おかえり
どこかの暖かい島国に1人旅行に来ていた
一泊2日の短い旅だった
どこかの家でニュースである男が首を吊り死んだとニュースで見た記憶がはっきり残っている
俺は1人で旅行中
ある古ぼけた学校を見つけ、おもむろに中に入ってしまった。
だが中の教室には髪の毛の真っ白な児童。
と言っても17〜18歳ぐらいの子どもたちが座っており廊下側には一際目立ったメチャクチャ可愛い女の子が座っていた。
1番前の1番廊下側には身長も高くすらっとしたポニーテールの白髪の女の子。すごく明るく話しかけてくる。
笑顔が溢れて今を謳歌している元気な子だった。名前をA子としよう
その後ろはおとなしめなショートヘアーの白髪の女の子。
その子は今日泊まるところあるの?大丈夫?などと心配してくれる心優しい子だった。名前をB子としよう
俺はその子の隣へ座らされその子らと話していた。
俺の前と後ろにも女の子はいたが容姿がわからない
が、2人とも明るい子だった
ただ、そのクラスはほぼ全員綺麗な白髪をしていたのがとても気になった。
真ん中の列にいた男の子に綺麗な白髪だねと言ったら喜んでいた。
俺は白髪ではないが受け入れられていたのも謎だ
そして、女の子たちはアイドル?活動をしていたが俺の知っているアイドルではなくSNSを活用したアイドルで1日の終わりに投稿したり動画投稿をしたりする。
いわゆるインフルエンサー的なことだろうか。
そんな行動をしていた
特に印象強いのはこの2人だが
俺には教室に入った途端真ん中の列の後ろから4番目の席の子が一際目立った感じがし、美しく姿勢も良くショートヘアで後ろから入ってくる俺を見ながら
目が合い蛇に睨まれた蛙の如くひたすらに目を奪われた。
俺は椅子に座るとすぐA子は話しかけてきた
A子「どこからきたの!?よくたどり着いたね!この島は普通に来れないんだよ?」
俺「どうゆうことだ?普通に船に乗ってきたが」
俺「港にも船はたくさん停まってたたぞ」
B子「港?この島にそんなのあったっけ?」
俺「あるだろう、俺はなにで来たんだよ」笑いながら言った
俺「あそこだよ、アイスクリーム屋さんがあるところ。」
そう、港の前に見たことのないアイスクリーム屋があり買ってはいないがプリンやらケーキやクレープなど幅広く商品を見た。
A子「クレープ!?食べたい!」
B子「プリン!!私食べたことないんだ〜」
俺「なんでだよ、島にあるんだし買えばいいじゃん。インフルエンサーみたいなことしてんだろ?」
A子、B子「インフルエンサー?アイドルだよ!」
俺は内心アイドルではないだろと思った。
B子「今日泊まるところないならうちに来なよ!」
しきりに言ってくるが大丈夫か?
今日初めて会った男をよく家に呼ぶな。
警戒心がないのかわからないが拒否していたが
思いつきできたこの旅行。
宿屋を予約していなかった
俺「いや、いいよ宿屋探して泊まるから」
B子「ここ、宿屋ないよ」
え?何言ってんのこいつ
観光で来てんのに宿屋がないわけないだろ
そこまでして家に呼びたい理由はなんだ?
ただ、親切心で言っているだけなのか?
この年になると人を疑ってしまうのだ
ましてや可愛い女の子に誘われれば誰だってそう思う。
美人局だろうか
などと思い耽ってると
B子「みんなうちに泊まっててみんなで寝てるから大丈夫!こわい?」
怖いってなんだよって思いつつ
俺は宿屋がないなら仕方ないと思い言葉に甘えることになった。
俺「みんなって誰だよ」
A子「わたしでーす!」
A子の隣で俺の前の席の子と俺の後ろの席の2人で5人が一緒に寝泊まりをしているらしい
いや、全員女の子なんだが!!
