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第10話 騎士団内のルール

お目をとめていただきありがとうございます。

騎士団内のルールを守っていたのは?

イツキはビスタにユニコーンの口の中にあったトゲについて質問をするように団長達に言われます。

 団長達は皆卑怯者のクズだった。

 おれに人参持ってビスタのところに行けって言うんだもん。団長絶対恋人を大事にしない男だよな。 


 愛がないって、それが普通なんだろうか。家族愛はあるんだろうけど、それと似たような感情が人に対してわかないのかね?

「おい、ビスター」

「なんだい、イツキ。風邪は引かなかったか?」

「この時期に湖に落ちても気持ちがいいだけだよ」

 明るく笑うビスタの前に、おれは人参を差し出した。

「ビスタ、人参やる。食えよ」

「…………」

 顔色が変化した。

 おれは少し緊張して尋ねる。

「食えないのか?」

「ユニコーンじゃないんだし、シチューに入れて欲しいよ」

 その返事に、おれは人参を口に入れた。


 ボリッ。


 人参を折って口の中で咀嚼してやる。

「イツキ!」


「うっ」

 ーーっ!痛ったー!刺さったよ!トゲ!結構入ってるのか?

「イツキ!大丈夫か!」

 ビスタがおれの心配をする。

 アホだな、おまえそれ言っちまったらさー。


「おい、ビスタ。おまえどういうつもりだ?」

 いつもは陽気な声のレイン大隊長が、厳しい目をこちらに向けていた。ビスタが怯えた顔になる。

「ビスタ。冗談ではすまされないよ!なんでこんなことしたんだ!」

 ヘイルが吠えた。うるさいヤツは後ろに下がってりゃいいのに。

「はあー、がっかりだぜ」

 クリア大隊長が頭をかきながらビスタに寄っていく。

 ユニコーン騎士団の幹部達は、ビスタを取り囲むように止まった。

 団長に、スノウ副団長、レイン大隊長、クリア大隊長、一番槍のヘイルーー。彼らに逃げられないように挟まれ、ビスタはその場にへたり込んだ。

「どうして、こんなことを?」

 おれが尋ねると、ビスタはクリア大隊長をきっと睨んだ。

「こいつが、こいつがオレをもて遊んだから!」


 え?


「もて遊んだ、って、ようはやられたってことか?」

「そうだよ。そのまま、ポイッだ!」

「うっわー!やり捨てですか!あんたまともに見えてえげつないんですね!」

 おれは素直な感想を述べた。クリア大隊長が顔をしかめた。

「はあ?それでもいいから抱け、って言ったのはこいつだ!」

「生々しいなー」

 おれは呆れる。

「ビスタが男でよかったですね。女だったらあんた妊娠させちゃって責任を取らさせられますよ」

 典型的に騙されるタイプだ。

「クリア、仲間には手を出すなと言っただろう」

 団長は何かがズレている。

「ーー団長、彼らは仲間じゃない。吸った揉んだの間柄です」

「真面目な顔して何言ってんの?」

 ヘイルが呆れた顔になる。

「クリアも、ビスタも謹慎処分だ。後の事は自分達で解決してくれ、イツキ」

「はい」

「救護室に行くぞ」

「大丈夫っす。細かく噛みましたから、ちょっと刺さっただけですよ」

「消毒しなければ」

 律儀な団長だ。

「それより、ビスタ。リゲルを傷つけたらだめだろ。復讐なら何で本人にやらないんだ」

 あいつをいてこましてやれよ。

「ーーーーーだって、好きなんだもん!」

 ビスタは泣き出した。

「だから、リゲルに?恋心はこじらせるとわけのわからない方向に行くよな」

「恋は人を盲目にしますからね」

 おれの言葉にスノウ副団長は頷いた。

「ーーオレにその気はない」

 最低だな。クリア大隊長。

「ビスタ。あいつは血も涙も優しさも、恋人をひとりキープする財力も懐もないんだ。今回はおまえの男を見る目がなかっただけ。次行こうぜ、次はいい男、見つけような!」

 おれが明るく励ますと、レイン大隊長は吹き出した。クリア大隊長は苦い顔だ。

「イツキ。おまえ、いいヤツだなー」

「ああ、よく言われるぜ!」

『いいヤツなんだけどーー。やっぱり無理』、それで30人に振られたがな!


「団長」

「そうだな。どうやら、非はクリアの方にありそうだ」

 スノウ副団長と団長の会話を聞いて、クリア大隊長の顔色が変わっていく。

「謹慎処分はクリアだけとする。軽率な行動は今後はやめるようにーー」

「はいはい、わかりましたよ」

 うるせぇな、と悪態をついて、クリア大隊長はこの場から離れていった。恥ずかしいよな、実際。いい役職についてる人がーー。

「クリア大隊長……」

 ビスタが悲しそうにクリア大隊長の後ろ姿を、見ている。

「なんだ、未練があるのか?」

「そんな簡単に忘れられないんだよ!」

「でも、ビスタ。騎士団内は恋愛禁止だろ?」

 アイドルみたいだな。

「そんなの誰も守ってないよ!」

 ビスタの言葉に団長は目を丸くした。スノウ副団長も、レイン大隊長も視線をそらした。あの2人は黒確定だな。ヘイルは「えー!」っと叫んだから違うんだろうけど。うん、なんかあいつは仲間はずれにされるタイプだ。

「心当たりがありそうだな、スノウもレインも」

 団長が溜め息をつく。

「そもそもその決まりがおかしいんだよ。恋愛なんか自由なはずだろ?」

 レイン大隊長の目が泳いでいる。

「騎士団内でするな、と言われているだけだ。町娘などいくらでもいるだろう」

 団長はひどい発言が多い。恋愛感情がないからか、淡々としすぎている。

「はいはい。気をつけますよ」

 レイン大隊長が不満気に顔をしかめる。


 あちゃー。これでおれと団長も付き合いずらくなっちまったなーー。

 どうしようかなー。


「なんだよ、みんなー」

 ヘイルが俯いた。

「オレはバカみたいに規則を守ってたんだな」

「ヘイル……」

 レイン大隊長が心配そうに、ヘイルの肩に手を置いた。ヘイルはそれを振り払い、団長の顔を真っ直ぐに見た。

「団長!オレはあんたの事が好きだ!ずっと好きだったんだ!オレと付き合ってくれ!オレを団長の一番槍にして欲しい!」


 下ネタだぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!


 あいつ団長の穴を確実に突く気でいるぞ。いつも冷静なスノウ副団長が、顔をゆがませてんぞ!


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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