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【転生スローライフ】転生したらモフモフの相棒ができました! ~ふわもこ村癒し系魔法使いのゆるふわライフ~  作者: 藍埜佑


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第5章 ふわもこ羊の毛刈りと魔法の毛布

 夏祭りから数週間が過ぎ、ふわもこ村に秋の気配が忍び寄り始めていた。朝晩の空気が少し冷たくなり、木々の葉も僅かに色づき始めている。


 ある朝、モフモフがミアに告げた。


「ミア、もうすぐ『ふわもこ羊の毛刈り』の季節だよ」


「毛刈り? そういえば、モフモフの毛もずいぶん長くなったわね」


 ミアは、モフモフのふわふわした毛並みを撫でながら言った。


「うん、毎年この時期に行うんだ。村中のふわもこ羊が集まって、みんなで毛刈りをするんだよ」


 モフモフの説明に、ミアは目を輝かせた。


「わぁ、素敵なイベントね! 私も参加していいのかしら?」


「もちろん! むしろ、ミアの力が必要なんだ」


 その日の午後、村の広場に多くの村人とふわもこ羊が集まった。ミアは驚きの目を見張った。様々な色合いのふわふわした羊たちが、まるで動く雲のように広場を埋め尽くしている。


 モモおばあちゃんが、皆の前に立った。


「さて、今年も『ふわもこ羊の毛刈り』の時期がやってまいりました。今年は特別に、ミアさんにも参加してもらいます」


 村人たちから温かな拍手が沸き起こる。ミアは少し緊張しながらも、頷いた。


「ミアさん、あなたの癒しの魔法で、羊たちをリラックスさせてあげてください。そうすれば、毛刈りがスムーズに進みますからね」


 モモおばあちゃんの指示に従い、ミアは深呼吸をして目を閉じた。心の中で、穏やかな気持ちを羊たちに送る。


 すると不思議なことが起きた。ミアの周りに淡い光の粒子が舞い始め、それが風に乗って羊たちに降り注いでいく。羊たちの目が穏やかになり、身体の緊張がほぐれていくのが分かる。


「すごい……」


 村人たちがささやく声が聞こえた。ミア自身も、自分の力の成長に驚いていた。


 毛刈りが始まると、ミアも慣れない手つきながら、モフモフの毛を刈り始めた。


「ごめんね、モフモフ。痛くしないように気をつけるわ」


「大丈夫だよ、ミア。君の魔法のおかげで、とってもリラックスできてるんだ」


 モフモフの言葉に安心し、ミアは丁寧に作業を続けた。刈り取られた毛は、まるで雲のように柔らかく、手触りが心地良い。


 作業が進むにつれ、ミアは不思議な感覚に包まれた。刈り取る毛一つ一つに、羊たちの思いや村の空気が染み込んでいるような気がした。


 毛刈りが終わると、広場には山のようなふわふわの毛が積み上がっていた。様々な色が混ざり合い、まるで夕焼け空のような美しいグラデーションを作っている。


「さて、これからこの毛を使って、様々なものを作りましょう」


 モモおばあちゃんが告げると、村人たちは歓声を上げた。


「ミアさん、あなたは特別な任務があります。この毛を使って、魔法の毛布を編んでみてください」


 ミアは驚きつつも、頷いた。


「はい、頑張ります」


 その日から、ミアの魔法の毛布作りが始まった。モモおばあちゃんから教わった特別な編み方で、一針一針丁寧に編んでいく。


 編むたびに、ミアは癒しの魔法を込めた。温かさ、安らぎ、幸せな夢……様々な想いを毛布に織り込んでいく。


 作業は数日間続いた。完成に近づくにつれ、毛布から不思議な光が漏れ始めた。まるで、星空のように煌めいている。


 ついに完成した毛布を広げると、ミアは息を呑んだ。淡い虹色に輝く毛布は、触れるだけで心が温かくなるような不思議な力を放っている。


「素晴らしいわ、ミアさん」


 モモおばあちゃんが感嘆の声を上げた。


「これは間違いなく、特別な魔法の毛布です。寒い冬の夜に、村人たちを優しく包み込んでくれることでしょう」


 ミアは照れくさそうに微笑んだ。


「ありがとうございます。でも、これは私一人の力じゃありません。村の皆さんの想いと、羊たちの温もり、そしてふわもこ村の魔法が一つになったものです」


 その言葉に、村人たちは温かな拍手を送った。


 その夜、ミアは完成した毛布に包まれて眠った。すると、驚くべきことが起こった。毛布に包まれた瞬間、ミアは美しい夢の中へと誘われたのだ。


 夢の中で、ミアはふわもこ村の上空を飛んでいた。村全体が柔らかな光に包まれ、幸せそうに眠る村人たちの姿が見える。そして、遠くの山々の向こうに、まだ見ぬ新しい冒険が待っているような予感がした。


 目覚めた時、ミアの心は不思議な高揚感に満ちていた。この毛布は、単なる防寒具以上の力を持っている。村人たちの心を癒し、新たな希望を与える力を……。


「すごいね、ミア。君はまた一つ、新しい魔法を作り出したんだ」


 モフモフが感心したように言った。


「ええ、そうみたい。でも、これからどんな魔法が生まれるか、私自身もわくわくするわ」


 ミアは窓の外を見た。秋の澄んだ空気の中、村は新たな季節へと移り変わろうとしていた。そして、ミア自身も、また一歩成長した自分を感じていた。

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