は、現実ではほとんど機能しない。


なりたい人が多い仕事ほど、採用は大量ではなく、

縁故、宗教団体の集まり、断れない頼まれごと──

そんな“表に出ないつながり”が静かに影響する。

そして、そうして得たポジションでさえ、本人の努力とは別のところで、

上司の嫉妬や同僚の思惑によって、扉を塞がれてしまうことがある。


かわいい女性は得をする場面もある。

でも同時に、同性や“勝ちたい男性”から、無いこと無いことを中傷されることだってある。

幼稚園から名門、東大卒──そんなサラブレッドでさえ、歓迎される環境ばかりではない。

指一本でレールから引きずり下ろしてやりたいと願う上司や同僚、そして女性たちも、確かに存在する。


努力は尊い。

でも、努力だけではどうにもならない場所が、社会には確かにある。


Aの話を思い出す。

優秀で、前の指導教官に目をかけられていた彼女は、

指導教官が変わった瞬間、風向きが変わった。

新しい教官は、前任者を密かに憎んでいた。

その感情の矛先は、Aの学位論文に向けられた。


審査は落とされた。

理由の説明も拒否。

書き直しの機会すら与えられなかった。

その瞬間、Aの教授への道は閉ざされた。


彼女の能力とは、まったく関係のないところで。


こういうことは、特別な悲劇ではない。

むしろ、世の中には静かに、数えきれないほど存在している。


だからといって、絶望する必要はない。

むしろ、知っておくことが大切なのだと思う。


“努力すれば報われる”という幻想を手放すことは、

自分を責めないための第一歩になる。

そして、社会の理不尽さを知ったうえで、

それでも自分の道を選び直す強さを持つこと。


努力は裏切ることがある。

でも、自分の人生を引き受ける力は、誰にも奪えない。


社会の扉が理不尽に閉ざされることがあるなら、

私たちは、自分の手で別の扉を探しに行けばいい。

静かに、しなやかに、そして確かに。


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