Ep.2 一ノ瀬碧―2
4月3日のほとんどを改編いたしました。
西暦2025年04月02日 水曜日
黒い円状の穴から出てきたのは、空想上の生き物“ドラゴン”だった。
「お兄!やばいじゃんあれ!!??」
栞里が慌てながら碧に視線を送りながら言う。
碧は周りの様子を確認する。スマホで動画を撮りながら走る若者や、急いでアトラクションから客を降ろしているスタッフが見える。本来こんなこと現実では起きるはずもないが、人間というものは危機感を察知することが上手いほうなので、こういうときは死ぬ気で逃げる。
しかし、碧と栞里はその場を離れない。
「ねえ!どうすんのあれ?お兄倒せるのあれ?」
「倒せると思うけど…無害そうじゃない?今のところ何もしてないし」
そう、人間は逃げ回っているが、ドラゴンは特に何もしていない。そこで碧はドラゴンを観察していた。
『大きさは大体40〜50m後半、前脚のみで多分ほとんど空中で活動をしていると見る。あとこいつは人工的に作られたタイプだな、思いっきりアンテナが立ってあるよ。』
その瞬間、碧の目が美しい青色に輝いた。
『息吹は…吐きそうだな〜…遊園地燃やされたら困るんだよ、治すのだるいし。』
「お兄、私ママたち連れて逃げるからね。早く倒しちゃって」
栞里は母さんたちがいるベンチの方まで走っていった。
すると、ドラゴンが急にクネクネとした動きをし始め、口から何か出すポーズをした。
「あれはマズイな」
碧が少し冷や汗をかく。
次の瞬間、ドラゴンは遊園地のアトラクションに向かい、炎の息吹を放った。アトラクションは炎に包まれ、ほとんどのアトラクションが丸焦げになってしまった。
「あ、やっちゃったね。よし、じゃあやるか」
碧は青い眼球のまま空中から浮かび、ドラゴンと同じくらいの高度まで上昇した。
「こんにちは、君誰に作られたの?後あの穴何?」
ドラゴンは聞こえていないのか、聞く耳を持たず碧に強烈な尻尾振りをした。しかし碧はそこにはいなかった。碧は少しドラゴンから距離をとった場所に姿を現した。
『やっぱり操作系の固有能力か。性能が破格すぎる。…多分、ホルダーはあの中…』
「まあいいか、とりまこいつ倒しゃいいだろ」
『“立体化”ד氷操作”ד氷生成” 氷剣!!』
次の瞬間、碧の右手のひらに氷の塊が生成され、長い剣へと変形した。
碧とドラゴンはお互いに直進し、攻撃を開始した。
ドラゴンは大きな口を開き、碧を丸呑みしようとしたが、碧はドラゴンの咬筋を狙い、氷の剣を横向きに向け突っ込んだ。
そいて次の瞬間、碧はドラゴンの予想していた軌道をずれ、ドラゴンの咬筋に剣が見事に直刀し、ドラゴンを二枚おろしに切断した。
ドラゴンの大きな身体とその身体から出てきた大量の赤い血が、休憩所へと落下した。建物に直撃した音は大きく、休憩所は跡形もなく倒れてしまった。
碧は剣についた血を振り払い、ドラゴンの死体のもとまで行こうとしたとき、穴に異変が起きた。
碧が穴を見上げると、穴がどんどん大きくなり、そこから先ほど倒したものと同じようなドラゴンが次々とでてきた。身体の色が青色から黒色までさまざまでおそらく一気に15体はでてきた。そのままドラゴンは次々と穴から出現した。
「も〜嘘でしょ?多すぎるだろ」
これには碧も度肝を抜かれた。だが、そんな事があっても、碧は逃げなかった。
「もうあの穴ごと壊しちゃおっかな」
そう言った碧は、再び空へ舞い上がり剣を手放し、右手を穴の方向に伸ばした。
「穴から大体40〜50mくらいかな…まあちょろいっしょ」
碧の右手に突如黒い球体の様なものが出現した。それはとんでもない質量を得て存在することを可能にしている“ブラックホール”だった。
『半径30m。対象:ドラゴン、黒い穴。質量:45(1.9891×1030)kg』
ブラックホールは穴と碧の距離の交点となるところへ行き、一瞬で半径30m、36.000π㎥(大体約 113,097.3 m³)、45(1.9891×1030)kgの球体へと大変身を遂げた。
大変身と遂げた瞬間に、ブラックホールは活動を開始した。突如出現した大穴や大量のドラゴンが一気に大きな球体へと吸収されていく。
『これ見てるとなんかスッキリするな』
ドラゴンと大穴は姿を消してしまった。