なぜか俺はなんの疑念も持たず
二つ返事でオッケーしてしまった。
俺「あぁ、じゃあよろしく頼む」
下校時刻になりA子が誘ってきた
A子「今日はみんなで商店街いこ!」
B子「いいね!パフェもプリンも食べたいし!」
俺「俺も行くの?」
A子「そりゃ歓迎会だからね!それにB子の家もわからないからでしょ?迷子の迷子のこ・ね・こ・ちゃ・ん」
なんでこいつは煽ってくるんだよ
ただ、一泊2日のぼっち旅で尚且つ学生気分を味わあせてくれて女の子に溢れた生活をさせてくれるのは俺には新鮮で楽しかった。
俺「歓迎されてんのか、ありがとう」
B子「じゃあいこっか」
商店街に着いた俺は驚愕した
船着場がないのである
俺「えっ?俺、船できたはずなのに船着場がない!どうやってかえればいいのさ」
5人はそれどころじゃないのかA子はクレープをB子はプリン各々スイーツを選んで写真や動画を撮っていて全く聞き入れてもらえなかった
A子「それじゃ帰ろっか!」
B子「そうだね!そろそろ帰ろー」
商店街からB子の家まではさほど遠くなく、ものの10分程度で着いた。
平屋で一般的な広さの家だった。
玄関に入るとすでに靴が一足置いてあった。
B子「おかーさん、ただいまー!」
親と住んでるの!?そりゃそうか学生だもんな…
俺不審者扱いされんか!?大丈夫か!?
俺「お、お邪魔します…」
B子「おかーさん、この人今日来て泊まるところないんだって!今日泊めてもいい?」
B子母「◎△$♪×¥●&%#?!」
何を言っているのか聞こえなかった
B子「いいって!」
A子「よかったじゃん!」
母よ本当にいいのか?
俺は30を超えたおっさんだぞ
どう見ても不審者だろう
こんなに可愛い子たちと同じ屋根の下何が起きるかわからんだろう
とはいえ俺は機能不全で使い物にならないスクラップだ
多少思いはするが息子は反応することはなかった。
俺「ありがとうございます。お言葉に甘えて、今夜だけお借りします。」
B子「礼儀正しい」
たった1日で彼女らの勢いでこんなにも近づけるとは10代女子凄まじい。
夜ご飯はB子母が作って食べ終わった頃、女子どもは風呂に入ったので俺はB子母と2人きりになってしまった。
B子母「コーヒーでも飲む?」
俺「いただきます」
南国の割に夜は暑くなく過ごしやすい環境だった
テレビはブラウン管でニュースがやってた
俺は何気なく聞いてたが何やら男が首吊りで自殺したみたい
俺「物騒ですね」
B子母「そうね、、でも良くあるニュースね」
含みのある間が気になったが関係はないのでスルーした。
女子どもは出てきて寝ようとしてた。
B子「寝るけど俺くんの分の布団も敷いといたよ」
俺は一緒に寝るのかとおもったが素直にお礼を言った
俺「ありがとう」
A子「明日はどこ行く?何する?」
B子「俺くんと島を案内してあげるよ」
俺「楽しみだなあ」
B子「あー思ってないでしょ」
俺は内心モヤモヤしていた
白髪の可愛い子たちがおっさんを助ける意味はなんだ?学校で睨んできた子はなんだ?
無償で泊めてくれて親まで疑わない
普通ありえないだろ
俺は疑心暗鬼になり
夜中に抜け出そう、そして朝イチで帰ろう。
船着場がなかったが一応行ってみるか
俺「じゃおやすみ、明日楽しみにしてるね!」
………………………………………………
3時間後…
寝た、、か?
ゆっくりと起き上がり布団を畳み身支度をしこっそり家を出ようとした。
優しくしてくれていた
こんな事はひさしぶりでこんな形でさよならは胸糞になりそうだったので"一応"手紙を残した
A子、B子へ
1人で旅行してきて宿がないと聞いた時絶望した中、泊めてくれてありがとう。
夜ご飯も美味しく昼も学生気分を味わえて楽しかった。
このまま君たちと一緒にいると帰ることが嫌になってしまいそう。
それくらい楽しく心地いいと思った。
だけど本来はひとり旅。夜のこの島の景色も色々見たい
だから何も言わずに行くのは心苦しいが今夜立ちます。
何から何までありがとう。
すごい楽しくて有意義な日だった
さあ行こう。
俺は家から出て港へ向かった。
港には船着場があった
船がいるだけで船着場とかではなくきちんと建物があったのだ。
なぜかはわからなかったが
昨日の朝と今、夜中に船着場は存在し日中は船着場の建物すらない
場所が違うのか
その時、月夜に照らされた人影をみた
???「早く帰りなさい。ここはあなたの来る場所じゃない」
誰だこの子。
俺の疑心暗鬼は最高潮に上り船着場の中に入った
中はぼんやり光っており不思議な感覚だった
アナウンス「〇〇行き、到着しました」
男の掠れた声が建物中に響き渡る
行き先は聞こえなかったが大丈夫だろう
船が到着し乗船する前俺は受付に行った
俺「ここに白髪の女の子5人くらい、いや2人きたらこれを渡してください」
封筒に10万円ほど入れ宿代として渡すように言った
受付「できません。」
えっ?できません?