ブラックホールは消滅した。
海を見ると、夕日が沈んでいた。また何気ない一日が終わりを迎えようとしていた。
西暦2025年04月03日 木曜日
「お兄!起きて!早く!」
「あーもうなんだよ!今ぐっすり寝てたのに!」
開かれたカーテンによって、窓の外側にある大きな太陽の光が少年たちに降り注ぐ。どうやら今日は快晴のようだ。太陽の周りに雲一つ無くあるのは真っ青な空、まさにお出かけ日和。
『まあ、今日は何もないんだけど』
碧と栞里は2階に降り、碧はリビングのソファに横たわった。栞里がテレビの電源をつけた。そこには昨日一ノ瀬家が行った古田セントラルパークが映っていた。
「今回は□□県の古田セントラルパークにお邪魔しておりま〜す」と、アナウンサーが語っている。よくあるニュース番組の紹介コーナーのようだ。
「あ、昨日行った場所じゃん!」
栞里が元気よく言う。
「……………」
碧は寝巻きのまま、少しテレビを見てニヤついた。
「え、お兄キモ」
「黙れ」
「お兄、長田蘭が好きなの?」
長田蘭は、最近出てきた新人アイドルグループの1人だ。どうやらグループの中では1番人気があるよう。
「いや、彼女には期待してないよ。全然ね」
「ふーん、じゃあ誰が好きなの?」
「栞里」
碧は真顔で言う。
「キモい。死ね」
「ひど」
そのまま栞里はキッチンに向かった。
『………こんにちは皆さん。一ノ瀬碧です。昨日は大変でしたね。…え?なんで古田セントラルパークが元通りになっているんですかって?まあ、そこら辺が気になると思うからそこから説明。』
『まず、古田セントラルパークで何が起きたかについて説明しようか。結論から言うと、分からない。なぜわざわざセントラルパークに大穴が出現したのか、なぜそこからドラゴンが出てきたのか、とか色々悩む所があるわけで、僕も全て理解してるわけじゃない。けどまあこれだけは言えるって事はある。それが、セントラルパークには“僕”がいたこと。今回の事件は確実に計画されたものだ。じゃなければあんな高度なドラゴンが簡単に何十体も出てくるわけがない。あんなに強いドラゴンをあそこにいっぺんに放出かつ僕があそこにいたんだ。明らかに僕へ挑戦状を申し付けに来たはずだ。ま、分かることはそれくらいかな……まだまだ調べなきゃ』
「………え?なんでお前に挑戦状なんか送るのかだって?それはね、僕が最強だからだよ」
「お兄何言ってんの?」
「え、声出てた?」
「めちゃくちゃ。まじで何?中二病?」
栞里が人ではないものを見るような目で碧を見る。
「お前も知ってるだろ?僕の力」
「知ってるけど…それと挑戦状が何に関係するの?」
「挑戦状については忘れろ」
そう言い碧は栞里のおでこに右手を当て、挑戦状の記憶を消した。その時の碧の目は青く光っていた。
「今なんかした?」
「なんもしてないよ」
栞里はキッチンに戻る。
『え?その力はなんだって?ん〜じゃあちょっとだけ説明してあげるよ。僕が持っている力の名前は“バグ”と言って、宇宙のさまざまな所にある“バグエネルギー”をSPに変換して、それを消費して使用することができる力。今使った能力もバグだし、昨日使った能力をバグ。バグってほんと便利だわ〜………ま、軽く説明するとすれば、超能力と魔法が合体したみたいな感じ。まあほとんどの人は使えないんだけどね。因みに僕の友達にもいるよ』
「お兄、私今日友達と遊ぶから。家の番宜しくね」
「番て……まあいいよ、りょーかい」
それから栞里と碧は朝食を済ませ、栞里は友達の元へ行くようだ。
「んじゃ、私もう行くから」
「いってら〜」
栞里が玄関を開き、外を眺める。今日も絶好なお出かけびより。栞里は自分の電動自転車の鍵を外し、待ち合わせ場所へと向かった。
「……………あれが、一ノ瀬碧の妹か……」
一ノ瀬家の玄関前の地面に人影がある。青い空に、1人の男性らしき人間が立っており、栞里を見下ろしていた。
すると、一ノ瀬家の家の玄関が勢いよく開いた。そこから碧が出てきて、咄嗟に空を見上げる。そこには何も居なかった。
Characters
CN.1 一ノ瀬碧 2009.09.03
能力所持者 固有能力:???
使用能力:立体化、氷操作、氷生成、瞬間移動、浮遊
使用技:氷剣、ブラックホール
備考:ウインナーが嫌い