田舎だからサービスが悪いのかと思い
俺「わかりました。少し待っていてください」
俺は向かいのアイスクリーム屋の店主に同じように伝え渡してきた。
それから船に戻り船に乗ると
朝イチだろうか乗客は数人しかおらず辺りを見渡す
なぜかB子母がいたのだ
全身に鳥肌が走り
俺は駆け寄り尋ねた
俺「なぜここにいるんです?」
その瞬間目の前が真っ暗になり
遠のく意識の中、終わったと思った
殺されたのか?大事な娘に近づいた不審者を殺したのか?
気づいたら病院のベッドの上だった
俺「知らない天井だ。」
そう、言ってみたい言葉にランクインする言葉を使う日が来たのかと
???「目覚めたのね」
俺「どちら様ですか?」
???「あなたは交通事故に遭い意識が10年なかった」
10年!?!?
女性は続けた
???「私の娘たちを助けた。そしてガンを患ってた私の娘たちは去年亡くなったわ。」
女性を見た時全てが繋がった
B子の母だったのだ
俺「もしかして娘たちとは5人でしたか」
女性は目を丸くし
B子母「…えぇ、そうですがあなたは事故で意識はなかったはず。
娘たちとは会っていないはずよね」
女性に話を聞くと
どうやら俺は10年もの間、昏睡状態で交通事故で助けた子らは全員末期がんだったらしい
その子らは未来を諦め道路に飛び出した瞬間俺に助けられたらしい
未来を諦めた理由は父親が首を吊って自殺をし遺書には娘ら5人が末期がんで生きる気力を無くしたと書いてあったそうだ。
父親がこの世を去ったのを知り自分の病を恨んだそうだ
俺が助けたことにより母親との絆を再確認し一生懸命生きることができたのだと
俺に一言お礼を言うために毎日お見舞いに来てたのだと知らされた。
願い叶わず天命を全うし天に登ったと。
B子母「B子が最後に言っていたわ。あなたに夢の中で会ったと」
B子「いっぱい遊んでおうちに泊めてあげたの!みんなでプリンもアイスもクレープも食べてすっごく楽しかった」
B子母「そう言っていたわ」
女性はそう涙ぐみ写真を見せてもらった
B子母「最後に撮った写真」
そこには5人の綺麗な白髪の少女たちが封筒を持ってにっこり笑いながら母と一緒にクレープを食べている写真だった
俺も流れ出る涙を堪え言った
俺「僕もすごく楽しかったです。夢の中に出てきて初めからすごく優しくしてもらいました。
僕は人生を諦めかけていました。僕はあの子らに生きることを再認識させてくれたのかもしれません。」
その時俺は全てを思い出した。
俺「僕が学生当時付き合ってた彼女もガンでなくなりました。生きる気力を失い茫然と歩いてると当時の彼女そっくりの女の子たちが轢かれそうになってると思ったら身体が無意識に動いたんです」
B子母「そうだったのね。娘たちを助けていただいて本当にありがとうございます。あなたのおかげであの子らも幸せだったと思います。」
そうだ、最後の月夜の少女は当時付き合ってた彼女だったのだ
船着場がなかったのも現世に帰れないことを示唆していたのかもしれない
彼女が現世に返してくれたのかもしれない
退院した俺はすぐに彼女の実家に向かった
墓の前に来て手を合わせた。
俺「ただいま、ありがとう」
-------おかえり、待ってたよ
そう聞こえた気がした